名前:シェイディ。
性別:男
歳:17
職業:ブラックスミス(成り立て)
タイプ:戦闘向けのバランス

尊敬する人:ギルメンの製造BSの先輩










日も沈みかけた夕時。
赤く染まってきた町。
その赤を長い銀糸の髪に受けた青年が、疲れた足取りで歩いていた。

彼はやがて、一軒の家の前に着き
ただいまと言って入っていった。





「シェ」
「イ」
「ディ」
「転」
「職」
「お」
「め」
「で」
「と」



ブラックスミスギルドでの転職試験。
…試験なのかこれ?という感じの激しいお使いをこなした後、
無事に転職してギルドハウスに帰ってみれば…

ギルメンと同居人が入り口に並んで一文字づつの激励の言葉。
ただし

「……メンバー足りてねぇし」
最後の「う」をいうメンバーがいなかった。





「Σ(゚Д゚)人数数え間違えちゃった―――!!!!!!」

デュアったらうっかりさんw
とか言ってこめかみをコツン☆とかやっているマスターははっきりいってキモイ。
ぶっちゃけ、ただギルドを立ち上げただけというカンジの大ボケハンターのマスターである。



「シェイディ抜き忘れたのかよ!!!マスターのあほー!!!!!!」
「…アレだ、シェイディ…最後を締めくくれ。」


…自分への激励の言葉ってなんか寂しいな。
ギルメンにそう進められて、しぶしぶオレは最後の一文字を言った。
「う。」







「はい完成ー!!!ユリカ、ルナティス!!天使飛ばしまくれ!!!」
「は、はいっ!ブレスマグニフィカートグロリアエンジェラス!!!」

ギルメンの世話役プリーストのユリカさんのお祝いのスキルはイイとして、

「イムポシティオマヌスホーリーライトインポシティオマヌスホーリーライト〜!!」

ギルメンではないが同居人のルナティス…何気にイムポとHL…他に芸はないのか。
INT1桁の殴りプリだからHLは全然痛くないが。

そしてさわやかな笑顔でインポと平気でいうのはやめろ…


ユリカさんは俺と同じような銀髪で、けれど俺よりも髪は短く、顔は年より大分幼く、かわいらしい人だ。
ルナティスは色の濃い綺麗な金色をしていて、プリーストらしい穏やかそうな美青年。
二人とも聖職者らしい見た目だが、後者はかなーり捻じ曲がっている。





「今日は転職祝いのパーティーだなっ!シェイ、収集品売ってこい!!」
「俺の金使うんスか」
そう言って俺のカートの中を物色しだしたのは、ギルメンであり、ブラックスミスの先輩であるマナさん。

かなりスタイルが良くて、でもそれを惜しみなく露出しまくって、いつも下着同然の格好で歩き回る一応美女。
長く、色素の薄い金髪も柔らかそうで、ものすごくモテそうだが…“特定の”男の話はあまり聞かない。

