こんにちはオアはじめまして、22歳独身恋人募集中のハンターです。
名前はまぁお近づきになれましたらそのうち。
チャームポイントはちょっとクセっ毛な黒っぽい茶色っぽい髪です。

髪をチャームポイントというあたり、平凡な顔だとお察しください。
バレンタインチョコは毎年義理でも嬉しいという定番です。…悲しいなヲイ。
あと苦労症なところでしょうか。俺にとっては立派なチャームポイントだと思います。
世のお嬢さん方、俺に母性本能をくすぐられてクダサイ。

そして恋人になってください。 シクシク

俺の鷹の名前はミヤビ。可愛いです。
だからって鷹と結婚してしまえとか、どこぞの俺の姉のような寂しいことを言わないで下さい。
そしてこの子は飛んでくれません。

飛べない鷹はただの鷹だ。

…なんだか寂しくなって謎なことを言ってしまった。
てゆーか飛んでもただの鷹だろう。
そんなつっこみをくれるお嫁さん募集。
みんなにツッコミだツッコミだ言われるけど、自分としてはボケ希望。

 

さて、だいぶ話がそれました。

現在、俺はプロンテラの南門の城壁に寄りかかっています。
先日この辺で臨公を探していたら、どこからともなく現れたプリーストにペアに誘われ
彼と時計塔ではちゃめちゃしてきました。

そいつと宿屋で一緒に泊まって、朝帰りしたらイロモノ姉御に問い詰められ
『ふざけた男プリが狩りのあと寝やがったから、仕方なく宿まで運んで一緒に泊まっただけだ』
と話したら

『お前、今日も臨時探し行ってこい。でもってそのプリ探して、次はうちまで連れて来い。』

と、カタナを突きつけられて脅されました。
…カタナなのは雰囲気でしょう。なんだか姉御が武者に見えた瞬間でした。
ちなみに姉御はAGI>STR騎士です。オーラに向かって闊歩中。

そんなわけで、あの面白大呆けプリを探して回っています。
でも、そう簡単に見つかるわけが…

 

 

 

いた。

 

木の下で臨時募集する人たちを眺めてマシタ。
多分、自分に合う臨公を探しているわけではないんだろう。
彼は極殴りプリで、回復苦手のソロ仕様で、暇つぶしのようにペアを探してるんだから。
じゃあ何をしてるんだろう…と思って立ち止まって彼を眺めてみた。

一見細そうで、けれどそれはAGI型だかららしく、本当はかなり引き締まって戦闘型。
看護帽なんかつけているから余計に支援プリに見える。
金髪がキメ細やかで木漏れ日によく光って…
顔立ちも整っていて、伏せる瞼の金髪が綺麗で…その下の瞳も、マリンブルーで綺麗。
男の俺が見ても、ドキドキしてしまうほど…

ってかマテ。
前回会ったとき、俺はこんな反応していたか…?
てかこうして他人のように見て見ると綺麗なんだ!!
けど実際関われば、それはもうすんごい……。
アイツが看板立てて、それに乗ってくるヤツがいたら
ソイツがいざ狩りに行って慌てふためく姿を見てやりたいと思う。

てかそうして慌てふためいていたのは前回の俺ですが。

「ん…?」
ちょっと前の時計塔でのやりとりとか、話していたこととかを思い出し、一人で笑いそうになっていたら
彼が看板をひょいっと立てた。

 

『私と遊・ん・で・くれる人☆募集vV』

 

「そんな夜の歓楽街のような募集看板をたてるなああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

思わず彼からギリギリ見えるか見えないかの位置から高速で走り寄って彼のたてた看板を蹴り倒した。

「わあっ高速で承諾ありがとうハンタさんvV」
いきなり彼はキラキラした目で俺の手をぎゅっと握ってきた。
いや、俺はペア狩り希望したんじゃなくて…

「じゃあさっそくプロ北ダンジョンへGO!!!」
「しかもそんな微妙なところかよ!じゃなくて、俺は狩り希望じゃない!!」
会って早々疲れだした俺は、彼と距離をとった。

「えー、じゃあ何ですか…ってああああ!!!!!先日ご一緒したハンタさんじゃないですかー!!!!」
「今更かよ…」
てっきり出てすぐ気づいてもらえたかと思っていたら…。
「わーその節はどうもご迷惑をおかけしました」
「いやいや…別に…」
深々と頭を下げられてちょっと俺のほうが困ってしまう…。

「あー、っと…あのさ…」
「はい?」
彼はにこにこして小首をかしげる。
…可愛いな。お前男か?
とりあえず今回はこいつをうちに誘うためにプロに来た(というか追い出されてきた)んだが…
いきなり、俺のうちに来いとか言うのもあれだし…。

「よかったら、フェイヨンダンジョンにでもペア狩りにいかないか?」
やっと出たのは、なんとかフェイヨンまで行ってしまおうという計画だった。
…なんだかだんだん、いたいけな子を連れ込もうとだましているような気分になってきた…。
もちろん決してそんなことはないのだが…!!!!

