それは、彼らにとってはそんなに大切ではない
けれど、とても意味のあった青春時代

 

「俺さ、すっっっっっっっっっげえルナティック好きじゃん?」
赤い髪をゴーグルで覆っているシーフの青年。
彼がいかにも元気な声で話していることを、向かいのテーブルで半分呆れつつ聞いているのは、無造作に伸びた白い髪のアサシン。
一次職、二次職の違いはあっても二人は同い年の狩り仲間だ。

「でな、そこまではいいんだけど、ルナティックが好きすぎて、人間よりも好きなんだよ…」
「別にいいんじゃないか」
見た目はそんなに無愛想でもないのだが、中身は大分いい加減なアサシンは、何も考えずに即答でそう切り返す。
それを知ってか知らずか、ローグは真剣な眼差しで「よくないっ!」といって彼に詰め寄った。
間にテーブルがある為、ちょっと乗り出しただけだが

「ルナティックに囲まれてばかりで人間と交流のないさみしー人生なんて変だろ?!俺は幸せだけど世間的にさぁー」
「そうかもな」
またもや、いい加減な返事だ。
「だろ〜」
だがローグの方は、返事をしなくても話し続けるタイプなので問題ない。

「だから決めたんだよ!!」
彼はぐっと拳を握ってみせた。
「俺はローグになったらルナティック絶ちする!!毎日にんじん持ってプロ南でルナティックと戯れるのも我慢する!!」
「…それは偉いな。」
そんなことを毎日しているから、昔は公平を組んでいた二人がこんなにもレベルに差がついたのだ。
それを思い、アサシンはまたあきれてしまう。

「で!ちゃんと人間と付き合うんだ!恋人もちゃんと人間で作る!!」
「そうか、がんばれ。」
棒読みでの応援に、シーフはニッと笑って元気良く、おう、と返す。
その様子を見て、アサシンも少し口元を緩めた。

 

 

 

 

「俺もうだめポ…」
「埋めるぞ。」

 

そんなシーフの挫折の言葉を聞いたのは2ヵ月後。
そんなだから、友人のアサシンも彼に呆れ返っていた。
もともと、シーフ仲間や臨時公平仲間の間でもモテていたので付け焼刃の恋人はすぐにできた。
だがみんなすぐに分かれてしまう。
それだけならまだいいが、みんな同じ理由でだ。

『お前ルナティックルナティック五月蝿過ぎ』
皆そんな理由だった。

「あぁぁぁ…だめだああああルナティック絶ちできてねええええええ…」
「…無理にはじめから完全に絶つ必要はないだろ。まったく実物を見ないから、人に話すほうで解消したくなってるんじゃないか?」
アサシンも、いつも無関心なわけではない。
これでも一応彼のことは心配しているので、時々まじめに意見する。

「あぁ…でも、なんかもう…ううううううう…人間不信かも」
「この程度で人間不信になるな阿呆。」
アサシンがテーブルに突っ伏す彼のゴーグルを、コツンと叩いた。
「我慢なんかするな、お前はローグになって自由奔放に暮らすんだろ。」
「…そうだけど…」

シーフは起き上がり、手元の空のグラスあたりに視線を落とした。
氷がカラン、と音を立てた。

「マトモな人間にならないと、なんか死んだお袋に顔向けできない気がしてさ…」
つい最近持病の悪化で亡くなったという彼の母が、どんな人だったかというのは知らない。
けれど、死人がそんなことを一々気にしないだろう。

「…おい、お前がそんな顔をしなくてもいいだろ!」
シーフは突然、苦笑いしながらアサシンにそういう。
母を亡くしたときの青年の落ち込み様を思いだし、彼が言葉に詰まって苦虫を噛み潰したような顔をしていたからだった。

「俺さ…ちょっと前から考えてたことがあるんだ」

シーフはまだ少しやりきれない顔をしている友人を見ながらいった。
「もうすぐ転職なんだ。」
「やっとか」
「おう。そんでさぁ…」

いつもの何気無い会話の時のように、彼はさらりと言った。
「ローグになったら、俺と付き合ってくれよ」





言われたアサシンは、たっっっぷりと間を置いてから


「今日はプロ西の商人が割引セールをする日だな」
明後日の方向を見た。

「現実逃避すんなよおい」
珍しい、友人のボケだったが、次にはもう正気になっていた。
「お前、そんなだからすぐに分かれたんじゃないか?」
いつもどおりの呆れたような目でローグを見ながら言う。
「違ぇよ、今度はもっと真面目に考えた。今までのはやっぱ間に合わせって感じだったけど、お前は一番側にいたし、親しいし、優しいし…」