俺は彼女の製造する姿に憧れて、ブラックスミスを目指し、商人になったが
製造は性に合わないと発覚したので戦闘になってみた。

いつもはほとんど狩りに出ないで、転売商人か同居人の金銭管理ばかりしてたので
もう回りはみな二次職だった。




「ぁん?私の蟻3枚挿しチェイン、タダで貸してやったのにその上パーティー代もおごれって?」


「…売ってきます。」

どうも、彼女には弱い。
ずっと憧れていた…時期があったからだろう。



「安心しろシェイディ君!君が奢るのはマナだけでいいよ!!」
と、マスターが慰めてくれる。
それでも、マナさんの分は払わせるつもりなんだな。

俺は朝からのサンドマンとのガチンコや、転職試験でのお使いで疲れた足腰に鞭を打って
重いカートを再度引きずり出した。










「1番マナ!!脱ぎます!!!
「「「「「「「アンタはそれしか芸がないのかああああああああああ!!!!!!!!」」」」」」」

やたらと脱ぎたがる露出狂の娘さんを落ち着かせて、みんなそれぞれに芸をしている。
…器用な人たちだ。

「4番ルナティス、手品しまーっす!!ゲートさんタバコプリーズ!!」
「ほいよっ!!」

うちのギルメンが咥えていたタバコを受け取り、殴り阿呆プリースト・ルナティスは火のついたままのそれを無謀にも手のひらにのせてぎゅっと握った。

そしてその手をひらひらと振って、タバコを投げるそぶりをするが…タバコは飛んでいない。そぶりだけだ。

反対の手を上の方にかざして、空に投げたタバコをチャッチする動作をして…
そして初めにタバコ持っていた手にかざして、ポンッと両手の手のひらを合わせて叩き、

開いた両手どちらにもタバコはない。



なんだかみんながおおっと声をあげた。
そしてルナティスは得意げに笑い、こちらに向けた両手を地にかざして
縦にまたひらひらと振る。

そしてまたこちらに開いて見せた手には、タバコ。




手品はそこで終わり、みんな大げさに感動して拍手した。
確かにちょっと不思議だった。

「おおおーーー!!!ルナティスすげええええ!!!!!」
「火のついたタバコなんてどうやって握ってみせたりしたんだよおい!」
「ほぉ、どうやって消したんだルナ?」

「簡単ですよー初めに投げるふりしたときに服の袖の中に落として隠しておいて、最後に手を振ったときに袖からまた出しただけですー」



はい、ここで注意。
タバコの火はついたままです。
そして、彼の言葉からすると…本当にただ握っていただけ。
しかも服の袖の中に隠したりしていた。



「どれだけ熱さや火傷を顔に出さないでいられるかがコツですねw」

「やっぱ火傷してんじゃないかああああああああ!!!!!!!!!」
俺が力いっぱいツッコミを入れて、むしろ皆も入れて
ルナティスはそのあと右の手のひらから腕にかけるまでにできた火傷を、ユリカさんに治療してもらっていた。

無謀な挑戦ありがとう…;;
やっぱアンタは素敵な阿呆だ。









馬鹿騒ぎなパーティーは、最高潮に盛り上がってきた夜。

「シェイディ、後で私の部屋に来い。」
マナさんが突然席を立とうとしたと思ったら、そうとだけ言って奥の部屋へ行ってしまった。
彼女の部屋はギルドハウスの端っこで、みんなの部屋から少し離れている。
彼女の武器製造用の工房がハウスとは別に建っていて、そっちと部屋が連結しているためだ。


お酒大好き人間のマナさんがそんなに飲まずに引っ込んだので少し気になった。
けれど、皆は気にせずにドンチャン騒ぎを続けている。
…ハッキリ言って、この人たちは自分が騒ぎたいだけなので、放っておいて、マナさんの方へ行くことにした。

「シェイディ、もう行くのか?」
みんなに比べたら酒も飲んでおらず、騒いでもいない、二人目の同居人のアサシンにそう声をかけられた。
「ああ、マナさんに呼ばれたし…この人たちは俺がいなくても騒ぐだろ。」
「…多分な。」
彼は苦笑いを浮かべて、俺もそれに同じような苦笑いで返す。

「…皆がシェイディのことで騒ぎ出したら、適当にとめておく。」
彼はそう言って、みんなの方を向いた。

…皆知っていることだが…俺がマナさんに好意を寄せているのを気にしてのことだろう。
皆が俺を連れ戻そうとしても行かせない、と言ってくれていた。

俺は彼に素直に礼も言えなくて、あいまいな返事をしてマナさんの部屋に向かった。









マナさんの部屋に入った瞬間…なんだか身の危険を感じた。
彼女は机に向かって、なにやら怪しい器具をガチャガチャ動かしていたからだ。

…ただでさえ離れてるのに、皆はあの馬鹿騒ぎ…
俺が悲鳴を上げても、誰か気付くだろうか…?

てか…メスのようなものが見えた気がするのは…っっっっ!!?

