コンニチワ。
フェイヨンという森の中にある村に住み着いてます、ハンターです。
ソロです。一人身の男です。嗚呼寂しい…。まぁ、そんなことは置いておいて
我が姉御に「彼女ができなぁい」と愚痴をこぼしていたら、「首都で出会いを探してらっしゃい!」とか言われて尻蹴られてきました。
…ちょっと愚痴を聞いてくれるだけでヨカッタンダヨ姉御…。まぁ、出会いなんかそんなに簡単に訪れるわきゃなく
せっかくなので南門外での臨時公平募集を見て回ってます。
ハンターやウィザードなどの後衛は、アコ、プリの支援や賢者の次に多いので、そんなに困らないッス。けれど、今日はいまいちイイ臨時が見つからない…。
まぁ、焦っても仕方ない。
木の根元に座ってマターリ募集看板を見回す。
「ハンタさんハンタさん」
うおっ!うとうとしてた!!
声がしたほうを見ると、プリーストが四つんばいになって俺の方に顔を寄せてた。
ちょっと長く伸びた金髪がとっても綺麗。
が、これが女の人だったら出会いなんだけどね〜…イイ線行ってるのに残念ながら男。「あ、はい?」
「ペア探してますか?」
ん〜いや、探してたのは臨時なんだけどね〜。
この際どっちでもいいや。「まぁ、適当に狩りに行こうと思ってきたんですけど」
「じゃあ、よければご一緒しませんか?ハンターかウィザードの方を探していたので」
まぁいっか〜、なんて気持ちで俺は了解した。
そのまま俺達は時計塔へ行くことになった。ちょうどポタもあったことだし。
入ってすぐに、ほどよくクロックが出現。
プリさんは俺と彼自身にすばやく支援をして
俺はクロックの前に罠を…「うおりあああああああああああああ!!!!!!!!!」
置いたら、プリがその上を飛び越えてクロックに殴りかかる。
マ テ 。
ガションゴションゴキッバキッドカッ!!!!!
ガラガラ……。
うそん。
気がつけばクロックはただのガラクタの残骸になっていた。
な、殴りだったんスカ…?
「うおぅ!」
気がつけば、いつの間にか俺の後ろにはカビがいて俺の背中に襲い掛かっていた。
ちっこいくせになかなか痛いんだよな畜生。俺はその場でカビに矢をうちまくる。
その間、プリさんが何度もヒールをくれているのだが…
回復量少ない…。
レベルちゃんとマックスに設定して使いましょうよ。カビはすぐに塵になって消えた。
「プリさん、殴りなんですか?」
「ええ、まぁ。AGI>STR型です。だから、後衛の方とのペアをいつもしてるんです。」
ナルホド、それでか。
「ヒールのレベル抑えてます?」
「いや、これで全力ですよ?」
「…レベルいくつですか?」
「そりゃもち、10ですが。」………それでこの回復量…?
べつに、2000回復しろとは言わないですヨ。
でも、せめて1000はいきません?「……。」
「……?」俺の苦悩もしらず、プリさんは小首をかしげている。
まさかとは思うが…
「プリさん、INTはいくつですか。」
「1」即答ーーーーー!!!!!!!!!!
しかも1。
ちょっとの迷いもなくプリ基本のステ振り無視デスカ。
殴りでも1って極端じゃないですか?「あはは〜みんなに驚かれます〜」
それが楽しみなんだよね〜とかのんきに言うが
ダンジョンにきてからいきなり告げられても困るぜ…
でもまぁ、確かに、前衛兼支援だから、俺には好都合か。「じゃあ、行きますか。」
「リョカーイ!足止めも任せてください!w」
彼はなかなか話していても面白い人で、ペア狩りって黙々とやることが多いけど
なんだかのんびり話していて、敵が来たら狩る、みたいなスタイルをとっていた。「あ、ヒール!ヒール!」
不意に彼が、少し離れたところでクロックと戦っていたマジシャンの少女にヒールとブレスと速度増加とキリエをかけた。
彼女がお礼に返してきたキスエモに、同じくキスエモをして返している。
…くそぅ、なんかプリってモテそうだ…プリになればよかったかっ!?
