「皆大きくなれば、いつかきっと幸せになれるよ。」
そう言っていたのは誰よりも優しい少年。
彼は他の誰より現実を見ていたから、そんな受動的な生き方では幸せになんかなれないと分かっていただろう。

けれど少年は、もう身も心も飢えていた皆にそんなことを話す残酷さを持っていなかった。
だから一生懸命に本を読んで字を覚え、外の世界について学んで、食べ物を探して、皆が少しでも強く育っていけるように尽力した。

自分は彼のそんな気持ちを察しながらも、彼を手伝うことも、彼のできないことをしてやることも、何もしなかった。
ただ彼の優しさに自分も甘えていたかった。
彼を誰よりも独占したかった。

ろくでなしの館長や、子供をゴミにしか思っていない大人達に囲まれる中で、その少年は皆の“親”だった。



「…また食べてないね、ルナティス。」

覗き込んでくる少年は誰よりも綺麗に見えた。
皆より少し背が高くて、体も丈夫で、けれど黒い髪は艶やかで蒼の瞳は輝いている。
完全に親代わりとなったアスカがとってきた木の実や動物の肉を皆で食べている中、ルナティスは一人だけ少し離れてそれを見ていた。
それを見かねて、アスカが皆で均等に分けられた食べ物が乱雑に乗せられた皿を差し出してくる。

「………。」
昔与えられた小さなパンと水に比べれば十分すぎる量。
お陰で飢えることはあっても、動けなくなる子供はいなくなった。
だけどその分、アスカの疲れがひどく溜まっていくのが目に見える。

「アスカ、食べて。」
「俺はいらないよ。とってくるときにたくさん食べたから。」
うそではないだろう。
この食事時間にアスカは食べることなく、いつも倒れる様に寝入っている。
これがうそなら彼は骨のように痩せ細って餓死している。
「……アスカが、とってきたものだ。」
「皆に食べてほしいからとってきてるんだよ。」

お腹は空いているのに、どんどん食べる気がうせていく。
きっとアスカに「ルナティスに食べてほしいから」なんて言ってほしいから。
彼が誰にも公平で優しいから好きなのに、自分だけ見てほしいと強く願う。
けれど結局、アスカの睡眠時間を削ってしまうことと、空腹に負けて、その皿を受け取る。
食べ始めれば皆残さずに平らげることをしっているから、彼は笑って自分の部屋へ帰っていく。
ずっと隣に座っていてほしいのに、彼をどうやって引き止めたらいいのかわからない。
彼の気を引くことをいつも考えている。
だけれど、離れたところでじっと座って、彼が食べろと言って食べ物を差し出してくるまで待つことしか思いつかない。



ある日、友達が一人、いなくなった。
「ねえ、リーヤは?」
「わかんね。昨日いなかったか?」
「昨日もいなかったよ。」
少し肌が黒くて、髪の毛は綺麗な緑色をしていて、笑うのが苦手だけど可愛い女の子だった。
最近その子の部屋に知らない大人の人が出入りしていた。
ルナティスは隣の部屋だったから、彼女がいなくなる直前にも大人が出入りしていたのを知っている。
「ルナティス、知ってる?」
「…知らない。」
「そお。わたし、探してくる。」
きっとその大人に連れて行かれたのだろう。
リーヤと仲が良かった女の子の背中を見ながら、「むだだよ」と心で言った。
自分じゃなくてよかった、アスカじゃなくてよかった、ルナティスが思ったことといえばそんなことだった。
「待ちなさいナナ、ご飯の時間よ。どこか行くなら後にしなさい。」
大きな滑車を押してきたおばさんが、リーヤを探しにいこうとしていたナナを呼び止めた。
いつもは手かごに入れたパンを放るように配って終わりなのに、時々こうして滑車にたくさんのご飯が乗ってもってこられることがある。
そんなときはおばさんはなぜか優しい口調になって、そして近いうちに誰かがまた一人いなくなる。
たしか一週間前も豪華なご飯で、そして今日リーヤがいなくなった。
だからきっと、また誰か連れて行かれる。
自分とアスカ以外でありますように、そうルナティスはまた強く願った。
「おばさん、リーヤがいないの。」
「今食べないならナナの分はなしよ?リーヤは別のお屋敷に行ったわ。」
「どうして?」
「リーヤはいい子だったからよ。だからいい子がいっぱいいるお屋敷に行ったの。」
そういわれて、ナナは渋々うなずいた。
なんとなく、ルナティスはおばさんはうそをついていると思った。
けれどリーヤが本当はどこに行ったかなんて全く見当もつかない。
「皆、行儀よく食べなさい。」
そうは言うけれど、テーブルも椅子もなくて、普段は“行儀良く”なんて一切言わないから、それがどうゆうことか子供達は分かっていない。
ルナティスはまた食べないで、離れたところで一人になっていた。
アスカがこっちを見たが、知らないフリをして、上を見ていた。