「またご一緒してもらえるんですか!?ありがとうございます!行きますー!!」
案の定、彼はうれしそうにはしゃいで、俺の手を握ってきた。
…この無垢な笑顔に罪悪感を感じるのは何故だろう…。

 

そんなこんなでフェイヨンダンジョンに来たが…
3Fはもう楽勝だし、4Fは人が多くて敵がなかなか取れない為経験値があまりウマくない。
てわけで5Fに行ってみた。
まぁ、時計のほうがいいかなぁ、とか思ったが、結構また楽しく狩れたのでよしとしよう。

「あ、月夜花だー可愛いー殴っていいですか?」

「お前には取り巻きの狐の群れが見えんのかごるぁああああ!!!!!!」

殴っていいとか聞いておきながらすでにチェインを持って殴りかかろうとしていたプリのあのデカイ襟を掴んで、俺はバックステップな勢いで逃げ出した。
人間必死になれば、普通できないスキルも使えるんですね…

でも、逃げた先にホロンの群れ。
必死に二人で武器を持ち替えて殴っていたら、追いかけてきていたらしい月夜花軍団に追いつかれて
合えなく御用。

『は、ハンタさぁん…なんとかがんばってそっち行きますから待っててください〜!』

彼はSPが切れるか、相棒が倒れるかして危険になると、速攻飛ぶ。
けれど、それは彼が今までの経験から学んだ最善策であろう。
俺もここだけには彼に共感できる。
なので、月夜花達に囲まれて死んでいるのは俺だけである。

『あー…いや、こっちくるの大変だろ。カプラサービスで戻るわ。』
『あ、了解です。清算はダンジョン入り口でいいですか?』
『おう。じゃあ、また後でな。』
『はいー』

 

 

 

俺が蘇生されて、ダンジョン前にたどり着いたのはもう夕方だった。
思ったよりも時間がかかってしまった…。

「はーい、首都行きのポータルでまーす!」
彼はダンジョンの入り口から少し離れたところで、ポタ屋を開いていた。
依頼人や便乗する人々に手を振り、笑いかけて見送る。
…どこでも見る風景なんだが…なんだか、プリーストっていいなーと思ってみた。
母性的というか…
あいつは男ですが。

「待たせた」
「あ、お帰りなさい」
俺が近づくと彼はいつもどおり微笑んで、『【ポタ】首都・時計・魔都:400z』という看板をたたみだした。

「…400zって、赤字じゃないか…?」
「ソロでは伊豆なので、ブルージェムストーンは自力で結構とれるんです。」
だからそんなでもない、と言うが…それでも普通、青石代くらいきっちり取るだろう。
優しいのか、適当なのか…
彼は儲けより、ボランティア精神が旺盛なんだろう。
殴りのくせに、聖職者らしいやつだ。

「あのさ、俺の家、フェイヨンにあるんだ。よかったら…泊まっていかないか?」
遊びに来ないか、といおうと思ったのだが、もう日が落ちるのでそれでは少しおかしいかと思い、とっさに言い直してしまった…。
まぁ、空き部屋も結構あるし、人一人泊めるくらいなんともないだろう。
むしろ、姉御は大歓迎するだろうし。
というか連れて行かないと俺がボコられそうだし。

「え…いいんですか?」
「ああ。姉御がいるんだが、お前に会いたがってたし、泊まるくらい問題ないだろ。」
「わ、いいですねっ!!お邪魔したいです!!」
「じゃあ行くか。」
「はいー!!」
俺が先を歩き出すのを、子犬のように彼はパタパタと走って追ってきた。

 

俺のうちはダンジョンから結構離れているが、フェイヨン村はそんなに大きくもないので、すぐについた。
村の少しはずれにちょこんと立っている、質素な木造建築。
まだ俺たち姉弟が一次職で頑張っていた頃、稼ぎを寄せ集めたり、残された親の遺産を使ったりして買ったから贅沢はいえないが、それでも俺たちには十分すぎるほど広くていい家だ。
見慣れた家の扉をあけた。
「ただいまー」
「お邪魔しまーす」

ドダドダドダドダドダドダ!!!!!