アサシンは幸せを惜しみ無く垂れ流すような溜め息をついた。
転職したら付き合う。
そんな一大決心の告白みたいなフリをしたところで今までと変わらないだろうに。

「なぁ、ダメか?お前だってずっと恋人いないじゃん。」
…言われれば、何度か付き合っては分かれていたのはアサシンも同じだった。
理由は『つまらない』 …俺に面白さを求められてもな…
これは『ルナティックルナティック五月蝿過ぎ』よりも抽象的なうえ酷い言葉だと思う。
気にしてないが。

てゆーか、まさかコイツが俺に振ってくるとは思わなかった。
同性に手を出しているようにはみえなかった。いや、異性にもまさか手を出していないのでは、とも思った。

シーフの方は、彼の兄がつれてきた恋人が男だったので、同性で付き合う人もいるんだぁ〜程度の認識だった。

アサシンは似たもの同士、くっついてみてもいいかもな、と思い、頷いた。
すぐ終わるのは目に見えていることだし。
「分かった。さっさと転職しろ。」
「マジで!うっしゃあ!!じゃあ転職試験受けてくる!!」
もうできてたのかよ




アサシンが、ローグ転職所の部屋の端の壁に寄りかかっていた。
もちろん、シーフの転職のために連れてこられたからだ。
他職の転職所というのはどこにしても居づらいものだ。

「おーいー無事転職できたぜ!」
ローグの服をまとった友人が、いそいそと走ってきた。ずいぶん時間がかかったが。
「…似合うが、やっぱ違和感が…」
「お、似合う?俺もちょっとまだ照れくさいんだけどさァ」

ローグが外していた装備をいそいそとつけて、愛刀を軽く振った。
それを腰に収めてからこっちを見て微笑んで
「じゃ、おめでとうのチューして」

一瞬、ローグ転職所内にいたギルド員や他職の人々がいっせいにこちらを見た。
それから気まずそうに視線を外したが、二人をちらちらを横目で観察している。中には期待の視線もある。

「だから何でも形から入るな阿呆」
それだけ言って、アサシンは少し頬を染めて、それを隠すように踵を返した。





コイビトゴッコが終わったのは、やはりまだ一ヶ月も経っていないときだった。
彼らの調子は、昔とずっと変わらずにいた。



「なぁ、しよう?」

隣でローグがぼそっと囁いた、その意味はアサシンにもすぐに分かった。
「また、形から入る…」
「…形からって言うか…さ…」
ローグが少し口ごもっている様子から、何を考えているのか少し分かった。

「溜まってるのか」
「あー、まぁ…それで、やっぱふつう恋人として解消するよな、と思って」
言われたアサシンは、別に嫌だとは思わなかった。
もともと性欲は少ないほうというか、興味があまりないから一人でも不自由しなかった。

「…どっちが下だ?」
ただ、それだけが気になって彼は聞いた。

それを聞いて、ローグはピタリと止まった。
間を置いてから、彼は名案が浮かんだとばかりに手を叩いた。
「……痛くないように小さい方から!!」
「それは下も上も屈辱的でいいな…」

ローグの言い分も分かるが、こんなことをしている自分達がおかしく思えたアサシンだった。
二人で浴場に行ったことはあったので確認せずとも大小は分かる。
結果、ローグが“男役”で済んだのだが、いぢけていた。



「……ぁーーーーー…」
アサシンの服を上を全部脱がせ、ベルトに手をかけたところで、ローグが唸って固まった。
それをアサシンは黙って見ていた。
「…なんか照れるな」
「お前が照れるな」
脱がす側のクセに顔を赤くしている男にツッコミを入れる。

少しローグが躊躇いがちだったので、アサシンは圧し掛かってきていた彼を押し戻して、ベッドの端に移動して残りの衣服を自ら脱ぎ捨てた。
薄暗いランプの光に照らされた恋人の目が、お前も脱いだらどうだ、と言っているように思えて、ローグも服を脱ぎだした。

薄暗い室内に浮かぶ二つの体は相対的だった。
ローグは上着を開け放して露出が多いためによく日に焼けていたが
アサシンは露出を抑えていて、日に当たるのも嫌いだったために白い。