「おう、シェイディ、そこ座れ。」

そこ、といわれても部屋には椅子もソファもない。
座れるところといえばベッドだけなので、少しビクビクしながらベッドに腰掛けた。

「あの、マナさん…なんですかそれ。」
「これな、知り合いに借りたんだが」
彼女は机の上で整理していたらしい器具を木箱に入れて、ベッドの上に…俺の隣に置いた。

「シェイディもやっとブラックスミスだろ、で、刺青。」
「…は?」



そういえば確かに、刺青をしているブラックスミスは多い。
マナさんも胸の後ろの位置に、薔薇のような刺青をいれている。
だが別に義務ではないし、してないブラックスミスもいる。

それに俺はあまり、そういうのは好きじゃあないんだが…。

「…あの、」
「言い訳無用問答無用。服脱いで横になれ」

「いや、でも…刺青って…」
どうやるものなのか、知らない。
なんでメスや注射器や針のような器具があるのか。



「っ!」
なんとか断ろうと思っていると、彼女に突き飛ばされるように押し倒された。
「ちゃんと大人しくしてたらご褒美やるから。」
少し低い声で、上から見下ろして言われて
胸が高鳴った。

その高鳴る心臓の上に、彼女が手を滑り込ませてきて
心臓の音が聞かれるんじゃないかと焦った。

「…あの蟻挿しチェインとかなら考えますけど」
「いいぞ。」
咄嗟にでたそんな言葉に、彼女はあっさり頷いた。
それに、ちょっとあっけにとられてしまった。完全に冗談で言ったのに。
「だから、大人しくしてろ…?」



初めてあったときからそうだ。
この人は人を思い通りにするような力があって

俺は、この人に逆らえない。







刺青を入れ始める…
初っ端からメスを持ったのは、見なかったことにして
いぢられている胸元は見ないようにしていた。

刺青を入れられるのは、左胸。
心臓の上。
彼女が何を入れるのかは分からない。

ただ、見ないように…


「っ…!!」
一瞬、ひやりとした感触があって
それから、じわじわとピリピリした痛みが…

「いっ…つ…」
予想以上に、痛い。
耐えられない痛みでは、ない。
泣きじゃくるような痛みでは、ない。

けれど、痛い。

段々と熱を持ってくる痛みに眉根を寄せながら
マナさんがわざと、深く切っているのではないかと思い始めた。

「ァ、いっ…!!」
突然、冷たい布を押し当てられたと思ったら、
傷口が、ピリピリ傷んでいたところが
ズキズキと激しく痛んだ。

「消毒。我慢しろ。」
そう言う彼女は…すごく、楽しそうな顔をしていた。

彼女がサディストというのは聞いたことは無かったが
なんとなくそうじゃないかとは思っていた。
そんな様子をみたことはないけれど
普通じゃ満足しない人だ。


そんな彼女を普段からなんとなく感じながら
俺はそんな彼女の所有物のひとつなんだと、思い始めていた。

マナさんに、逆らえない。
はじめてあったときから、そうやって仕込まれてきた。



「ってぇ…」
そのうち痛みが酷くなり、頭の後ろがキンキンしてきた。
早く終わらないかと願ったが…作業はまだゆったりと続けられている。

「…イイ顔。」
彼女は聞こえないように言ったのだろうか。
とりあえず、そんなセリフが聞こえてしまって…俺は、どんな顔をすればいいのか分からなくなって
目を開けて、彼女を困惑して見つめていた。
なんだか、笑われた。

「まだやるぞ?」

そう言って、濡れた布を外されると
ものすごくひんやりしていた。

そこを、また…

「っ…う、ぅ…」

心臓まで、切り開かれてしまうのではないかと怖くなった。
内心、「イタタタタタタタタタタ」とか思いながら、けれどそう言うのは情けなくて、口を閉じていた。
痛いというのは、表情だけで十分彼女には伝わっているだろう。

けれど、やはりやめてはくれない。



「…シェイディ、痛みに強いほうだな。」
「…ぅ…」
強くなんかない、我慢しているだけだ。

「私の友達は、泣いてたらしいが。」
こっちだって泣きたいが、我慢しろと…マナさんが言ったから…

時間にして10分くらいだっただろうか…俺には何時間にも思えた。
彼女はやっとメスやら注射器やらを木箱にしまって、
また凍みる消毒液を含ませたガーゼで、傷を覆ってきた。