 

来たか。
家のいたるところにいたいい年した女たちが騒がしく終結してきた。
あっという間に囲まれた。
「どうよ例のプリ!!」
「おお!!思った以上に素敵だ!!」
「愚弟のくせに綺麗な人捕まえたわねぇ」

…俺たちを囲むみっつの同じ顔がくちぐちに言う。
勘違いしていた人もいたかもしれないが、我が姉御は一人ではない。脅威の三つ子である。
顔は俺でもちょっと悩むことがあるほど似ている。なので、彼女らはわかりやすいよう髪の色で分けている。
青が長女、緑が次女、赤が三女である。職業はそれぞれ騎士、プリ、WIZとバランスが良い。よく三人同じ顔をそろえて狩りにいってる。
…どうせ俺は邪魔者だよ畜生。

「はじめまして、お邪魔します。弟さんにはお世話になっています」
…始めてみる人間は結構この三人にビビるのだが、彼は意外にも相変わらずうれしそうな笑顔で挨拶をするだけだった。
「こちらこはじめまして〜!」
「そろそろ来るんじゃないかと思って、夕食を用意してたんですよ」
「どうぞ入ってください。」
強引…というより、もう強制で彼女らはプリを家の中へ引きずり込み、外に人がいないか確認して鍵をしめた。
…犯罪者かおのれ等は。

「…料理?作ったのか?姉御が…?」
俺は思わず、一番近くにいた三女に聞いた。
「ふふふ…抜かりはないわよ…」
抜かりってなんだよ。
美味くできた、ってことなのか?
それにしてはなんなんだそのブラックな微笑みは…!!

ちなみに、いつもの飯係は俺なので、女三人は皆見事なほどに料理音痴。
…あのプリ、大丈夫だろうか…。

 

 

  トンネルのむこうは、

       地獄絵図の食卓でした。

 

 

「出してくれえええええええええ!!!!!!!」

あまりに壮絶な食卓の様子に、泣き叫んで鍵がかけられた窓を開けようともがいた。
「いきなりなんだよお前は!!」
それに姉御からすかさずとび蹴りが来た。

「なんだよこのにおい!!ありえねぇよ!!!てゆーか窓開けろよ!!!」
部屋中に充満した、生魚がわさびをつけたまま焦げて飛び回ったような臭い…。
つまり生臭くてツーンとして焦げ臭い…。
キツい…これはきつすぎる…
そしてガスマスクをつけた次女よ…臭いと自覚しているなら窓を閉め切るな…。

「何、私たちが丹精込めて作った料理が臭いってーの?!」
「シュコーシュコーシュコー!」
「てか、窓開けたら
叫び声が聞こえちゃうじゃない。」

どう考えても臭いです。
ガスマスクつけてるんだから分かるだろ。
そして小さく叫び声とか言うな…

「あの、でも子デザ焼肉ありますよね?匂いが強いお肉ですし、
焼肉するときは換気しないと匂いが壁やカーテンに染み付いちゃいますし
色も変色しやすいですから少し開けたほうがいいと思いますが…。」

 

 

 

「ああ、そうよねぇ!!」
「…プハッ、早く開けなきゃ〜」
「ごめんなさいねうっかりしてたわ〜」

なんなんだよこの女たちの豹変振りは…。
とりあえず、正論でまとめてくれたプリよ…感謝する。
アンタもまともなこと言えたんだな。
けれど横顔は顔色が悪くてフラフラしている…俺もそうだろうが。

 

ちょっと形は悪いものが多いが、それでも食べ物には見える料理。
味は

食欲旺盛な俺が水ばかりで腹を満たしたということからお察し下さい。

けど、あのプリーストはパクパクと食べている。
美味いとはやっぱり言わないが、ちょっと塩辛いとかもう少し焼き加減を抑えたほうが良いとか上手いこと言ってごまかしている。
いや、ごまかすというよりもそれで姉達と話題を得ているといえる。
料理が得意だという彼は姉達にこうするといいとか、あれを入れると意外と美味しいとか、そんなことを話している。

ちょっと離れてそれを眺めて、ホストクラブのようだと思った。
…畜生、どうせモテるんだな、こいつ。

 

