―――きっと独りのメリークリスマス―――
飛成 「〜♪」
鼻歌なんぞを歌いながらあからさまに陽気な黒髪美女―飛成 ―を見ながら、何かと目を合わせた男女、( 羅希 &私、( 瑠美那 (
羅希 「ずいぶん陽気だな…私は朝から具合が悪いのに…」(
瑠美那 「飛成、何があった?」(
飛成 「え〜?何が〜?」(
彼女の笑顔は本当に嬉しそうに笑う。それがとても輝いていた。
それに比べ私はムスッとしているので、それとは正反対。
性格も彼女とは正反対なので、あまり気が合わない。
瑠美那 「お前が浮かれてるのは毎日のことだが、今日は度が過ぎてるな…と…」(
飛成 「あれ?瑠美は何もしないの?」(
と言われても、なんのこっちゃ。
飛成 「今日は“ジェイソン到来の日”でしょー。んなことも忘れてんの?」(
は?……今日は12日の金曜日じゃないけど?
飛成 「12月24日に幸せを振りまく紅い服の人が来てくれるんでしょ?人間界には無いの?」(
瑠美那 「いや、……なんかツッコミどころがありすぎて何処を突っ込めば…?!とりあえずちがうだろ!」(
羅希 「飛成、人間界ではそうじゃないみたいだよ。」(
私の隣で眼鏡(だてメガネ)をかけた金髪の優男―羅希 ―が言った。(
瑠美那 「精霊界はそうなのか!!?」(
ちなみに、私達はみな“幻翼人”という種族で、人間ではない。身なり人間だが精霊なのだ。(私には実感ないし、二人には自覚がないけど)
あと、私は人間とそれのハーフ、私の兄貴―龍黄 ―は幻翼人と魔族のハーフ。彼は現在魔王に就任中。(
飛成 「ふぅん、そうなんだぁ…。でもおめでたい日には変わりないでしょ?」(
ジェイソンがおめでたいというのか!?
羅希 ( 不法侵入されるみたいだけど?」
飛成 「うわ!ダメじゃんジェイソン」(
こいつら…どこか間違ってる。
確かに不法侵入だが堂々玄関から来られるのも、プレゼントをくれるサンタと称した父親が困るし…それにジェイソンじゃなくてサンタだろうが…。
瑠美那 「向こうでどうかはしらんがジェイソンじゃなくてサンタクロース。それに、大人にとっちゃおめでたくもなんともねぇだろうが。」(
羅希 「そうなんだ。向こうではその日は一つの家庭に一人だけ人間を食べ…」(
瑠美那 「うあああ!!!ごめんなさいもう何も言わないからそれ以上言うな!!!」(
……情報によると。幻翼人は「人間を食べる」らしい。
私はずっと自分を人間と思って暮らしてきていたので、人間なんか美味しそうに見えない。
……羅希たちはキッチリ“幻翼人”として暮らしてきたので、食べたのか…美味しそうに見えるのか…その辺は怖いので突っ込んだことはない。
飛成 「そんなことないよう!こっちでもおめでたいんだよ。アッスーが祝日だから時間空けてくれるって。」(
“アッスー”とはアステリアのあだ名。飛成の彼氏(というか、もうダンナと言って良い勢い)で、無口っぽいが超カッコイイ。
瑠美那 「クリスマスだから…な。」(
???「それにクリスマスは恋人達の聖夜なのだよ!!!」
どこかからか響いた、羅希が恐れる謎の声。
そしてソイツは羅希の背後に突然発生し、羅希に飛びつこう…
ベーガンツ「グベッ!」
としたところで、彼の裏拳が顔面にめり込んだ。
コイツが羅希の側に突然発生することは良くあることなので、羅希も慣れてきているし、段々容赦なく殴るようになってきた。
羅希 「……」(
拳に血を付けたまま読書に戻った。
私達も、その様子に動じない。なぜなら
ベーガンツ「フッ……相変わらずハニィの拳は効くね!!」
すぐに復活してくるのも日常茶飯事だから。
ちなみに、この男はアステリアの似ても似つかない弟。
彼が羅希を「ハニィ」とか「マイラヴァー」とか呼ぶのは、彼に一目惚れしたから。
羅希が男であるという事実は、何を言っても認めず、未だに羅希を女だと思っている。
確かに性格はおとなしいし、慎ましいのだが、一体どこを見れば女に見えるのだろう……。
ベーガンツ「クリスマスは恋人達の聖夜…つまり僕らの愛を育む日なのだよおっと、無視をしている振りをしても嬉しさと興奮のあまり鳥肌が立っているよ。」