「……。」
そして二階の窓に知らない大人がいたことに気づいた。
隣の部屋の女の子をつれていったのとはまた別の人だ。
その大人は皆が中庭でご飯を食べている時に、二階の部屋からそこを見ている。
なんだか嫌な予感がした。
この豪華なご飯といい、また誰かいなくなるんじゃないか。
こっちを見ないで。
アスカを見ないで。
他の子なら誰でもいい。
そう思いながら、ルナティスは大人たちをずっと見ていた。

そして大人はアスカを指差して、隣の大人に何かを話しはじめた。

心臓がはちきれるかと思った。
今度はアスカが連れて行かれる。
それだけは絶対に嫌だ。

「ルナティス。ほら、俺がとってきたのよりおいしいよ。」
またずっと食べずにいたルナティスを見かねて近づいてきたアスカが、何も知らずにそう言って笑っている。
だがルナティスの思考はそれどころではない。
またあの大人の方を盗み見たら、やっぱりアスカの方を見ている。
「…アスカ、食べてて。」
そういい残して、ルナティスは立ち上がる。
とっさに体が動いていた。



中庭から出て行って、古ぼけた廊下から二階へ上がる。
その瞬間、誰かにぶつかった。
「おい、何をしてるんだ。ご飯の時間だろう。戻っていないさい。」
いつも屋敷をうろうろして見張っている大人だった。
「アスカを見てた人に会いたい。」
「は?」
「さっき、アスカを見てた!アスカを連れて行くんでしょ!リーヤみたいに!」
「!?ばっ…声がでかい!」
彼は目を丸くして、ルナティスの口をふさいだ。
「会わせて!怒らない!ただ話したい!話させて!」
「分かった、会わせてやるから黙れ。じゃないとそこの窓から放り出すぞ!」
願いを聞き届けられた安心感と、同時にされた脅しの恐怖感にルナティスは黙り込んだ。
それに男はホッと息をついた。
それから口をふさぐ手をどけられて、腕を掴み上げられて歩かされる。
「失礼します!」
すぐそこの部屋の前で一度止まり、扉が開けられる。

見覚えのある人が1人と、館長と、知らない大人が二人いた。
「何だ。今お客様がいるんだぞ。」
「すいません、でもこの子供が乗り込んで来まして…。」
先ほどアスカを指差していた大人を見つけると、ルナティスは腕を掴む手を振り払う。
裾の長いローブを来た若い男に走り寄って、すぐ目の前に立った。
「アスカを連れて行かないで。他なら、誰でもいい。アスカとは離れたくない。」
言った瞬間、男は少し遅れて笑った。
顔を隠す前髪も後ろ髪も黒く、長く、笑うたびにゆれる。
「さて…どうしますか?」
男は脇を見て、聞く。
相手はもう一人の知らない大人。
白髪交じりだが強面の風格のある男だ。
少年には彼が交渉するべき相手だとすぐに悟った。
「…そうだな。」
彼はしばし目の前の少年を見て悩んでいたが、何を思ったか彼の前にしゃがみこみ、ボサボサになった前髪をかき上げた。
隠れていた顔は綺麗なエメラルドグリーンの瞳の美少年だ。
育った環境が悪いせいで薄汚れた金髪、その上皆との交流を好まないせいで身なりも気を使わず髪も伸び放題。
きっと誰もこの少年の姿を気に止めなかったに違いない。
知られざる原石だ。
きっとアスカという少年より遥かに安く買えることだろう。