 

「あれだね、もう彼で決定よね弟。」
「そうよね、いいわよねモテない弟。」
「私は彼以外にいないと思うわ、女に逃げられまくった弟。」

「俺になんの同意を求めてるんだ、そして軽いイジメですか…。」
俺だって未だに同じ顔三人に迫られるのは腰が引けるのに、これにずっと愛想笑いできていたあのプリーストに心から拍手を送りたい。

風呂へ促された彼が、またもやハニーフェイスで「レディーファーストですよ」といって姉達を風呂に入れさせて
俺までも「家主さんを差し置いてなんて入れません」とかご丁寧なことを言って先に入れさせて
そして今度こそ彼が入っている今現在。
あいつがいないうちにとばかりに風呂上りでホカホカな俺に詰め寄る三人。


「「「何って嫁入りさせる相手よ!!」」」


声をぴったり揃える三人。
この三人じゃ入るもんも入らないだろう。
って…
「嫁じゃなくて婿だろ。てゆーか誰の婿だ?まさか三人一緒じゃないよな。」
そうなったら速攻あの男は過労死する。





「は、なにいってるの。アンタの嫁に決まってるじゃない。」

 

長女がサラリと意味深なことを言う。
え、ちょっと待て?
「姉御、あいつ男。」
「分かってるわよ」
「どうせ女にはフラれまくりじゃない」
「このさいイイ人なら男でも」

「よくねええええええええ!!!!!!」

腹の底から叫んで姉達を突き飛ばそうとしたら、あっさり腕を捕らえられて床にねじふせられた。
そうでした、この人たち皆俺より全然ハイレベルでした。
顔の近くに緑の髪が見えたから、多分押さえつけているのは次女。流石完全支援DEXプリ、間接技が華麗にきまって…っていてえええ!!!

「ちゃんとアタシらが上手くやってやるから、しっかりゲットなさいよ!」
「いや女よりも可能性が恐ろしく無いし!!」
「つべこべ言わずにあんたは…」

 

ガチャッ

 

あ、固まってる。
「…えーと、お邪魔でしたか…?」
風呂から出てきて頭にタオルを載せているあいつが、困ったように笑んで俺達4人を見ていた。
思わず姉3人俺から飛びのいた。

「いやいやいやいや、別にいじめてたわけじゃないわよ!?」
「ちょっと体術の訓練をこの子にね!!」
その様子を見て彼は笑みを崩さないまま首を横に振った。

「姉弟仲が良いのも悪いのも良いことですよwところで、ハンガーお借りしても良いですか?」
そう言って、彼は手に持っていたプリーストの法衣を軽く持ち上げた。
「…ああ、アンタ用に整えた空き部屋あるから、そっちにかけてくれ。」
「すいません、ありがとうございますー」


「「「ちょっと待ったああああ!!!!!」」」


「ぐふっ」
部屋へ案内しようとした俺の髪を三人に同時に掴まれて、首がおかしな方向へ曲がった。

「「「プリさん用にーと思ってた部屋にゴキブリが出て、さっき殺虫剤まきまくっちゃったのよ。だから悪いけどコイツの部屋で一緒に寝てください。」」」
見事に三人の声がハモっている。
…打ち合わせしたな。

言われて彼は大人しく分かりました、と頷いた。
ここで俺が変に口を挟むの、この掴まれた頭を捻じ曲げられそうで怖い。
ので大人しく俺の部屋に案内した。

 

………。

「すいません、じゃあ早速ハンガーを借りますねー。」

ちょっと待てそこ。
部屋についてツッコミを入れてくれ。
いや、この以前のこの部屋を知らないこのプリーストにそれは無理か…?

とりあえず、俺の目から見ても一瞬変化に気付かなかった。
だが俺はいつも部屋に戻るとソファーに飛び乗るのがクセで…
ソファーが跡形もないことにまず気が付いた。

そして次に気付いたのはいつもの二倍のサイズになったベッド。どうせ独身の俺がダブルベッドなんてもんを持ってるはずがない。
しかも部屋に良い香りがすると思ったらベッドサイドにアロマオイルみたいなものがある。
…俺にはそんな乙女チックな趣味はない。

とりあえず、あの姉達の仕業であるということと、俺とコイツを同じベッドで寝させようとしていることは分かった。ものすごい分かった。
床で寝るわけにもいかないし、ここは何食わぬ顔で同じベッドに寝てもらおう。
同じ男同士、そんな間違いなんぞあるわけでもない。