「ひっ、…いっ、ぃて…」
汗が、額や手のひらに滲んでいる。
ひどく凍みる痛みを、ベッドのシーツを掴んで耐えた。

早くガーゼを外して欲しかったが
彼女は残酷にも、その布をテープで胸に貼り付けた。
これは、正しい処置なのだろうか。



「ちゃんといい子にしてたな…」
胸を上下させて荒い呼吸をしている俺を、マナさんが覗き込んできた。
微笑むと、綺麗なんだ。
凄く、色っぽい。

けれど、やっぱり…サドっぽい。


「ご褒美。」
彼女はクスクス笑いながら、もともと下着のようだった服を脱ぎ捨てて
全裸になってベッドに乗り上げた。

ぶっちゃけ、彼女の裸なんて見慣れていた。
ふざけて脱ぐことがあったし、熱くてもすぐ脱ぐし、一緒に狩りをしていると胸ポロもしょっちゅうだった。
けれど、今は彼女がとりまくオーラが違って
ひどく欲情的だ。

雄を誘う雌だ。
誘われた方は、カマキリのように雌に食われるかもしれない。

けれど、やっぱり
俺は、彼女には逆らえない。



動くと、胸の傷がまだ痛む。
今が、痛みのピークかもしれない。
いつごろ、この痛みは引くだろうか。

けれど、彼女はそれを待ってくれない。
ベルトを外して、俺の性器をとりだして
玩具の様に無遠慮に扱いて、先端を舐めている。

チラッと見た、彼女のその光景が、尋常ではないように思えた。
けれど、体が、何か震えて
湧き上がってくるものに、理性や意識が、押し流されていく。

…他の男にも、彼女はこうしているのだろうか。
マナさんを抱いたことは無いけれど、彼女とこういった行為をしていることに、違和感がない。
彼女のこんな様子が、用意に思い浮かべられたからだろう。


突然、彼女がペロペロと舐めていただけのそれをぐっと口に含んで
生暖かい口内に包まれて、腰がヒクッと反応してしまった。

彼女の口内に包まれたまま、ズボンを引きおろされて、脱がされて




晒された片足を、彼女に持ち上げられた。

「え…」

そんなことをされて、彼女がこれから何をするつもりか分からなくて
目を白黒させていた。




「アッ…え?…ぁ…」
ぬるっとした感触で、足の間に…後ろに、違和感。
何かが“入った”のを感じた。

「…ひ、っ!!!!!」
何をされたのか、遅れて気付いて愕然とした。
彼女の指が…

「ま、マナ、さっ!!!何してるんだ!!!!」
「見ての通り。」
「あ、っく…き、汚いから、抜いてくれ!!!!」
信じられなくて、気が遠くなりそうだった。

彼女が手を出したのは、性行為に関係ない、排泄器官。
この人は、何を考えているのか分からない。
分からなくて、混乱した。


抜けといわれて、彼女が大人しく抜くはずがない。
あざ笑うように彼女は指を奥まで…
信じられないほど、奥まで、無理矢理突っ込んできた。
ここまで入ったよ、なんて言いたげに、奥のほうで指をクイッと曲げて動かした。

さっきまで胸に刻まれていた痛みとは違う。
強い痛みと、それ以上に異物感。
日々の製造で荒れた彼女の指で、中が傷つけられているのではと心配になる。
こういった行為のとき、そこには男性器を入れるのは知っている。
今はならされていないから、指一本で辛い。

でも、それ以上に、そこは…汚いはずで
気が遠くなる。
こんなこと、したくないのに。
これは、何かの罰か?