「…彼を連れて行くのはやめてあげよう。」
「本当に!?」
ルナティスの顔が見る見るうちに晴れる。
男の意図など知らず、少年の目には彼が自分の願いを聞いてくれた優しい大人に見えた。
「ああ。その代わりに君を連れて行きたいんだが?」
崖から落ちかけているところを救い上げられた途端、また突き落とされたような心境だった。
ルナティスはまた表情を曇らせる。
「僕は…アスカと離れたくない。離れるのは絶対にやだ…。」
「そうか。なら少し待っていたまえ。」
意外にも男はうっすらと笑みを浮かべたままそう言って、館長の方に向き直る。
「お聞きのとおり、この子を専属にしたいのですが、さっきの子の半額でいいですかね。」
「…うーむ、まぁ…どうせ買い手がつかないような子でしょう。どうぞその額で。」
館長の返答に男は内心笑みを浮かべる。
「それと、“向こう”に移さずにここに住まわすというのはできますかね。」
「いや、それは少しマズいですよ。他の子供に悟られるのは避けたいので。」
「…でしたら20万上乗せしましょう。如何ですかな。大丈夫、この子なら脅しも効くでしょう?」
後半をルナティスに聞こえぬように小さく言う。
他の会話の意味など、時期に分かってしまうことだ。
「分かりました。ならここの別館にも施設はあります。夜はそちらに移しましょう。」
「どうも。」

いい買い物をした、そう内心で高笑いしながら男はまたルナティスに向き直る。
「君はここに住んだままでいい。但し、しっかりと働いてもらうよ。でなければ君の大好きな子と離れ離れになる。」
「…分かった。絶対に頑張る。だからアスカは連れて行かないで。」
「ああ。それと、今あったことと、これからの君の仕事は絶対に誰にも秘密だ。
誰かに話したら、そのときはどうなるか…分かるね?」
「うん、大丈夫…。」
嫌な予感がしつつも、何がおきているのか分かっていないのだろう。
少年は不安そうな顔をしつつも、強く頷いた。
「…お上手ですね。」
脇に控えていた黒髪のセージが嫌味に笑う。
館長は気づいていなくとも、その青年は館長の損に気づいているだろう。
この少年はかなりの上玉だ。



「…っん…う…」
「そう、上手いな。」
優しい言葉をかけながらも、男はルナティスの頭をがっしりと押さえつけている。
顎も疲れているのに、何度か口内で膨張している一物を揺らされてえづく。
訳も分からないまま男の性器を口に入れられて、気持ち悪さと苦しさで涙で顔がぬれている。
「ほら、手が止まっている。ちゃんとしないといつまでも終わらんぞ。」
言われて、慌てたように唾液で濡れた竿を細い指で擦りだす。
言いつけはちゃんと守り、手を抜くことはしないからこの少年はいい。
「そのまま咥えてろ。」
「…う…っぐ…」
「ちゃんと飲めよ。」
何を、と思う前に髪を掴まれて、口内で達せられる。
驚きながらも口を放さずに「飲め」という指示を思い出して、必死で飲み下す。
嫌な味を感じて、思わずまた涙がにじむ。
途中からごほごほと咽て、口を放してしまった。
「よく飲めたな。次はもっとうまく飲めるようにしろ。」
「…っ、はい…」
褒められることも、優しい声をかけられることも、頭をなでられることも初めてだ。
それなのに、やらされることは嫌なことばかりで嬉しくない。

