2週間、長いようで短い期間。 でもお若くてお年頃な俺がちょっと欲求不満気味に陥るには十分だったらしい。 少しその気になっていつもみたいに二人で裸になってベッドに潜り込んだら性懲りも無く下半身は臨戦態勢。 男なら仕方ないことだと思う、けど若干情けない気もする。 相手は全然そんなこと気にしないんだろうけど。 いや、今回ばかりはツチナワも若干そっちの方が気になると思う。 いつもと違って俺は彼から触ってもらって翻弄されるのを待っている身じゃない。 うつ伏せになった10も年上の男の背中にまたがって、押し倒してる。 ぶっちゃけてこの状況だけでもありえないと思う、まだ何をしてるわけでもないのに。 「…照れてる?」 「っ、君こそ」 「まあ、ね。」 流石に照れとか戸惑いはあるようで、少しツチナワの視線がふわふわと漂って覚束ない。 でもそれ以上に俺の方が動転してる自信がある。 だからってやめるわけ無いけど。 「その、俺…男とすんの、経験ないから、痛かったりしたらごめんな。」 「あると言われた方が困る。」 「それもそうだな。」 少し話したらリラックスできた気がする。 他愛も無い話しながら、小さく笑って、でも会話がなくなればつい顔が硬くなる。 初めてツチナワとキスしたり、抱き合ったりしたときはこんなに緊張したっけ…? 「…ルア、荷物袋を」 「…ん?」 仰向けにベッドに寝ていたツチナワが身体を起す。 首にかかるくらいに伸びていた髪が首筋を流れるのになんとなく目を奪われた。 「マンドラゴラの根を」 「え?あ、ああ。」 言われて我に返り、ベッドの脇に放置されたままだった皮の荷物袋からカサついた植物の感触を探る。 少し土のついた白い植物の根をツチナワに渡してから、一応それってマンドラゴラだから毒じゃないのか?と気づく。 が、何か言うより先にツチナワが根を少し千切って明かりのランプの中に放り込んだ。 「なに、それ?」 「少量だから大差ないだろうが、一応軽い催淫効果がある。」 「…へ?」 「毒物に頼るのは気が進まないが、副作用がでる程ではないから大丈夫だ。」 「そうじゃなくて…」 「私のような者相手では、大変だろう?」 少し苦笑いしながらそう言う姿に、無性に腹が立った。 「…んのやろー、俺が今までどんだけ我慢してたかわかってねーだろ…」 「我慢…?」 「オーケー、オーケー。余計なことしたこと後悔させてやる。」 荷物袋探ったときにあった瓶の感触をもう一回探って取り出す。 思ったとおり、中には透明な粘液。 変哲も無い食用油だけど、何の為に用意されたかこの状況ならすぐに分かる。 とりあえずそれはまだ置いておいて、アサシンクロスの既にくつろげられてる装束をもっとくつろげて、胸元に顔を埋めた。 うーん…胸板。当然だけど。 けど不思議と、女の子の柔らかい肌より筋肉質で硬い皮膚の方が今は心地良い。 目に入った古傷に舌を這わせる。 ツチナワの肌より、俺の舌の方が温かかった。 「…甘い」 人の肌が甘く感じるなんて、俺の感覚がおかしいんだと思う。 ツチナワが少しうろたえたのが面白かったからまぁいいか。 「なあ、お前は俺のこと、抱きたいって思ったことあるか?」 「いや」 否定された、でもそれが淡白な返事じゃないことは分かってる。 ツチナワはほんのちょっとだけ頬を赤くして、俺の方を見てる。 その目は人柄に合わずちょっと怖いんだけど、相変わらず穏やかだ。 「こんな身体だからというのもあるが、いつものように触れられれば十分だった。」 「じゃあ、“あったら”したくなった?」 「間違いなく」 「じゃあ、今はあんまヤる気にならないか?」 「贅沢だと思う。」 「ぷっ」 真顔で言うもんだから吹いた。 贅沢ねえ… 俺の方こそ、お前と一緒にいるだけで贅沢だと思うよ。 超惚気だけど。 「悪いな、俺はお前みたいに無欲じゃないから。贅沢でも何でも、欲しくてたまんなくなる。」 「構わない。」 笑ってくれるツチナワにキスをして、顔を押し付けるくらい強く深くした。 口の中と絡む舌は熱くて、混じる唾液もどっちのものか分からない。 