唇を痛いほどに噛んで、眉間に皺を寄せて
俺は泣きたい気持ちと、理性も手放したい気持ちを抑えていた。
尊厳なんて、持っているつもりはなかったが

男としてのプライドはボロボロだ。
マナさんの前でそんなものが通用するとも思えないが。



「アナルセックス、知らない?」
彼女が楽しそうに笑いながら聞いてくる。
知っている。
だがどう考えてもそれをしたいとも思わなかったし
それは男女間でするなら、当然女性がいれられるがわだ。

「シェイディ」
こんなことをして、彼女は楽しいのだろうか。
いや、楽しいからしてるんだろう。

「シェイディ」
彼女がさっきから俺の名を呼んでいるが
もう、返事をする気力もない。

直腸内で何かが動いていて…奇妙な排泄感がずっとあって気持ち悪い。
けれど、彼女はその中でも快感を与えられる場所を知っているようで
そこを指先でぐいぐいを突き上げてくる。

声を、ただこらえる。
こらえすぎて、喉が痛い。

「シェイディ…返事しろって」
お仕置き、とばかりに痛いほどに中で指を強く折り曲げている。
…さっきよりも、そこの入り口が押し広げられている感じがする。
見たくはないが、指を増やされたんだろう。
なんだかやるせない気持ちでいっぱいだ。

返事なんか、もうしたくない。
精一杯の抵抗だった。

けれど、逆らえば酷い仕打ちが来るのが…この女性だ。



「シェイディ〜?」
彼女はにやにや笑いながら、木箱から何かをだした。






それを見た瞬間、血の気が引いた。
「まっ…」
まさか

力の入らない足を動かして逃げようとしたが
すぐにマナさんにガッチリ掴まれる。
…彼女の馬鹿力には毎回感服させられるばかりだったが、こんなとこでもそうしたくなかった。
俺のおびえた反応を、すごく楽しそうに眺める彼女が、ものすごく憎い。

「い、嫌だ…!」
「シェイディー、返事はー?」
「ま、マナさっ…それは、嫌だ…!!」
返事をしても、どうせ彼女はやめてくれないだろうけど。

「大丈夫大丈夫」
何が大丈夫なもんか…!!


多分、女性に使うはずの
男性性器を模った、紫色のローター。
それが、さっき彼女の指でぐちゃぐちゃにされたところに押し付けられた。

「いっ、アァ…!!マナ、さん…!」

彼女は最後まで、笑顔のまま
俺の髪を撫でて、それを無理矢理突き入れてきた。




全身がビクビク震えていた。
なんだろう、この吐き気は。
下半身が、有り得ない痛みに痙攣している。

「やっぱ、初めて見た時から思ってたんだけど、シェイディっていぢめ甲斐があるよな」
彼女の楽しそうな顔を見たら、少しだけ頭が冷静になった。
「…れ、は…別に、マゾじゃない…」
「知ってる。マゾなんかいじめたいと思わん。相手に喜ばれるなんて、楽しくもなんともない。」

やっぱり真性サドだな…
今更改めて再確認してみる。



大して触られていないのに膨張して、なんだか情けなく立ち上がっている性器、それを彼女が指先でなぞる。
「今度、こっちにもピアス入れてみる?」
彼女は相変わらず楽しそうに、いたずらっぽく笑って
そんな恐ろしいことをサラリという。

今、耳に3つ開いているピアスホールだって、何もわかっていなかった商人成り立ての俺に、彼女が遊びのように続けてあけたものだ。
あの痛みだって冗談じゃないと思ったのに。


「そこまでされたら俺舌噛んで死にます!!」
かなり本気だった。
マナさんは俺の心情を他所に、まだ楽しそうにしている。


急に密着していたマナさんが離れて、指先でもて遊んでいた俺のものに、またがった。




マテ。

「マナ、さん…ちょ、これ…抜いてく」
「同時攻めってカナリ気持ちいいよー」

…つまりは挿したままってことか!?
「うっ…」
ズルッと一気に彼女は腰を落としてきた。
もう彼女の膣は十分に濡れていて、簡単に最奥まで入ってしまった。

性器全体に湿って、温かい感触が広がって
呆気なく繋がっていた。

ただし、余計なところに余計なものも繋がっている。
彼女とはじめてのセックスだというのに、余韻も何もあったもんじゃない。
マナさんにそんな綺麗な気持ちは期待したこと無いけれど