「次は…痛いだろうが、そのうち気持ちよくなるからな。」
「…はい。」
もう嫌だったが少年に選択権はない。
感じたこともないほど柔らかくて心地よいベッドに押し倒される。
男の目に映る、口元を汚して涙を流している少年の姿はあまりに欲情的だ。
風呂に入れて身なりを整えさせれば彼はあまりにも美しく化けて、館長が目に見えて悔しそうにしていた。
そんな掘り出し物を見つけられたのが、男は嬉しくてならない。
そして笑みを浮かべると、ルナティスは逆に不安に駆られた。
足の間を探られる。
そのくすぐったさに腿が震えた。
「…い…!?」
一瞬、何をされたか分からなかった。
何かを尻に入れられたのは分かったが、何を、何故、と自問し続けた。
真っ赤になった目で下を見て、何をされているかの確信は得て、ルナティスは驚愕した。
「…君みたいにまだ幼い子には辛いだろうがね、我慢しなさい。」
辛いどころの話ではなく、大抵は小さな体に一物を突き入れようとすれば死にそうな悲鳴をあげて失神するのを男は見てきている。
「…っ!う、ぁ…!ひっ!!」
指を抜き差しを繰り返しながらもかなり強引に押し込んでいく。
ルナティスは声を上げてからすぐに口を手で押さえた。
思わず口をついて出かけた「痛い」「嫌だ」「やめろ」を抑えるために。
「ふ、うう!!う、ぐぅ!!」
目を見開いて、全身をガタガタ震わせながら口を押さえていた。
指が入りきると円を描くようにぐいぐいとまわしたり、内壁を押しつぶすように指を折り曲げられる。
内がわの鈍い痛みと、入り口の引き裂けるような痛みに涙が信じられないほどあふれる。

館長にぶたれたことはある。
顔が腫れ上がってすごく痛かったが、こんなに涙が出るほど痛くなかった。
もうひとつ、中にすでに入っている指のほかに、入り口を押し広げる痛み。
声は抑えられたが、反射的にいやいやをするように首を振った。
口を押さえる指が、自らの頬に爪を立てる。
「顔に傷をつけるな。勿体無いだろう?」
男が必死に口をふさいでいたルナティスの両手をまとめて引き剥がす。
それは肛門を荒らすことより酷い拷問に思えた。
口が開いた瞬間に3本目の指を突き入れた。
「――ああああ!!!」
狭い中を強引に入り込んで、かき混ぜる。
「うあああ!!ごめんなさい!!ああ!!ゆるして!!!」
「何を謝っているのかな。」
「ああああ!!ごめん、ごめんなさい!!」
咄嗟に出てしまった、拒絶以外の言葉は
館長に殴られた時にしていた謝罪の言葉だった。
「謝るな。虐待している気になるじゃないか。」
男はなんとなくそう口にする。
そう言われればルナティスは忠実にそれに従う。
けれどなんとか見つけた声の逃げ道を塞がれて、追い詰められた気分だった。
「ほら、我慢して。ちゃんとやらないとどうなるか、わかってるだろ?」

気まぐれで男は再び少年の耳元に脅迫をたたきつけた。
その瞬間目に見えて驚く姿が面白いと思った。
開かせた細く白い足の間に凶器ともいえる性器を押し付ける。
シーツを掻き毟り、手が白くなるほど握り締める。
“ちゃんとする”の意味を“煩くするな”ととったらしく、それでも少年は目にいっぱいの涙を浮かべて、それでも突きこまれる瞬間に声をあげなかった。
じっと男の顔を見ていて、大きな目から涙を溢れさせた。
メリメリと音がするような激痛。
なんでこんな太いモノを刺すのか、何の意味があるのか分からない。
ただ思うのは声を抑えなければいけないということ。

「そんなにあの少年が大事か?」
痛すぎて、返事などできなかった。
ただ、酷いことをする大人の腕を掴んで、震えるように頷いた。
「そうか、なら私から館長にお願いして、彼には優しくしてあげるようにお願いしてあげよう。」
「っ、あ…う…」
「もう引き離されると怯えなくていい。」
「ほん…とに…?」
面白いほどに震えて、かすれた声だった。
それでも少年は滑らかで美しい。
「ああ。但し、ちゃんと君がこうやって彼の分もがんばることが条件だがね。」
「…っ……」
「ほら、君の願いをかなえてあげたんだ。ありがとうは?」
ずっとこの酷い行為を続けろと言っているのに、到底ルナティスは感謝する気にはなれない。
それでも、この場では絶対に逆らってはいけない。
「ありがとう、ございます…」
「そうだ、いい子だな。…今は痛いだろうが、次には気持ちよくなる。不安になることはない。」
「…はい…」
男はニッと嫌な笑みを浮かべて、体を揺すった。