ローグの方が、相手と自分の体を見比べてなにやらため息をついていた。
「なんだ。」
「いや、無駄がねぇなぁと思って。お前の体。」
目の前に浮かぶ白い肢体は筋肉質ともいえず、細いともいえない。
均整が取れていて、筋肉を分厚くつけたようなローグのものとは違っている。
「…速さ特化は無駄に重さをつけられないからな。」
「どーせ俺は殴り込み型デスヨ。」

言葉が途切れて、互いの顔から笑みが剥がれ落ちた。
目が合わせづらくて、少し視線を反らしていたが
不意にローグが詰め寄り、アサシンの首筋に触れた。


ヒトの体温。
素手に感じる体温に、心臓が少し大きく脈打ったのが自分で分かった。
引き寄せられるように、反対の首筋に顔を埋めて、唇で軽く吸い付いた。

昔、ルナティックみたいだと言って彼を少し怒らせてしまった、白い髪。
それに指を通して、撫でる様にして梳く。
手を背に回して体を引き寄せる。
体をぴったりとくっつけたまま、アサシンの方へ倒れこむようにして横になった。

倒れた際に、耳元で低いため息のようなものが聞こえた。
その声に、自分の体内の熱が疼いた。
顔を離してアサシンを見ると、彼は目が合うなり顔を横にむけてしまった。
その頬が赤く染まっているのは一目瞭然だった。
「…お前も照れてんじゃん。」
「…うるさい。」

ローグの方はというと、だんだんと理性が剥れて
恋人の裸体を前に、開き直っていた。
ベッドの上に仰向けに投げ出された体を、好きに貪ってしまえばいいんだと、どこかねじれて開き直っていた。

脱力して表面がわずかに柔らかい胸に舌を這わせる。
そうしながらまだ熱を持たないアサシンのものを手のひらで包み込んで亀頭部を指先でなぞると、胸にぴくっと力が入った。
「…っ、ぅ…」
何度も同じように愛撫しているうちに、熱に浮されてきたアサシンの声が漏れた。

そうやって相手に反応させるのが段々面白くなってきて、ローグはアサシンの肉棒を扱き、興奮し始めた自身で相手の腿辺りをつっと撫ぜた。
その感触にビクッと反応して、アサシンが体を少し起こした。
「っ!…ぉ、まえ…」
「ん、何だ?」
アサシンは何かを言おうとしたのだが、その口から続きの言葉は出てこない。

結局何も言わずにまた脱力した。
本当はただ恥ずかしかっただけなのだが、本人もそれに気づいていない。


「あのさー、指何本くらい入れればいいと思う…?」
もう切羽詰ってきたアサシンに、おずおずとローグが聞く。

天然なのか、それとも軽いいじめなのか。
もうアサシンにはそれすら判別する理性が残っていない。
ただ眉根を寄せるだけで、平静を装って黙っていた。

「…とりあえず、3本は入れるように慣らすわ。」
先にどれだけやる、と宣言されたのが可笑しく思えたが安心した。

仰向けのまま足を曲げて開いて、ローグを割りいれさせてやった。
「待、て…」
そこを探り、蕾みに指を挿し入れようとした彼をとめた。
アサシンは上半身を起こして、相手の手を取り指先を口に含んだ。

中指、人さし指、薬指と順番に含んで濡らし、それから三本ともピチャピチャと赤い舌で舐めた。
その欲情的な光景にローグは息を呑んだ。
そして、「ああ、初めてじゃないんだなこいつ」とぼんやり思ったが、それはどうでもよかった。
「…いい。」

ぼそっと言って、アサシンはまた体をベッドの上に投げ出した。


舐めたのは正解だった。
しっかり指は濡れているはずだが、それでもその蕾みのキツさで指は入りにくい。
アサシンに、遠慮せずに無理矢理入れていいと言われ、痛いんじゃないかと思いつつ一本やっと入れた。
温かく、感じた事のないヒトの体内の感触。

ここに、この敏感な猛っているものを入れたら…と想像すると
脊髄に妙な快楽がはしった。

「なあ、お前…やっぱ男とした経験あるのか…?」
まだ拙い愛撫しかしていないが、アサシンの方は熱に浮かされている。
艶っぽい瞳でこちらを見てきて、だったらどうなんだ、とどこか投げやりに言ってきた。
「いや、別にどうともならんけど…」
それにもごもごとローグは答え、アサシンの中に入れた指を、なるべく痛みが無いように緩く抜き差ししたり、曲げたりして中を慣らす。