感じる全てが甘ったるくて心地よくて、頭の中がどろどろに溶けてしまいそうだった。 ベッド脇に転がっていた皮袋から出した食用油を指先で適当にすくった。 歪に抉れた背中の黒いグロテスクな十字架にキスしながら、尻に油で濡れた指を添える。 少し触れた瞬間に、萎縮したのがわかる。 少し撫でるように出口…いや、今回は入り口。そこに油を塗りこんだ。 普段だったら不快に思う油の滑りが妙にいやらしいと思う。 「入れる、な?」 「ああ。」 若干顔が赤い気もするけど、ツチナワが案外平気そうにしているから遠慮なく差し込んだ。 始めにちょっと抵抗があったけど、油のおかげで指一本は案外ズブズブと奥まで押し込められた。 「う、わ…っ、すげ…なんか、熱い…」 まだ指だけなのに、人の中の感覚ってのに圧倒された。 奥に行けばいくほど温かくて、湿っていて、柔らかい、でもってきつい。 内臓の感触。 そうやって驚いてるってことは完全童貞だって証明してるようなもんだって遅れて気付いた。 けどどうだっていいや。 ツチナワ相手に意地張ったって仕方ない。 「痛くないか?」 「ああ。」 ツチナワは極力脱力に努めてくれてるらしい。 にしても、まじできつい。 本当に解れるのか、これ。 ゆっくり、指を動かして締め付けてくる肉壁を指の腹で押し返すように解す。 解すっていっても、こうでいいのかわからないけど。 「ツチナワ…」 「……。」 返事はない。 顔を隠すようにそっぽを向いて、腕で口元を覆っている。 痛いのか、ばつが悪いのか、不快なのか、さっぱり分からない。 …男同士でする時、入れる側は気持ち良いってのは、もう指だけで分かった。 まあ、これが本当に入ればだけど。 でも入れられる側ってのは気持ち良いもんなのか? セックスって無条件で両方気持ち良いもんだと勝手に思ってたけど。 やっぱり、俺の一人よがりにしかならないんじゃないだろうか。 「……嫌なら、止めるから。」 「嫌なら、そんな道具を調達してきたりしない。」 顔は見えないけど、少し頭を動かして苦笑いしたのがわかった。 俺は視線をベッドの脇に口をあけて鎮座してる皮袋に向けた。 心の準備がてらにゆっくり収集品で思いつく限りのものを集めていたらしい。 ちなみにあの性悪プリーストのアドバイスを受けた、ってのはものすごい不安なんだが。 にしても、やばい、気持ちいい。 指入れてるだけで腰にくる…耐えてるだけで辛い。 早く解してやらないと、入れる前にイッちまうとかものすごい恥ずかしい事態になりゃしないだろうか…! 一緒に俯せに寝てるから、早とちりしそうな息子はベッドに押しつけて我慢させることにする。 「指、増やす…な…?」 返事はないけどツチナワの後頭部が小さく頷く。 油、足した方がいいかな… …あ……。 「そだ、アンティペインメント、あったよな…飲んでおくか?」 まだ本番でもないのに飲むのは早いかもしれないけど、どんだけ痛いのか俺にはわからないし。 心配してそう言ったら、小さく「いらない」と返された。 まだ、じゃなくていらないっていうことはそんなに痛くないのか。 「痛くはないのか」と聞いたら今度はまた返事がなかった。 「ツチナワ…?」 「……変な、感じがする。」 そう応えた声が少し震えていたのがわかった。 ひょっとして 「…気持ちいい?」 そう聞くと口ごもった、けど消え入りそうな声で「時々」と応える。 ……時々ってどうゆうこっちゃい。 そんな気持ちよくなる周期とかあるのか? ちょっと混乱しながらとりあえず指を三本目まで増やす。 「…っ…」 「あ、わり、ちょっと無理した。」 痛くないっていうし、2本目が案外すんなり入ったから3本目もいけるかと急ぎすぎた。 ぎりぎりまで広がってる感じがして指の締め付けもきつい。 ツチナワは少し深く呼吸して、自分で脱力しようとしてくれてる。 ・…こんな時でさえ、頼りきりみたいで情けなくなってくる。 「ごめん」 指は3本入れたまま、でも動かさないようにしてツチナワが楽になるのを待った。 でもその間も背中にキスをして、手を少し浮かしていた胸とシーツの間に滑り込ませて、胸や腹を撫でる。 