「嫌、だ…抜いて、くれ…」
「すぐ気持ち、よくなる」
彼女は俺の上で、身体を上下に揺らしている。
彼女が快感を得るというより、俺への愛撫の一環のように穏やかに動いている。
そうしたまま、彼女が俺に刺さっているものを乱暴に掴んで、もっと押し込んできた。

「うっ!やめ…!!」
「あっ、ぁ…」
俺の抗議の声と、彼女の甘い声が混じる。
後ろの異物感に慣れれば、ただのセックスと思って感じられるだろうか。

だが、それで彼女は済まさせてくれるはずは無く
突き刺さっているバイブを指で押し込んだ。
「ア、ア…!」
彼女とつながっていることはまるでオマケかのように
腰を時々動かす程度で、俺の肛門にしっかりと埋まっているローターを強引に抜き差ししたり、ぐりぐりまわしてきたりする。

もう、プライドも突き崩されそうで、涙がにじんだ。
泣き喚くことはしなかったが、そうしたいと思いながら、彼女の腿を掴んで震える声を漏らしていた。
彼女の前では子供のように為すがままにされる自分が情けない。
そして、こんなめちゃくちゃで恥ずかしい行為を強いられているのに、確かに快楽を感じている自分が情けない。

「あ、あぁ!!うっ、く…ぁ!ま、マナ…さ、ん」
子供を宥めるように、やさしくカーゼに覆われていないほうの胸をなでてくる。
けれど、次には乳首に爪を立てられて、なんだか裏切られた気持ちになった。

「そろそろ、ラストスパートいってみる?」
「ハッ…ぁ、んっ…?」
俺の上で、目を細めて笑いながら、舌なめずりをして見せた。
その妖しい様子に、ゾクリとする。

彼女は背筋を伸ばして姿勢を正すようにして、俺に挿れたままのローターを少し動かした。


「っあ!!ひ、ぁああ!!!!嫌、だ!!や、やああああ!!!!!」
もともとそうゆう道具だったのだろう。
初めて犯されて、狭い直腸内で、ローターがぐりぐりと自動で回りはじめた。
その普通では体験しえない感覚に、神経が、頭がおかしくなりそうだった。

モンスターを体内に埋め込まれたような、すごい不快感。
けれど、下半身から頭の方まで、電流のように快楽が流れる。
頭がまっしろになって、声が抑えられない。
涙が溢れ、耳の方まで流れてきた。

ローターの根元のほうにある別にくっつけられた突起が、睾丸の間に押し付けられて
そこも、機械的な妙な動きで翻弄してくる。

人間以下の扱いをされている気がした。
屈辱的だ。
玩ばれている俺を、マナさんは満足げに見つめて、激しく腰を降り始める。

どこもかしこも、マナさんに犯されている。
けれど、気が狂いそうになりながら、涙に濡れた目をなんとか開けると
一緒に快楽を感じてるマナさんがいる。
彼女にはまだ余裕がある。
今までずっと戦闘や、製造の手ほどきをしてくれたときと同じように自信に満ちた笑みを俺に見せた。

この強い女性に、確かに俺は惚れたんだ。
どれだけ屈辱を与えられても
玩具のように扱われても


けれど、ちょっとの反抗…いや、それは精一杯の彼女への応えだったのかもしれない…
彼女を下から突き上げた。
「あぁっ…」

腰を動かした瞬間、俺を貫く物を更に中に侵入させてしまったような気がして、腹の奥に鈍い衝撃を感じた。
体がビクンと震えた。

けれど、マナさんが確かに小さく声を漏らしたのを聞いて
褒めてもらったからがんばっている子供のように
俺に苦痛が広がるとしても、彼女を何度も小さくでも突き上げた。

「あ、ぁ…!あっ!ふぅ…シェイ、ディ…!んっ、イイよ…」
「ハァ!!っ、く、あっ!!…アッ!!ま、マナさ…!!もっ…」
もう、彼女を突き上げることもできなくなった。
頭がボーッとする。
限界がもう来ていた。

「ダメ!!ぁ、で、出る!!放してくれ!!」
これでは彼女の膣に射精してしまう。
思えば事前から避妊具など一切使っていなかった。
いまさら遅いかもしれないが、せめて中で出してしまうのは避けたかった。