「もう…何年も前だ。」
だからなるべく慣らしてくれ、そういわれてローグは過度な程に優しくアサシンの中を慣らしていく。

「…なん、か…ぐちゃぐちゃしてきた。」
指に絡みつくような粘膜、それが乱される音。
視覚や聴覚が、目の前の乱れ始めた体を認識して…体の芯が熱くなる。
ローグは自分の下にいる男に、理性が侵食されはじめる。

「…指、増やして…いいっ…」
苦しげな声に、誘導されるように指を増やす。
ローグはだんだんと、痛くないようになどと考えなくなってきていた。
ただ、彼の体の“準備”を進める。

「…いっ!」
少し乱暴に指を折り曲げたら、アサシンの体がピクンのはねた。
「ご、ごめっ…痛かったか?!」
「…ばっ…違う、そこ…」
痛かったわけではない。

もしかして、と、ゆっくりそこを引っかくように指先で押した。
少し異物感のようなものがあり、それがアサシンを強く刺激しているようだった。

「っあ!…ぅ、っく…」
途端に、アサシンがビクッと足を浮かせて声を上げた。
その光景が、ローグの中で何かを壊す。
「ひっ…ぁ、待…っ、やめ…!」
必要以上にそこをしつこく、強く、何度も刺激する。

アサシンは敏感な箇所を攻められながら、シーツを掴んで逃げずに受け入れている。
やめろと言う言葉も、唇を噛んで耐えていた。
「気持ち良い…?」

そう聞きながら覗き込んでくる恋人は、快楽に溺れたこの肉塊で遊ぶ、クレイジーのように見えた。
彼のこんな表情を、アサシンは見たことがなかったからだ。
けれど

「…んな、お前も…いいな」
「え?」
アサシンが妖しく笑みを浮かべ、ローグを引き寄せた。
その衝撃で、彼の中にある指がクッと曲げられて、響いた快感で、ローグの耳元に熱い息を漏らしてしまった。

「…欲しい。」
「え…」
強請るように囁かれた一単語。
「入れてくれ…」
困惑すると、そうアサシンがもう一度囁いた。

「でも、さ…まだ、そんなに慣らしてないし」
「もう、濡れてるだろ…?」
「でも、痛いかも…」
「多少強引に入れられるほうが…俺はイイ。」
その言葉に…興奮した。

「…っ、マゾかよ…」
「焦らされるのが、嫌いなだけだ…」
アサシンは早く、とでも言いたげに足を開いて
指ニ本だったが荒らされた感覚がまだあり、ひくついているそこを、ローグのものに添えさせた。


「…お前が、こんなやらしいカラダしてたなんて…知らなかったな。」
「悪い、かッ…」
「いや、おかげで大分助かってるけどな」

口元に笑みを浮かべて…


肉棒を支えて、アサシンの体内に少しずつ入れる。

「うっ…キツく、ないか…?」
「ふっ…少しづつ…出し入れ…しながら」
「分った。」

熱が、ゆっくりと飲み込まれていく。
他人のカラダに…
繋がる場所が熱い。

けれども、キツすぎではなかった。
アサシンの方が、体の力の抜き方を心得ていたからか。
緩く締め付けてくる内部に、腰を軽く打ち付けるように押し進むたび
白い髪が細かく揺れて、半開きになった唇から裏返りそうな声が漏れる。

繰り返し繰り返し押し進み、ほぼアサシンの中に埋まろうとしたとき
不意に彼が肩を掴んで、引き寄せる。
ローグが導かれるままに体を倒すと、アサシンが大きく足を広げなければならなかったのと
彼の中で突き刺さる杭が少し捩れたので、引き寄せた彼自身が辛そうな声を漏らした。


それでも、引き寄せた恋人にしがみついて
縋りつく様にキスをした。
ローグが背を曲げなければ辛いのだが、気が回っていない彼を余所に、アサシンは彼の唇を啄ばむ。
どこか、必死に見えた。

少し反応が遅れて、ローグはやっと背を曲げてキスを返す。
「…もっ、と」
眉根を寄せて、アサシンが苦しげな声でいう。
その言葉に困惑していると、口を開けろと指示をされ、従う。