少しでも長くたくさん触れられるように。 呼吸の度に薄いけど硬い胸板が大きくゆっくり動く。 …そういえば、と思い出したように胸の突起に触れる。 もう下半身のこと気にしすぎていろいろ触れることを忘れてた。 「っ…」 ツチナワが少し狼狽えた。 女の子相手だったら胸は目立つから自然とさわりたくなるだろうけど、男って乳首触られて感じるのかなとか思ったり。 爪でひっかいたり指の腹で擦ったりしていたら、それが少しプツッと立ってきていた。 あ、男でもたつんだ。 ・……ひょっとして… 「…やっぱ気持ちいい?」 ついさっきも聞いた気がする言葉を、頭悪く繰り返して聞く。 でも今度はまた沈黙。 ……ていうかさ、ツチナワが返事をしないっていうのは、ものすごい違和感。 返事が鈍くなったり、ちょっと息を詰まらせたり、案外こいつの同様ってのは分かりやすかったりする。 ってことはやっぱりこれってさあ…。 俺は俯せに寝っ転がっていたのを一度起きあがって、ベッドに膝をついた。 それで乱暴でも構わないから指を引き抜いた、その瞬間にツチナワの体が萎縮する。 うつぶせで、でも肘をついて起こしていた肩を押し倒して仰向けにさせた。 「…っ!」 「なあ、後ろ姿しか見えなくて返事もしてくれなくて、寂しいじゃん。」 「…すまない、余裕がなかった…。」 なんだよ、それ。俺の方が余裕無いってーの。 笑いかけて、それでまた覆い被さって、足の間に手を入れた。 3歩進んで2歩下がるみたいで悔しいけど、やっぱ痛い思いはさせたくないからまた指は2本から。 入れる向きを変えようがぎっちり閉めてくる柔らかい肉は気持ちいい。 「……ぃッ…」 ………? 裏返った声。 「ツチナワ…?」 「……っ…」 失態を見られたと反省するみたいに、視線を落として自分の唇を手で塞いでいる。 やっぱり今の、ツチナワの声? 今、なんか中のしこりみたいの触ったせいか…?。 ていうか、狩りでグッサリさされても声上げなそうなツチナワが…? 「ここ、気持ちいいのか?」 顔には出さないが、黙ってるってことは狼狽えてる。 俺は遠慮なしに、またしこりを押し返して擦る。 とたんに形のいい眉が歪んで、紫の瞳が瞼に覆われた。 体が萎縮して、口を押さえてた手がさらに唇に押しつけられる。 片手の五指が、シーツを引っ掻いていた。 …すげえ、残念ながらあからさまに喘いではくれないけど、我慢してる様子がそそる。 てゆーか、いつも澄まして余裕なくしてるところなんて一切見えない あ の ツチナワが ちょっと苦しそうに体を少し震わせてる。 しかも俺の下で。 その事実が信じられない。 ……そんな顔も男前なのは悔しい。 俺だったらへなへなで情けない顔になるだろうに! 「痛いんじゃないんだろ、なあ…答えてくれよ。黙ってないで。」 「……こん、な…」 やっと自分で唇を放して、小さな声で答えてくれる。 「感覚…知ら、ない…」 そりゃ、尻に指突っ込まれてかき回されたことあるって方がおかしい。 そんなことより、息苦しそうで裏返りそうになる声が、いつもの低音ボイスと違って、また… 「気持ち、いい…と、思う…」 腰にくる。 「もういい。我慢できない。既にイッちまいそうだけどもうやるぞ。早漏とでも何とでも罵れこのやろーっ!!」 「ル、ルア、落ち着け。」 落ち着いてられない、下半身の我慢より頭の我慢が効かなかった。 俺は色気のないことを喚きながらツチナワの足の間に腰を落ち着ける。 両足を抱えて開かせて、目の前で俺の平均的な大きさのモノが、ツチナワの入り口に添えられる。 直前になって油を塗っておこうと思い出して、開けっ放してあった瓶の口をつかんで、一瞬逆さにして元に戻した。 それで手のひらにべっとりついた油を、自分の方に塗りたくる。 もう既に先端から先走って精液が漏れてて、少し押しつけただけでツチナワに俺の体液が染みつく。 それだけでいけないことをしてる気になる。 プツリと先端が埋まる。 けどそれだけ。 押し付けてもまるで何も無い皮膚に押し付けてるみたいに入らない。 もどかしくなって、両手で尻を掴んで左右に押し開く。 