おはようございます。
ルナティックのいやしけいです。。
さて、先日わたしとご主人の運命的な出会いと
わたしのご主人への愛
ご主人のわたしへの愛をまったり語りましたが…
なんか、わたしは今すごいことになっています。
昨夜、ご主人が青箱から出したクッキーを食べたわけなんですが…
なんだか、私からみたご主人が小さいのです。
決して幼児化したとか、ミニマムになったとかではなく
ああ、そうか。
私の視点が高くなったのですね。
てゆーか、なんだか体が寒い…
わたしの自慢の白いほわほわの毛がありませんでした。
てゆーか、なんか手足がよく動く…?
ふと視線を動かすと…
「ご主人ご主人〜!!!!!!」
私はいつもしゃべらないようにしていたのも忘れて、叫びながらご主人を揺さぶりました。
「ん、な…んん……」
さすがはご主人、これしきのことでは起きません。
こうなったら最後の手段。
私は、昨日の食べかけ(明日の朝ごはんにしようと思っていた)クッキーをとり、ご主人の口に放り込みました。
そう、その昔ご主人が食べて死に掛けた、虹色人参。その味がするクッキーなのです。
にゅぐぇいやぁああぅえおああああ!!!!!!!!!!!!!!!!
素敵な悲鳴です、ご主人。
「げっ、げへっ…これは…俺の青春にほろ苦い一頁を刻んだ悪魔のバイブル虹色にんじん…のクッキー…?」
訳わかりませんよご主人。
「って…あ…?」
ご主人はやっとわたしの方に目を向けてくれました。
そして
「おかーさあああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!」
なるほど。悲鳴ではなくて「お母さん」ときましたか。
そんなこと叫んだご主人は、わたしといっしょに寝ていたベッドから飛び起きて、数歩向こうまで下がりました。
「だ、だ、だ、誰だよアンタ!!!!」
ご主人は追い詰められたウサギのように震えながら、わたしの方を見ています。
まぁ、覚悟はしていましたが、ちょっと実際にこんな態度を取られると悲しいです。
「…あの、ご主人…」
「知らない!!俺を“ご主人”と呼ぶようなヤツは知らない!!
全裸にウサミミつけてるような変態は知らないぞ!!!!!」
なるほど、ご主人の目にはわたしはそう見えているのですね…。
それはたしかに怖い。
とりあえず、全裸はまずいだろうと、掛け布団を肩から被りました。
ああ、説明が遅れました。
そう…朝起きたら、私は
人間の体になっていたのです。
…それは置いておいて、まずはご主人の誤解を解くのが先決。
「えと…あの、わたしはご主人のペットです。」
「俺にそんな変なプレイをするような趣味は無い!!!!!」
チーン。
「いえ、そうではなくて…わたしです。ペットのルナティックです。」
「いやしけい!!!どうしたんだよそんな体になって…!!!!!」
ご主人が心配そうな目をして、私に飛びついてきました。
ってか信じるの早すぎです。
まぁ、本当のことだし、説明楽でいいのですが…
「わたしもよくわかりません。気が付いたらこんな体だったもので。」
「ああ、それよりも服着るか。俺の服貸してやるから着ろ?」
そう言って、ご主人は小さなクローゼットの中から服を引きずり出してきました。
わあ、初めての着衣です!
「ご主人!!!!!」
「わっ!なんだよ!」
ご主人が渡してくれた服を着ようとして立ち上がったら…
わたしは今までの自分を覆す、重大な事実に気づきました。
「わたしって雄だったんですか!!!!」
だって、背はご主人とおなじくらいあるし、人間の女性は胸が出てるけど、私はご主人のようにぺったんこ。
「うそおおおそういえば!!!!知らずにお前にリボンとか付けさせてたじゃないか俺!!!!」
ご主人も気づかなかったんですか。
「それに、足の間に人間の男性みたいになんかありま」
「いや、分かったから言わなくてイイヨ?w」
なんかご主人は顔を赤くして、顔をそらしてしまいました。
「でも、なんかご主人のよりおっき」
「だからイワナクテモ イイヨ?」
今度は、壊れたような顔をしてこっちを見てきました。
とりあえず服を着ました。
人間になれるなんて、まるで夢のようです。
それにしても、洋服と言うのはめんどうくさいものですね。着るのが難しいです。
「よし、ピッタリだな」
ご主人は服を着るのを手伝ってくれて
着終わったわたしを、少し離れて眺めました。
「…俺より似合うじゃねぇか…」
なんだか嬉しいけど、ご主人は嬉しそうではありません。
「お前、けっこーイケてるぞ?」
「本当ですか?」
「うんうん。その辺の男よりも全然かっこいい。髪白くて、目が赤いから、人間離れしてる感じで綺麗だ」
ご主人にそう言ってもらえるのが、ものすごく嬉しくて…
私の心はほんわかと暖かくなります。
今のわたしには、ご主人の好きな白い柔らかい毛はないし
可愛いと言ってくれる鳴き声も出せません。
だから、ご主人に嫌われるんじゃないかと、少し心配でした。
「ありがとうございます。」
「おう。ってかお前、すごいしゃべるの上手いなぁ」
感心したように、ご主人はうんうん頷いています。
「…ご主人に、いっぱい話しかけましたから。」
「え?」
ご主人、そんな目を丸くしないでください。
話しかけた、というのは、そうではなくて…
「本当はしゃべれたけど…しゃべるペットは嫌われるって聞いて、黙ってました。
でも、心の中ではずっと、ご主人の言葉に返事をして、私からもずっと話しかけていました。」
「そんな、嫌いになったりするわけないだろ。」
ご主人は、眉根を寄せて、不満そうな顔をしています。
「でも、わたしはご主人と話せなくてもいいと思っていました。
だって、ずっと話さなくても、ご主人と心が通じていました。
それを感じるのが、嬉しかったし、満足していましたから。」
そう。
満足していたんです。
「俺はもどかしかったぞ。お前ともっと話したかったからな。」
ご主人は、不満そうな顔のままでした。
「じゃあ、これからいっぱい話せるな。」
ご主人はニッと笑って、私の頭を撫でてくれました。
私がルナティックだった時のように
今は人間のものとなった、この長くて白い髪を撫でてくれました。
よかった。
ご主人は私がルナティックでなくなっても、笑ってくれるんですね。
「お、おい!」
私はご主人に抱きつきました。
…どうやら私のほうが微妙に背が高いらしく、抱き込む形になりましたが…
ああ、人間の体ってすばらしいw
こうやって、いっぱい触れられるんですね。
「ありがとう、ご主人、大好きです。」
「ん、俺もだよ。」
ぎゅっと抱きしめあうと、とても暖かくて、気持ちいい。
ルナティックのままではこんなことできない。
人間、っていいなぁと心から思いました。
ちなみに私は何気にご主人の腰とかに手を回してるわけですが
ほっそい…
なんてゆーか、締まってるんだけど…。
ご主人。油断してるな。
俺意外のヤツの前でこんな油断するのは嫌だけど
俺の前での油断も、危ないゼ(人格違)
「あ、そうだ!人間になったんなら人参以外のもんも食えるよな!」
ご主人の背に回した手を、服の中に入れてやろうとした瞬間、ご主人がそう言ってパッと顔を上げました。
「じゃあ一緒に飯食おう!食堂行くぞー!」
そのまま私はご主人に腕を引かれて、宿屋の一階へ……
くっ、惜しい…。
でも大丈夫。
チャンスはこれからいくらでもある。
ゆっくりと様子を見て、慎重に…