ざまぁみやがれ意識過剰三姉妹め。

 

彼はベッドに嫌がることなく入ってくれて、俺達は適当な位置で向かい合って寝転がっていた。
姉達が寝酒と言ってフェイヨン地酒をくれたので、俺の姉達に対する愚痴を酒の肴にして飲んでいた。
といっても、彼は下戸らしく全然飲まず、俺一人でゴクゴク飲んでいる。
彼は嫌な顔一つせず…むしろ面白そうに聞いてくれていた。

「いいなぁ、姉弟喧嘩…僕もしてみたいです〜」
話が一区切りしたところで彼がポツリと漏らした。

「アンタ、兄弟とか居ないのか?」
「家の事情で知らないんですよねぇ…」
「家庭の事情?」
「ええ、両親が離婚して…確か何人かいた筈なんですけど、僕は幼かったから覚えてないんです。」
「そうなのか…じゃあどこか親戚で?」
「祖母のところでお世話になったんですけど、僕が12の時に老死しました。」

「…それから1人か?」
「ですね〜。むしろ祖母が居るときから介護生活みたいなものだったので、すっかり家事マスターになりましたよ。」
確かに、姉三人に料理を教えていたのを思い出せば頷ける。

「じゃあ、寂しかったんじゃないか?」
「今は楽しいからいいです。」
フッと目を細めて浮かべた笑顔は、男っぽくも女っぽくもない独特の綺麗さがあるなぁと思った。

それにその言葉から寂しかったことを肯定しているのが伺える。
なんとなく、急に彼が子供っぽく見えて、その頭をぽんぽんと叩くように撫でた。

「お兄ちゃんてこんな感じなんですかねぇ…」
俺は兄貴役か。
「俺が子供の時は、姉御たちとこうやって狭いベッドの中でどつき合って俺ばっか痣作ってたけどな。」
「完全に上下が出てますね。」
「まぁな…」
確かに、いつもこき使われいじられ遊ばれ…不満はいっぱいあるけど、こいつからしたらそんな環境も羨ましいと思うのだろう。

ちょっと姉達の存在に感謝してしまった。

突然、目の前でプリーストの姿が消えた。
布団がもごもご動いている。

「とりゃあ!!」
「うおっ!?」
布団の中で俺の方に飛び込むようにして腹に頭突きをしてくる。
そんなに痛くは無いが、不意を突かれて息が詰まった。

布団から顔を出して俺の胸辺りで楽しそうな笑顔が…って顔近いよオニーサン。

本当に子供っぽく「えへ」とかいいながら俺の胴体に抱きついてくる。
親にこうやってくっついたことも無いんだろうなぁ。

「お兄ちゃんというより親父?」
「なんで言い方が変わってるんだよ、って親父かよ…」
「暖かくて気持ち良いです〜」
「あー、そうですか…親父を堪能するがいいさ、親父を。」
くっつかれるのも悪い気がしなかったし彼が本当に子供っぽく見えたので、俺からも頭をぎゅっと抱きしめてやった。ぎゅっと。

「ぎゅふっ」

あ、潰れた。

小さく笑いながら、俺は腕をそのままにして目を閉じた。
姉御が置いたアロマオイルの匂いと腕の中の彼のシャンプーの匂いがほのかに混じり、鼻腔に心地良かった。





こんなのが嫁に来たら、絶対遊びまわすだろうなぁ…
とか眠り込む直前に思ったのは、睡魔にほだかされたのだろう。と、思いたい。

 

 


「はい、今日の朝ごはんはお赤飯よ!」

なんで朝っぱらから赤飯やねん。
と思いつつ寝起きスッキリのプリとまだ半分眠っている俺はテーブルについた。
そして出された茶碗を見て俺は一気に脳みそが大覚醒する。

「これはもはや赤飯じゃなくてただの、赤黒い飯だったものだああああああああああ!!!!!!!」

今度はナニを入れたスットコ三姉妹が!!
俺がひっくり返した姉達が赤飯と言い張るもの明らかにあずきの赤じゃなくて血が色あせたようなグロテスクな赤い飯は、テーブルの上に散らばると異様な腐臭を漂わせた。