「…っん…」 何とか、先端が埋まっていく。 肉を押し広げて、狭い輪郭をこじ開けてさっきまで指で探ってた温かさを感じる。 やばい、せまい、あつい、やばい。 アホみたいな言葉が頭のなかで反復されながら、下半身は退けっていうのに頭は行けという。 メリメリいいそうなくらいの狭さ、キツさ、肉を掻き分けて突き刺している感じ。 声はあげないけど、必死に力を抜こうとして深呼吸してるツチナワがいる。 けど俺が自分の制御もできないで、ツチナワの呼吸を気遣いもしないで押し進むから無意味に終わる。 押し返されそうになるのを無理矢理ねじ伏せる。 一番太い亀頭が埋まりきった。 気持ちいい、温かい、頭の芯がぼうっとした。 俺はどこまでも余裕がなくて、そのまま押し止まるのも出来なかった。 止まったらすぐ限界になる気がした。 「う、あ…ぁ…」 必死になってるうちに最奥、そこで柔らかい肉に抱かれて、搾り取られるように達してた。 喘いだのは結局俺の方。 結局俺ばかり感じて、イイ思いしてるけど、それを悔しいと思う余裕はイッた後でも沸いてこなかった。 もう、早漏とか言われようと構わない。 好きな奴と繋がって、その中に出した、その幸福感と気持ちよさで頭はいっぱいだった。 ツチナワは顔を背けて、シーツを握り締めて、白い胸を上下させて息を乱してた。 けどもうずっと濃い酒を煽ったみたいに、熱くて視界もふらつきそうなくらい興奮してて、どうにもできなかった。 気遣ってもやれなくて自分勝手に犯したことを後悔したけど、どうしようもなかった。 「ごめん、痛かった、よな…。」 「……そうじゃ、ない。」 だるそうな動きで首を振るのを見ながら「じゃあ、なに?」と聞き返す。 「痛み、には…強い。」 知ってる。狩りで怪我をしてもまったく動きを乱さない。 声なんかあげたこともないし、狩りが終わっても平然としてるよな。 なら、そう辛そうにするのはどうして…? 「熱い。」 「俺が…?」 「私達、両方が。」 「うん…」 もう出しちまったのに、まだ物足りなくて脈打ってる俺がツチナワの中にいる。 「すげえ、脈打ってんの…分かる?」 「君が?」 小さく笑いながらそう言うから、遅れて俺がさっきした質問の真似だって気づいた。 「俺たち、両方だな。」 繋がってるところの熱さを、あんたも感じてるのか。 俺が出した液のせいもあって、中がどろどろの溶岩に満たされたみたいなんだ。 こんなに熱いのを、俺は知らない、今まで一番熱いと思ってたキスよりもっと熱い。 「おまえな、余裕すぎて…全然気持ちよさそうに見えない。」 「そんなことは」 言いかけてるところで急に動いて、彼の腰をがっちりつかんだ。 でもってもっと入り口近くまで引いて、あのしこりのあった辺りを行き来する。 思った通り、結構イイらしくて今度こそツチナワも余裕を無くして自分で自分の口を塞いだ。 そんでまた眉をしかめて、目をつぶる。 「ツチナワ、手」 俺は子供においでというみたいに両手を差し出す。 彼は少しためらいながらも両手を差し出してくる。 その両手を彼の腰の両脇あたりに押しつけてシーツに押し止める。 腰の動きだけでまたあの感じるところを刺激させながら、背中を屈めて舌先で胸の突起を舐める。 このときばかりは少しだけ身長差に感謝した。 「っ……ふ、っ…」 呻くように声を漏らして、体をよじる。 でも抵抗する気はないらしいから俺が動くじゃまにはならない。 舌先、唇に伝わる少し固い感触が、面白いと思う。 これで白くて小さくて可愛い胸の膨らみがあったら…と想像してみたが、それは最早ツチナワじゃないのでむしろ萎えた。 今の身体を確かめるように、片手で胸や腹の凹凸をなぞる。 もう手で口を塞ぐようなことはしなかったけど、耐えるようにシーツを握ったままだ。 喘ぎ声なんてあげてくれないけど、荒くなってる呼吸が声よりも色っぽく思えてそそった。 「ル、ア…」 二人とも息が乱れてる。 俺が中にいることを主張するみたいにしばらく身体を揺らしていた。 時々中が収縮する度に俺が悲鳴を上げそうになるけど、ひたすら耐えて中で動く。 「泣い、て…?」 