羅希 「……嫌悪感から来る鳥肌ですけどね…(怒」(
ベーガンツ「それはそれは。(無視 )それで、これは僕から君へ、ささやかなクリスマスプレゼントさっ!」
と、彼はおもむろに懐から、小さな小瓶を取り出した。その中にピンク色のなまなましいゼリー状の液体が入っている。
こうゆう定番は…「惚れ薬」だよな。それが実在するのかが謎だけど。
羅希 「……これは?」(
ベーガンツ「君の美しさを永遠に!」
え偶然子猫が通りかかったので(ぇ)、瓶から薬をちょっとすくって子猫に差し出した。
ベーガンツ「美容と健康に良い秘薬さ。」
なんだよ
ベーガンツ「コレを飲めばお肌スベスベ美白の髪はサラサラツヤツヤ唇の荒れもスッキリ潤いたっぷり胸も…」
羅希 「いらないです。」(
ベーガンツ「おや、何故?ご婦人方なら喉から手がでるほど欲しがる一品だよ?それとも貧乳のままが良かったとか?」
羅希 「…………………」(
羅希はその薬をしばらく見つめていたが、目の前を
…ベーガンツが羅希に渡すんだから、毒って事はないだろうけど……。
私と飛成は何か言いかけたが、やめておいた。
猫はそれをぺろぺろ舐めたあとに、何事もなかったようにどこかへ走り去った。
羅希「………何もない…か。」
ベーガンツ「だから言っただろう?全く疑り深いなぁ、ハニィは…」
――にゃぎゃあああああ!!!?
………猫の悲鳴である。
ベーガンツ「………」
羅希「………」
飛成「………」
瑠美那「………」
無言のまま、猫が行った方向…廊下へ歩き出す。飛成「……これは、何処が間違ってるのかな?それとも間違ってないの…?」
羅希「………どうだろうね。」
廊下で私達が見たものは……何の変哲もないただの子猫が…ほっそりとした高級のシャム猫の如く上品になって毛繕いをしていた。
瑠美那「…美容とか、そうゆうのがどうのって言うよりも、種族が変わってるよな…。」
ベーガンツ「やばいな……」
ベーガンツのポツリと漏らした独り言を、羅希は聞き逃さなかった。
羅希「何がやばいんですか」
ベーガンツ「………………………………………………………………………この子猫に可哀想なことをしたってことさ!!」
羅希「なんですかその長い沈黙は!」
踵を返して歩き去ろうとするベーガンツを、ガシッと捕まえる。
羅希「なんか言いにくいことがあるみたいですね。言え。」
なにか思い当たる節があるのか、超命令口調でそう言ってベーガンツの首を軽く絞める。
ベーガンツ「なんでもないさ。ただ朝にこの薬を使ってしまっただけさ。」
羅希「誰に」
ベーガンツ「君に決まっているだろう」
ベーガンツの秘め事はあっさり出てきた。
羅希「朝からやたら体が重いと思ったらやっぱりか貴様―――!!!!!!」
重かったのか。
ベーガンツ「本当はこんな“種族まで変わる薬”だとは思わなかったんだ。実は兄貴に貰った薬で兄貴が‘これを使えばハニィは女性らしくなる’と。別にハニィが女性らしくないと言っているのではなくてだね、おしとやか慎ましやか可憐であってとても良いのだけれど、自分を男だと主張するのが…」
羅希「だから男だって言ってるだろうがああ―――!!!」
ベーガンツ「ほら、それだよ。だから僕が君を最高のレディに…」
羅希「せんでいい!!!(怒」
飛成「でもさ、別に、体が重いだけでしょう?たいした効果はなかったんじゃない?」
羅希「…そうだけど…でも全身が少しムズムズする。」
瑠美那「うーん、この薬、本当に『お肌スベスベ美白の髪はサラサラツヤツヤ唇の荒れもスッキリ潤いたっぷり胸もビッグに』だったら良かったけどな。」
羅希「瑠美、使いたかっ…」
瑠美那「ご婦人方に高額で売りつけられると思っただけだ。」
私がそんなんになってたまるか。
ベーガンツ「おや、それは本当のことだよ。兄貴が『とくに胸には効果あるだろう』と言っていたさ。」
飛成「てかアッスーもなに変な薬持たせてるかなぁ…」
羅希「まったく……自分だけよけりゃ後はどうでもいい、って人だしね…」
飛成と羅希のつぶやきをよそに、私はちょっと考え込んでいた。女性らしく?