「気にすんじゃないわよそこ!赤飯なんてとりあえず赤けりゃおめでたいのよ赤けりゃ!!」
「ゾンビの食事のような赤いものを出しておいておめでたいとかいうなよ!
…って待て待て!流石のアンタでもコレを食ったら死ぬぞ!!礼儀とかこの際どうでもいいから命を大切にしろ!?」
不意に隣の人がその赤い飯を呑気にいただきますとかいいながら食べようとしたので急いで止めた。

「だって折角お姉さん達がお祝いして下さってるんですし」
「だからってこんな猛毒な…って、そういやなんで赤飯なんだ。お祝いってなんだよ。」

後ろで姉達の怪しい低い笑い声。

「フッフッフ…あんたがいつまでもぼやぼやしてるから」
「私達が先に話をつけて差し上げたわ!」
「ついでに書類ももうできてるよ!」

と、言って彼女らが俺達の前に出したのは

 

 

 婚 姻 届 。

 

ビリビリビリビリ

 

「きゃーーー!!!なんてことをするのこの愚弟!!」
「お前は姉達の行為を無残にも引き裂くというのか!!」
俺がその薄っぺらい書類を破るのを見て、次女のわざとらしい悲鳴と叫び、続いて長女が鬼の形相をして剣を構え、その後ろで三女が魔法の詠唱を…するなよそこ!!!
「阿呆だろ!!なんで勝手にコイツを巻き込んでるんだ!てか勝手に婚姻届に俺らの名前を書くなよ!!」

「あの…」

「お前も昨晩納得しただろうが!むしろ
初夜を迎えたのだからこのまま婚約して挙式を…

「ぜんぜん納得してないし!!順番違うし迎えてねえええええええ!!!!!」


「あのぉ…」

「安心して!!こんなこともあろうかとあと10枚ほど書いてあるわよ!

「「グッジョブ、流石INTカンスト」」

「全部出せ!!全部引きちぎってやるー!!」



「あのーーー!!!」

さっきからあのあの言っていたプリの声は俺達の耳に一切入っておらず、たまりかねて彼はエンジェラスを唱えた。
ガンゴンガンゴンうるさいな、話聞かなかった俺らが悪いけど。

「僕は別にかまいません、むしろ…すごく嬉しいです。」

 

 

 

 

 

「「「  (゚д゚)  」」」

いや、三人とも自分でしかけておいてポカンとするなよ。
もちろん、一番ポカンとしてるのは俺だ。
プリは俺らを見てもかまわずニコニコしている。

「待てよ…おい、だって…意味分かってるか?」
「はい、こんな僕でよければ是非もらって欲しいです。」
え、ちょっと…マジデスカ。
いきなり俺の嫁さん決定?
そりゃあ確かにこんな綺麗だし家事もできるらしいし性格も可愛くて申し分ない…

 

 

って待て俺
根本的に間違えてるぞ。

 

こいつ男だろ!

重要なとこ忘れるなよ俺!!!

 

 

「それに僕、いつかお嫁に来るならこんな賑やかな家にきたいなって思っていたんです!」
その言葉に姉三人が怖いまでの歓声をあげたが、俺は我に返って彼に掴みかかった。
「ってアンタ自身嫁を承諾なのか!!?ちょっと落ち着いて考えろ!!
お前さんお得意の勘違いじゃないだろうな!結婚ってどうゆうことか分かってるか!!?」
「え、勘違いはしてないと思いますが。小さい時に祖母に結婚について聞いたことがありますし。」

「じゃあそれを試しに言ってみろ!!おばあさんはお前になんて吹き込んだんだ!?」
「え、え、え…えっと…」
彼はしばらく視線を浮かせて言葉を整理しているようだった。

 

「『お嫁に行くってことはその一家の掃除洗濯食事作りという大役を一身に背負って
結婚相手の家族にいびられながらも挫けずに
その仕事を一生こなしていくこと
なんだよ。

お前もそのうちお嫁に行くんだから、今のうちに家事の技術と忍耐力とを
付けていかなきゃいけないんだ。』
と言われて花嫁修業させられました。 」



「やってることは完全にただの家政婦だろそれ!!!!!」

やはり…
この男は祖母にいいように使われてる!!
尚且つ彼をこき使うことを正当化するためにそんなことを吹き込んだんだ!間違いない!!