「イイよ、やれば…?」
「ハッ、な…?ぁ、うあっ!!あああ!!!」
とどめとばかりにローターを痛いほどに突き込まれ、掻き回されて
彼女の膣内に射精を終えてしまった。

「あっ、ん…は、は…随分、勢いがいいな…」
彼女は楽しげに笑っているが、万が一妊娠してしまったら困るのは彼女のほうだ。
慌ててなんとか体を起こしたが、中でローターが内壁にめりこんで悲鳴を上げた。

けれどそれでもなんとかマナさんを引き寄せて、俺の性器を抜かせて
俺の精液がたっぷりと注ぎ込まれてしまった膣に指を深くまで突っ込んで、強引に掻き出した。
「やぁ、ん!シェ、ディ…んな乱暴に、すんなって…ぁっ」
「妊娠したら、困るのはマナさんだろ…!!」

彼女は相変わらず笑っている。
掻き出された精液は、思い切り俺の腹の上に流れ落ちてきて、とにかく不快だ…。

「…く…もったいないなっ、せっかく、シェイディの…んっ、初めての…なのに…」
「だからって入れてたら妊娠するって…!」

彼女は微笑みながら、俺の頬に手を添えてきた。
「いいよ…シェイディの、だから…中に出させたんだよ…」
「…え…?」

彼女は、いつも通りに笑っている。
そして俺に触れるだけのキスをしてきた。
「…今度は、普通にやろう。」
「…じゃあ、ちゃんと避妊具を」
「いらない。」
すっぱりそう言い切られて、今度は深く、欲情的なキスを迫られる。

本当に、どんなときでも俺は彼女に逆らえないと、実感させられた。













「…ふ、ゥ」
シャワールームから出て、顔を冷たい水で洗い、タオルを顔に当てながらホッと一息ついた。
朝から体がだるかったし、疲れて軽く体を拭いただけでそのまま眠ってしまったので、昨夜の汗が少しベタついて気持悪かった。

「……あ」
洗面台の鏡を見て、今更ながら気付いた。
シャワーを浴びるのに、昨日彫った刺青に当てていたガーゼを外したが、まだできあがった刺青をよく見ていなかった。
左胸の上に彫られたそれはとても見覚えがある。



「…イイ出来だろ」
しばらく刺青を眺めていたら、いつの間にかシャワールーム
の前に彼女がいた。

「マナさん…これ…」
その胸に彫られていたのは、彼女の背にあるのとほとんど同じ…左右対象のものだった。
彼女は何故か苦笑いをして、シャワールームの扉を閉めて、俺と鏡の間に立った。
俺に背を向け、こちらに体重をかけてきた。
そうすると、多少の身長差はあるものの、刺青がぴったりと重なり合うことに気付いた。
二人の心臓の間で。

「シェイディ……」
彼女と鏡越しに目が合った。
「お前は、私みたいな奴とはさっさとおさらばしたいとか思うか?」
そんなわけない、迷わずその言葉が口をついて出た。

「…お前はそこまで考えたことはなかっただろうけど…
私は、ずっと、一生お前といることを考えてたよ。」
その言葉に驚いて、目を丸くした。…かなり情けない顔だったろう。
しばらく俺は言葉に悩んだけれど、返事の代わりに彼女の体を後ろから抱きしめた。

あんな怪力があって、酷いサディストで、それでも抱きしめれば…力を入れると折れてしまいそうな気がした。
「マナさんが、それでいいなら…」
鏡も、マナさんも見ないで、ただ彼女の耳元でそれだけやっと言って、首筋に顔をうずめた。

正直、うれしかった。
ずっと彼女は男に見境ない気がして、キスとか体に触れ合ったりしたことはあっても体の関係はなかったし
俺はいつまでも子供に見られている気がして、いつ捨てられるか不安だった。

「私でいいなんて、物好きだなお前も」
「でも、マナさんがいい。」
そういうと、彼女は今までにないくらいうれしそうに笑っていた。



その対になる刺青は、俺たちなりの婚約指輪代わりになった。