彼はその後も、俺と話しながらも彼女へのヒールは怠らず、彼女がクロックを倒し終わったところで再度支援魔法をかけて、手を振って別れを告げた。そんな誠実な姿にちょっと感動してしまったり。
うちの姉御もプリだが、こんなに他人に丁寧に接する人間ではない。
その点、この人だったらBOTにさえ支援してしまいそうだ。
…聞いてみたら、案の定やっているそうだ。
てゆーかBOTと肉入りの区別がつかないらしい。…そうきたか。
「あ、ヒールヒールブレス速度イムポキリエエレイソ〜ン!」
なんだかリズミカルに、カビやミミックを相手にしているアサシンに、また丁寧に支援&ヒール。
反対側にもいるウィザードにもヒールブレス速度キリエ。
うーん、まるで他人からすれば天使さまだな。「おっと、こっちにも沸いてきたな。」
「あ、じゃあクロックいきまっせ隊長!」
「おう、頼む。」
…なんだかこのプリ、変なノリがあるが、まぁそれもまた面白い。彼はトリプルハリケーンチェインを構えて、クロックに殴りかかる。
…んん?
彼は警戒にクロックを殴っているのだが…
なんだかさっきよりも威力が劣っている気がする。「あいたっ」
プリとクロックに気が引かれて、またカビに背後を取られた。
ふむ、俺の背中はそんなに素敵かカビよ。…ちくしょー、なんか悔しい。
「あ、プリさん支援くれ!!」
切れてた。
「はいさ!ブレス速度イムポキリエエレイソォンエンジェラスマグニッフィ〜♪!!」
支援好きかニーサン。顔が輝いてるぞ。だが、彼は軽快に支援魔法を口にするが…
効果はブレスしか出てないですヨ…?「あ、SPキレータ」
「後先考えて辻支援せんかああああああああい!!!!!!!!!」カビに向かって怒りのダブルストレイフィング!!!!
てゆーか、さっきからアンタの攻撃の威力が低かったのって、自分にも支援かけ忘れてたからか!?INT1があれだけ辻支援してりゃSPも底をついて当然だ。
「わ〜ヒールもできなぁい!!!」
「だったらアンクル使うからさっさと逃げんか!!!!」
「ハッ!ナイスです隊長!!」
だからいつの間に隊長になってんだよ。俺が罠を仕掛けて、少し離れ弓を構える。
彼はその罠の上を…ガゴション!!!!
………ぇ。
「きゃああああああああああああ!!!!!!!」
「きゃあじゃねえ器用なことすんあド阿呆ーーーーーーー!!!!!!!」普通ハンターが置いたそのトラップに人間はひっかからねえぞ!!??
俺はアホプリが力尽きる前に、全力をもって弓をクロックに向かって打ちまくる。
なんとか、彼が瀕死の時点で倒すことができた。「いたいよぅ〜…」
「あー、すぐ取れるからちょっと我慢してろ」
彼の足に食い込んだ罠を取り外し、鞄から黄色ポーションを取り出して、うっすら血がにじむ彼の足や、やられた背中などに振り掛ける。
「ほら、これ飲んで」
「ありー…」
そういいつつも、彼の出すエモは謝罪。
確かに焦ったが、彼の阿呆ぶりはなかなか面白い。
…ほどほどにしてほしいが。「SPは?」
「あんまし…マグニして座ります。」
「おう。少し部屋の端に行こう。」
彼に肩を貸して部屋の端へ向かう。
「どうだ?」
「もうすぐで半分くらいです」
「遅いなぁ」
「INT低いですからね〜」
低い以前に皆無だろ。
トドメにリアルINTもねぇし。「俺の分のSP分けられたらいいんだけどなぁ」
「んじゃ口移しで」
「できるかド阿呆ーーー!!!!!」
そりゃいろんな意味で。「でも口移しってスキルあったらいいですね〜他人にSP分けられるの。」
「他に方法あるだろっ!」
「ぇーじゃあボランティアとか?」
「微妙に訳わかんねー」
この人の脳内構造はどうなっているのだろうか。
マッタリモードなのに、プリの背後に突然、本登場。
…この場で本はキツい。
「やばっ!キリエエレイソン!!」
慌ててプリが自分にキリエをかける。
「ブレス速度イムポ!」
バリアがカンカンなっている中、彼がまず俺に支援をかけて、
次に自分にかけ、本に殴りかかる。
その後ろから俺がまた弓で射る。「はー、びっくりし…のわああ!!!!」
本を倒して一息つこうとしたら、また本。
勘弁してくれ…。
まだ彼のくれた支援は残っている。
俺達は一瞬アイコンタクトをとる。多分、彼のSPはさっきので多分残りわずか。
なら…「アンクル使う!次は引っかかるなよ!!」
「了解!!!」
また少し離れて罠を置き、弓を構える。
彼は自分にヒールをかけつつ、その罠の上を飛び越え…ようとしたら、足元に今度はミミック発生。
沸きすぎだ…!!!「うあっ!!」
案の定彼は宝箱につまづき、思い切り転ぶ。
ガゴション!!!!