「いいか!?結婚ってのはそんな簡単なことじゃないんだ!!
人生の伴侶を決めるんだから、もっと慎重に…というかまずはちゃんと結婚に正しい認識を…」
「でもお姉さん達は僕に結婚して欲しいんですよね?それで、そうすると僕は
ここのうちの人になるんですよね?だったら別にかまいませんよ。」
「いやだから…」

説得途中でふと思った。

彼がこんなに承諾したがるのは…昨日話していたことのせいではないだろうか。
兄弟もいなくて、親もいなくて、ほとんど祖母の面倒を見るばかりで…俺達をうらやましいと言っていた。
そういう彼の姿を思い出すと…彼にとってはじめての“家族”ができるチャンスを期待しているのが容易に想像できた。
だからといって流石に結婚する気は無いぞ!てゆーか無理だし!!姉達が許しても国が許さん。



「別に、アンタがここのうちに来るのは全然問題ない…よな?」
俺は語尾を上げつつ後ろを向いて姉御三人に聞く。
三人は同時に頷いたが、その目は明らかに結婚の期待をしている。
だから誰がするかっつの。

「でもだからって俺と結婚するのは間違ってるぞ!?人生を棒に振るなよ、折角モテるんだから。
うちに来たいんだったら部屋はあるからいつでも来ていい。
で、ちゃんと俺がアンタに一般常識っつーもんを教えてやる。
見てて危なっかしいからな、アンタ。」

 

 

そう言った瞬間。

 

 

 

プリーストのバックに花が咲き乱れた。
って少女漫画かよ。
でも彼は本当に花が咲きそうな笑顔を浮かべ、顔を赤くして
俺に抱きついてきた。


「おう、ぬお、あ、うあ!?」

落ち着け俺!!!
赤くなるな俺!!!
彼は純粋に喜びを表現しているだけなんだ!!!

というかいくら綺麗だからって相手は男だぞ、可愛い女の子が抱きついてきてるわけじゃないんだ!!

「ありがとうございますっ、すごく嬉しいです…!」
彼が顔を上げると涙目で、それでにっこりと笑っていて…
相変わらず綺麗だと思っちゃったりするがおにーさん顔が近い!!顔が!!!

しかもなんか姉御たちの方でパシャパシャ音がするのはなんだ!!!
ナニを撮ってるんだ!!??


俺は彼の顔をそらせるため、また腕の中に抱き込んで頭をがしがしと撫でた。

 

「それでは張り切ってお世話になります、不束者ですが宜しくお願い致します。」
「「「いえいえこちらこそ、この愚弟を宜しくお願い致します。」」」
「いやだから俺とそいつをくっつけるなよ!!」
流石三つ子、セリフも声のトーンも早さもピッタリだ。

なにやら養子に来たようなこのプリさんがこき使われて体を壊さないことを祈る…。

 

 

「じゃあ早速ご飯とお洗濯を…ちなみに何が食べたいですかお養父さん!!

「俺、父親役継続か!!!!??」

まぁ、コイツが変なヤツに引っかかったりしないように見張ってやるつもりだが…
そんなことしてるともっとオトウサンとか言われるのか…?

 

 

まあそれでも、折角うちに来た家政f…じゃない、養子だから
しばらくは家族として大切に見守ってやろうじゃないか!!
決して嫁ではない!!

俺は可愛い女の子のお嫁さんが欲しいんだ…!

 

で、このプリをガードするのに大忙しになり
嫁さん探しどころでなくなるのはもうしばらく先の話。

 

 



(・∀・)前作も忘れ去られるような長い間眠っていた大ボケプリ×ツッコミハンタ…
ってこれどっちが受けなのか攻めなのか分からない…。
(つД`;)すいません何も考えずに書いていたらプリが受けっぽいキャラになってしまいました。
プリは攻めですよね!!それともこれってもう彼は受けしかない状況!?



れっつ、りばー(ぁ
いや、もうそこまで私の書く気が残っているかってゆー問題もありますが…。
長いのを一個にまとめてしまったのでとってもスクロールバーが小さくなっております。
こんなのでもお付き合い頂いた方ありがとうございます。

相変わらず日々 萌 え を追求する為にデムパ受信アンテナを動かしまくっていますが
美味く出来上がりません…TT
またしばらくあぷろだや他サイトさまを観察しまくってエネルギーを補充しようかと思います!

萌えの為なら⊂(・∀・⊂三(⊃・∀・)⊃エンヤコーラ



すいません大分不燃焼で疲れております。
ちょぴっとでも笑ったりしてくれる人がいてくれたらなぁと祈りつつ退散いたします。
お邪魔しました&ありがとうございましたw

 

作者 ふー。