「…っんぅ…」
頭を引き寄せられて、噛み付くようにキスをされたと思ったら
口内に温かい湿った舌が入り込んできた。
繋がったままのところはもちろん、口内もひどく熱い。

ローグの口内を舌が這い回る。
頭の裏がぼうっとして、他人の舌という感覚もなく、されるがままになった。
こちらから向こうへの進入を試みるが、それは許さないとばかりにアサシンは強引にこちらの口内を荒らす。


それがだめなら、と妙な切り替えで下で繋がっている部分を揺り動かした。
重なり塞がった口内で、くぐもった声がする。
指で解した時に滲んでいた粘膜で、ある程度滑りも良い。


「ひっ、アァぁ!!!!」
少し、いたずら心のような、過虐心のようなものが芽生えて
腰を一気に引き抜き、また一気に突き刺してみた。
ビクンと大きく体が跳ねて、悲鳴で唇も開放された。

互いのそれを惜しむかのように、唾液がまだ糸を引いて結ばれていた。

それを大して気にもせず、ローグはまた突き入れる。
過敏に反応し、少し辛そうな悲鳴をあげるこの体が、いい。

あ、俺ってSなのかも―などと一瞬思ってみたローグだった。

「はっ、あっ、ああっ…!」
耳に響く声が心地よくて、それを搾り出すように腰を打ち付ける。
ズクズクと音を立てて擦れ合う結合部に意識が持っていかれてしまいそうな気さえした。
「うっ…す、げぇ…気持ちイイ」
呟くように言うと、他人の欲望をその体に注ぎ込まれている彼が、唇の端をあげて、ニヤリと笑んだ気がした。

「…っ、童貞に、しては上手いじゃ…ないか」
皮肉を言うアサシンだが、ローグが思うほど彼に余裕は無かった。
それを知らず、対抗するように足を思い切り押し広げて、憎たらしい恋人の中を激しく動いた。

「あっ!!う、あ!いっ、ああ!!うぅ…!!!」
「誰が、童貞だこの…!!」

ちなみにその言葉が事実かそうでないかは秘密だ。


いじめるように攻め立てるたびに、温かく濡れたそこが怒張した性器を強く、強く締め付ける。
その中を強引に突き入って荒らすのがイイ。
このカラダがイイ。

不意に指で慣らしていたときに彼が過敏に反応した前立腺を思い出した。
彼は繋がったまま、半ば強引に彼をうつぶせにした。
すぐにアサシン自ら、ローグが動きやすいようにと四つんばいになる。

さっきより浅いところを、彼に突き刺した自身で探り、強く突き刺す。
そしてすぐに、スイッチにたどり着いて
激しく、アサシンを攻め立てた。
「ひっ、ぐ!!うァ、ああ!!!」

彼は少し上にあった枕を引き寄せて、顔をそこに埋めて声を抑えていた。
それを取り上げてやりたかったが、今この攻めたてをやめたくはない。
そろそろ限界を感じていたから。

全身が過敏になっていく気がして、鳥肌が立つような快感に襲われている。
ローグも、アサシンも、理性などなくただ互いに快楽を貪っていた。

「んっ!!んぅ、うう…!」
「っば…も、でるっ…!」
アサシンはやっと枕から顔を少し外して、片手を自らのものに伸ばした。
もう今にも弾けてしまいそうに猛っている。

限界。
「うあ、ぁ!…くっ…」
「はあぁ!!あっ、ぁ…」
ローグが何度か強くアサシンを突き上げて、彼の最奥で射精した。
その衝撃と自らの愛撫で、アサシンの方も果てた。










「起きろー起きろって、おい!」
子供のような声を上げて、すっかり目の覚めたローグがアサシンを揺さぶる。
朝の強いローグが、弱いアサシンを起こすのはいつものことだが
アサシンの眠りはいつも以上に深い。

「…だるぃ」
やっと、半分寝たままの彼がそれだけ呟いた。
「え、風邪!?風邪なのか!?」
「違う、ヤリすぎ…腹痛い…」
「なんだぁ…って、そんなにやったっけ…?」
「AGIの繊細さを知れ…」