マ テ 。
プリが転んだ拍子に、彼の腕が罠に引っかかった。
「うっわああ踏んだり蹴ったりぃ!!!!!」
「アンタのせいじゃないけどド阿呆ーーーーーーーー!!!!!!!!」
アンタ、運悪すぎです。
いや、むしろ俺の不運が元凶?
いや、多分俺達二人とも不運なんだな…。
ああ、涙がでる。「痛い痛い痛い!!!!」
彼はなすすべもなく、本と宝箱の牙に襲われている。
キリエはもう解けているし、彼はSPところかHPも完全回復していなかった。
俺がいくらがんばっても、彼が力尽きる前に両方倒すのは無理だ。
時間がない。「っ…この!!」
俺は本と宝箱を射る。
ヤツラはこちらをギロリと睨んで、すぐさま方向転換した。
「ちょっ…やめろ!!!」
プリがモンスターに向かって叫ぶが、人間の言葉などわかるはずもないでしょうが。
それに、パーティーってのは、プリーストが生きてりゃ再起できるんだ。「っだああああ!!!!」
体力皆無のハンターには痛すぎる…。
「ハンタさん!!」
「あっ…ぐ…罠、とけたらすぐ、逃げ…ろ!!!」
彼は俺のほうを見て泣きそうな顔をしている。が、唇を噛んで、俺のほうに強い視線を向けた。
ちゃんと理解してくれただろう。
阿呆なくせに、なかなか冷静で…
助か っ ……
あー…
死んだ。まぁ、正確には行動不能で死んではいないけど…
カプラ生命維持機能で、仮死状態でモンスターからは身を守られている。
血は止まって、痛みはないけど
体は動かないし、なんだか生命力ってのが自分の体から感じられない。
早く誰かに生き返らせてもらうか、カプラサービスに救急してもらわないと、もう二度と復活できなくなる。
まぁ、それでも半日は持つので、あまり不安ではない。
一度この状態になれば安全だし。さっきまでプリが倒れていたほうを見ると、何もない。
ちゃんとテレポかハエで逃げてくれたらしい。
『……ハンタ、さん。大丈夫ですか…?』
『ああ、ちゃんと仮死状態に収まってる。』
安心していいのか微妙な状態だが、まぁ生き返られるんだからよしとしよう。『そっちこそ大丈夫か。』
『ええ。人気のないところで休んでます。』
『…人、いるほうがいいんじゃないのか?』
『いや、人見ると体が勝手に支援しちゃうので』
『するなお馬鹿。』
すいません、と小さく謝るが、でもあまり申し訳なさそうな声ではない。
そりゃまぁ、人に感謝されることではあるんだしな。
『…ある程度回復しました。救出へ向かいます!!』
『おう。頼む。』
……。
………。
『おい、大丈夫か…?』
プリが全然近づいてくる気配がない。
彼が救出に来ると言ってから大分経ったのに。
『………。』
彼からの返事が、ない。『お、い…!!まさか、死んで…』
『すいません…道に迷いました。』
『もうカプラ救出要請出してイイカ?』
あっちに頼むと少しおきるのに時間かかるけど。『すぐいきますからぁああ!!!!』
『てか、ちゃんと地図見ればわかるだろ!!』
『いや、ハンタさんの位置もう表示されてないし…』
『…忘れたのか?』
『…忘れました。』
『先に聞けよこんにゃろう』
『…シクシク。』
もう不満を心で叫ぶだけでは物足りなくなってきた…。
今日初めてあったのに、もう遠慮なく口をついて出てしまう…。『…ったく…、アンタのいる位置よりもっと上のフロアだ。』
『あ、はい〜…』
「お待たせしましたっ!」
「お疲れ〜」
やっと到着した彼は、なんだか満身創痍だった。
途中で何かと戦ったんだろう。
「すぐ起こしますね」
彼が急いで蘇生魔法の詠唱に入る…が。「……。」
「……?」
彼は途中でそれをやめた。
「…どうした?」「…あの、怒りません…?」
「……何がだ。」「……えと、その…」
「……ああ、わかった。怒らないでおいてやる。」「…あの、じつ」