ツチナワが虚ろな表情で、けど怪訝そうに俺の頬に手を伸ばしてくる。 俺は無意識に泣いていた。 ツチナワみたいに生理的に浮かぶ涙じゃなくて、感情的な。 だって、すごく幸せなんだ。 ずっと追いかけてた、一緒にいるようでいつも追いかけてばかりいたツチナワがこんなに近い。 まだ追いついてなんかいないけど、でも1つになってるのが嬉しくて仕方ない。 挫折と妥協がくせみたいな俺だし、求めて、求めて、得られることがこんなに嬉しいとは思わなかった。 頭が溶けそうなくらい気持ちいい、けどそれよりも幸福感が勝る。 どっちも貪るみたいに指を絡めて、腰を揺らして突き上げる。 気持ちいい、きつすぎて痛い、そんなのは段々とどうでもよくなってくる。 とにかくツチナワがよさそうにしてたところをずっと刺激して、一緒に息を荒げて 抱き合って、腰の動きも早くなって、一緒に昇りつめて… 「っふ、ぁ…っ…」 もう、こんなにもすぐにイキそうになる。 緩む唇、でもなんとか歯だけはかみ締めて、視線を彷徨わせる。 もう少し感じていたい、ツチナワを組み敷いてたい。 だから終わってしまわないように耐えて、すこし気を紛らわせようと必死になってみた。 そして視線に入ったのは、窓に反射して夜空に浮かび上がる俺たちの姿。 とても人には見せられないあられもない姿で必死に絡み合ってる姿。 なんだか一瞬他人の目線で自分達を見ている気になって、それがまた今二人が繋がってるってことを再度自覚させる。 嬉しくて、そんで頭の中で再構築された図が随分卑猥に思えて心臓が鳴った。 「…チ、ナワ…っあ…」 「…っ…く…」 そうだ、今は俺だけのものだ。 しっかり捕まえるように強く腕を掴んで、何度も腰を強く押し付ける。 臨界点。 頭の中が白くなって、腕が、下腹部が、足が、自然と強張って熱を放出。 俺はまた、耐え切れずに彼の中で射精してしまっていた。 なんだか気分は毒を注入する毒蜂の気分、だけどもし有害なんだとしても、これは俺の精一杯の気持ちだった。 まあ今度は無我夢中だったけど結構耐えたと思う。 けど、ずっと事に及んでたいっていうより、彼の中を俺のでいっぱいにしてやりたいとか思い始めてくる。 子供なんか、できるわけじゃないけど。 なんとなく彼の下腹部を撫でた。 「ルア…」 少しかすれた声で呼ばれて、俺もどこか呆然とした視線で返す。 今まで見たことが無い、相変わらずかっこいいんだけどどこか淫気があって妖艶に見える恋人。 下で俺のものを彼から抜いた、少し中が収縮した、出て行くのを嫌がるみたいに。 それでも今は彼とキスがしたい、残念ながら俺達の身長差じゃ繋がったままじゃできそうにないから。 「……少しは、気持ちよかったか…?」 そう言いながら、ツチナワの髪を撫でて頬に触れて気づいた。 戦っているときに判る、スタミナの鬼みたいな奴がこめかみに汗を滲ませてた。 それが俺が何かしら彼に伝えられた証拠に思えて、無性に嬉しくなった。 「とても」 そう言って微笑んでくれる、彼がたまらなく好きだと一人で惚気て、また俺は無我夢中でキスをする。 逃がさないように頭を抱えるようにして唇を押し付けて、受け入れてくれるから存分に舌を絡めてディープキスをしまくった。 「…ん…く…」 「…っ、…」 いつもみたいに熱く、いつも以上に熱く。 肘を彼の頭の左右について、覆いかぶさって貪り続けた。 苦しくても、唾液で唇がひどく濡れても、ツチナワは拒絶しないでそれどころか俺の肩に手を回して引き寄せてくる。 昔は誰にでも平等に人を愛し、特別に一人の女性を愛した男。 でも今は俺だけで、彼のこんなに奥深くまで触れたのは俺だけ、心を通じ合わせたのも俺だけ。 そう思うと、子供っぽい独占欲が満たされて嬉しくて仕方が無くなる。 喜びも、快楽も、ツチナワ自身も欲しくて、俺はずっと彼に被さって貪り続けた。 酸欠になるまで、二人とも頭の中まで熱で溶け出すまで。
ぎゃあぎゃあと耳障りに叫んで暴れているプリースト二人がいる。
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