思えば、もうすっかりバテている彼をずっと抱いていたが…
「あ、悪ぃ…」
けれど、記憶ではアサシンがずっと、強請るように何度も終わりを引き伸ばしていた気がしたが。

「まぁ俺が続けさせたんだが」
「ってやっぱそうじゃないかよ!!」
アサシンはぼーっとしたまま、体を少し起こした。

そしていきなり前触れも無くローグの頭を掴んで、強引に引き寄せた。
「むっ…ん…」
何かと思えば、またキス。
しかしそんなに深くはせずに、少し長く唇を触れ合っただけで離れた。




「お別れだ。」

それだけ、アサシンは言ってローグを放した。
「…は?」
言われた言葉の意味が分からずに、きょとんとした。

「コイビトゴッコは終わりだ。」
「…なん、で…」
意味を理解し始めると、段々目の前が暗くなっていく気がした。
また、捨てると…。

悲しいような悔しいような思いが胸に滲み始めると、それを振り払うようにアサシンがどこから取り出したのか、何か硬いものを投げつけてきた。
それはローグの鼻に直撃して、ベッドにポスン、と落ちた。

「てぇ…な、何…」
ベッドに落ちたものは…虹色にんじん。
ローグが愛してやまないルナティックのテイムアイテム。

「無理してるのが見え見えで、気分がよくない。そんななら、世間体も忘れてルナティック馬鹿で突っ走ってくれたほうがいい。だから、相手に分かれられるんだよ、お前は。」
「…え…」
見上げて目の合ったアサシンは…無表情だが、どこか優しい雰囲気をだしていた。眠たそうなせいだろうか。
けれど、みんなにつまらない、冷たい、怖いと言われている彼だが、本当は誰よりも優しいのを知っている。

「…少なくとも、俺はそう思った。」
そう言って、彼は布団をかぶったままもぞもぞと動いて、ベッドの脇にあった荷物かばんから、虹色にんじんをさらに5,6本取り出した。
「って、なんでこんなに…」
「お前と別れようと思ってるうちに、なんだか買い集めて溜まった。」
彼は相変わらず眠そうに、白い髪を掻きながら言う。

…アサシンはずっと悩んでいた。
分かれたほうが、ローグのためだと分かっていたのに
なかなかそうする決心ができなかった。

けれど、昨夜彼と寝て踏ん切りがついた。
彼は自分に“友情”はあっても“愛情”はない。
そんな彼が自分をごまかしてアサシンと付き合っていても
本当にシアワセにはなれないのだと。


「俺、お前のことはマジで好きだぞ…」
「俺もそこそこ。」
「そこそこってなんだよ!!」
そのへんに転げられたにんじんを投げつけて、ツッコミを入れながらも笑った。
こんなに優しい“友人”がいて、良かった。

「…世話かけた。」
「…ああ。いいルナティック見つけて嫁にでもしろ。」











その言葉は半分冗談だったのだが…


「ご主人ー、なんで逃げるんですか!!」

時は戻って、現在。
白く長い髪、ルビーのような赤眼の、うさみみの生えた青年。
後に彼がたった1匹捕まえた…というより、惚れ込んだルナティック。
何故か“よく焼いたクッキー”を食べると人間化することが発覚して、人間になっている現在。

そんなルナティックのご主人もとい恋人もといアサシンの友人、ローグは…
「だから嫌だってばぁああああ!!!!怖い、怖い!!絶対痛い!!!」
ルナティックから逃げて、アサシンの背後に隠れている。

彼が逃げている相手の手には、手錠とロープ。
何しようとしてるんだお前らは…

「痛くないようにアンティペインメントでも飲めばいいでしょう。」
「え…だって、そんな…お前とはじめての…の痛みをごまかすなんて…」

なんだかんだ言ってラブラブオーラが…。

「じゃあ思い切ってブッ込ませてクダサ」
「いやあああああああああああああああああああ!!!!!!!」
「ご主人…観念しないとマジで縛って犯しますy」
「もっとやだああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」
「どうでもいいが俺の部屋で始めるな、俺の部屋で。



いつの間にやら、本気で(随分アレな)ルナティックを恋人にしてしまった。
だがどうやら彼のお守りが済むのは少し先のようだ。


「たすけてええええええ!!!!!!!!!」

「わかったから俺をたてにするな・・・!!」



 

 

 


 

えろいのばっかにナリマシタ_| ̄|○
オチNEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!!!!!!!!!!!
ぶっちゃけ「エロシーンは絶対にいれよう・・・!!」と思っていたら
なんか意外と最近飢えてなくて(爆)
チマチマ面倒くさがって書いていたらやたら話が長くなりました。(´ω`;)