「またSPキレータとかじゃなければな。」
「………えへ。」
「やっぱり、それかああああああああ!!!!!!!!!!!」
もう付き合ってられない。
彼が回復し、起こされてすぐに帰路につくことにした。
まぁ、そろそろ日も落ちてきたことだし、そんなに不味い狩りではなかった。
…退屈はしなかったし。
「お疲れー」
「…ん、と…お疲れ様でした。」
彼が出したプロンテラポタは、清算広場直通だった。
適当にその場で戦利品を売って、清算をすました。もう狩りは終わったのに、なんだか離れがたい…というか。
ああゆう戦いの場面でなければ、彼とのやりとりはなかなか面白いから。
なんとなくその辺のベンチに座ってまた雑談を交わした。
彼の返事はなんだか突拍子もなくて面白い。「…ああ、もう暗くなってきましたねー」
「だな。」
もうフェイヨンに帰らなきゃと思ったけど、なんか…別れるのが惜しい。
本当に彼とは話しやすくて、楽しいんだ。狩りじゃなければ。
そんな風に思うのが、なんだか恋人と別れるのを惜しむように思えて、自分でおかしくなった。「アンタ、いつもあそこでペア狩り募集してるのか?」
「……ふぇ、あ、なんですか?」
プリは何かを考えていたらしく、俺の質問は彼の耳に入っていなかったらしい。
「…いつもあそこでペア狩りしてるのか?」
「…ああ、はい。知り合いに呼ばれた日以外は。」
「そうか…じゃあ」またそのうち、声をかけるかもしれない。
そう言いかけたところで、肩に暖かい重みがかかった。
「…え?」
彼が、俺の肩に頭を乗せていた。
頬にやわらかい金髪が触れている。
…なんか、夕方に寄り添って、肩に頭を乗せて、しかも座ってるのがベンチなんてもんだから…
なんか変に誤解されそうデスガ…。
うっわー、見られてる。結構見られてまっせ…。
しかも男同士だから余計に…。「…ぇ、むい…」
「あ?ど、どうした…?」彼の体が、力なく俺の肩からずり落ちて…
ひざにポンと頭が落ちた。
いや、あの…
マジデ視線がヒートアップしてます。
膝枕はもっとやばいものが…「お、おい。ちょっと」
彼の前髪を掻き揚げて、横顔をのぞき見る。
マテ。
寝るな。
そんな安らかな幸せそうな顔をして眠りにつくな。
ここは野外ですよ。
パシャッ
ああっ!!だれだ今写真撮ったのは!!キセイジジツか!!?
「おい、おきろって!!こら!!」
「ん〜にゃむ…ぽりーんがぁ〜」
「ポリンがどうした。じゃなくて、おい…」
彼は寝返りをうつように、丁寧に仰向けになってくれてしまった。近くで見ると、まつげ長い。
あいた胸元は、やっぱり殴りだけあって結構傷がある。
白くて俺なんかよりも引き締まっている。
けれど、表情はそんなことを感じさせないくらい穏やかで、
柔らかそうで、頬にかかる金色の髪が、柔らかそうで
睫毛が、扇のように瞼を縁取って…ってなんか混乱してます。
そんなことより…
ぜんっぜんおきる気配ない。
…おーいー…勘弁しろよ…。
なんか恥ずかしいんだよ、多分今顔真っ赤だ…。
俺だって疲れて眠いんだからさぁ…帰らせてくれよ…。「…はぁ…」
しかたない。フェイヨンに帰るのはあきらめよう。
もうかなり爆睡モードに入りだしたらしい彼を抱え込み、いそいそと広場を後にし、宿屋へ向かった。
後で宿泊代取り立ててやる。
「む…うん…んの…ホーリーライトォォォオオオオ!!!!!!!!!」
バシュッ!!!
「うぎゃっ!!!」
「寝ぼけてHLなんか撃つなしかも通行人に撃つなぁあああああ!!!!!!!」まぁ、殴りだから威力は少なかったからよし。
いや、よくねぇよ。
てかマジで面白いですよ、この人…。
それから「恋人欲しい〜」とか不満言ってたことなんか忘れて
このプリーストのボケぶりに没頭していくのは
もう少し先の話である。