「―――ッッ!!!」
精一杯我慢した結果の声無き悲鳴。
何度か軽く突き動かせば、男の腕の中で少年の体が限界を訴えて弛緩した。
意識が、世界の裏側へトんでしまう。
けれど、男の酷いコトは続いているのが分かる。
それでも、もう声を抑える理性も、体を動かす力もなくて、半分気絶しながら、小さく悲鳴をあげ続けた。
いっそこの体が砕けてバラバラになってしまえたら…そう思った。






ギルドで借りているゲフェンの宿の大部屋の真ん中に正座して、プリースト・ルナティスは頭を下げた。
「というわけで、すいませんバイトクビになりました。」
その頭を厚紙でできたハリセンで殴り飛ばしたのはブラックスミス・マナ。
今日も相変わらず激しい露出度である。
「お前なぁ、何件やめれば気が済むんだぁ?せっかく紹介してやってんのに。」
「だっておっさん嫌ィィィイ!」
泣き出しそうな目でそう訴えるルナティス。
そもそも彼がマナに紹介された喫茶店のバイトをやめたのは、中年の男にべたべた言い寄られてキレて、ボコボコに殴り倒したせいだ。
今まで何度もやめたバイトも、そんなものだ。
「別におっさんだらけのところにゃ行かせてねーだろ。」
「いや、全体的にセクハラ多いんだよ。真昼とは言え接客業って大変だね。」
「別にいいだろセクハラくらい、孕むわけでもねーし。ケツでも股間でも触らせとけよ減るもんでもなし。」
「…マナ、昼間からえげつねー…」

「ルナティス先輩って、女の人にも人気あるけど、男の人にもありますよね。」
「いいんだか、悪いんだかね〜。」
「オジサンってただでさえタチ悪くてしつこい人が多いのに、そんな人達にも好かれてるわよね。」

後輩三人の話し声を、マナは耳を大きくして聞いていた。

「お前さ、おっさんには嫌な思い出があるっつってたな。」
「うん。」
「だったら乗り越えろ。おっさんどもの上に立て。」
「は?」
彼女の言葉に固まったのはその場にいる全員で、ルナティス一人ではなかった。
「ポリンを憎むならポリンを殺せ、女を憎むなら女を食いつぶせ、おっさんを憎むならおっさんを食いつぶせ。」
何を阿呆なことを…
と一同は思ったが、皆同時に黙って真面目に聞いているルナティスにハッとした。
そして嫌な予感がする。
「コンプレックスを乗り越えろ!おっさんを手玉に取れ!弄んでやれ!そしてお前は壁を乗り越えて成長するんだ!」
「マナ…!」
ずっと聞き入っていた彼は突然立ち上がってマナの手をとる。
昔真剣にデキている疑惑があったくらいの二人、並べば美男美女でかなり絵になる。
が、話しているのは
「わかった、僕やってみるよ。」
「よく言った!じゃあまずは手近に今までどおり喫茶店を攻めるぞ。」
「セクハラされたら照れる振りすればいいかな。」
「甘いな、時代はツンデレだ。とりあえず冷たく突き放しておいて、帰り際にもじもじしながら「また来てください」でいい。」
「そうなのか…うーん。」

「ヒショウさぁぁん、先輩がぁぁどろ沼の道を歩いていくよぉぉ…」
「止めてくださいー」
「ほっとけ、馬鹿は痛い目見て懲りた方がいい。」
「そんなぁぁぁ」



その後2ヶ月ほど、何故かゲフェンでは路頭に迷う中年の男が増え、離婚問題も多発したというが
それは関係のない話だろう…。
「と、思いたいよな…」
「「うん……」」

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