お肌スベスベ美白の髪はサラサラツヤツヤ唇の荒れもスッキリ潤いたっぷり?
胸も大きく………。
もし、仮にそれが本当で、飲んだ羅希がそうなるのだったら………
…………その羅希は、女だよな。当然。瑠美那「まさかとは思うけどなぁ…。それにちょっとした弟孝行なんてしそうな人じゃないし。」
そう思いつつ、羅希をちょっとまじまじ観察。
羅希「………な、なに?」
少し上ずった声でそう言う。
………ん?上ずった?
瑠美那「……羅希」
羅希「な、なに…」
瑠美那「………お前、まつげ長いな。」
羅希「は?」
瑠美那「てか肌綺麗だし、唇も良い色だし、輪郭とか顔の部品とか整ってるよな。」
羅希「……瑠美、熱でも出た?」
瑠美那「…………ちょっと拝見。」
私はソファに座り込んでいた羅希に馬乗りになって、彼のローブを剥いでシャツのボタンを外す。
彼は、それに真っ赤になって抵抗する。
羅希「わっ、な、なに?!ちょっと瑠美ー!?」
飛成「何やってんの瑠美ー!!そうゆうのはちゃんと人のいないところで…」
羅希「そうゆう問題じゃないだろうが!!」
ベーガンツ「そこを退きたまえ!!君は女だろうが何を血迷っている!!!これは僕の役目だ!!!」
羅希「微妙に最後ちっが――――う!!!!」
彼の抵抗のせいでボタンがうまく外せないから、なんとか外せた所から服の中に手を突っ込んだ。
羅希「るーみーーー!!!ちょっとーーーーー!!!?」
ベーガンツ「抜け駆けは許さないよ!!ハニィのなんの変哲もないフレンドさん!!!」
瑠美那「あーもーごちゃごちゃうるせーなー!男なんだから上脱ぐくらい何ともないだろ。………いや、今は女か。」
羅希「ちょっとそれってどうゆう……………え?」
飛成「…………え」
私のさりげない最後の一言に、羅希と飛成が止まった。ベーガンツは聞き逃したのか、気付いていないのか。
瑠美那「ホレ」
私は服の中で、羅希の胸を叩いた。
………いつもの固い胸板ではない。
羅希「………」
羅希は呆然としながら、服の中を自分で見てみる。
さっき騒いでいたせいで赤かった顔が、綺麗に真っ青になった。
羅希「…………………」
瑠美那「てかお前朝から気付いてなかったのって、すっげぇ鈍ちんな。」
羅希「………」
彼は少し涙目になって震えている。
飛成は………ちょっと微妙な顔をして、どう声をかけようか思案している。
ベーガンツ「なにがあったのかよく分からないが、安心したまえ!君には僕が付いているよマイラヴァー!!」
男らしくキリッとそう言って、サッパリと羅希に殴られたベーガンツであった。執務室にアステリアを訪ねてやってきた。
ちょっと立たせて並んでみれば、羅希の身長は確かに女性のものになっていた。
相変わらず私よりは高いのだが、飛成と比べてみれば一目瞭然。彼女よりちょっと高いだけ。
アステリア「……あの薬か。」
飛成「そうそう、で、渡した本人に相談するのもなんなんだけど、解毒剤みたいのないの?それか男になる薬とかさー」
アステリア「……魔法とかでは解けないのか?」
飛成「無理無理。性別転換なんて理論的に無理だもん。僕のは神様がらみだから特別なだけで。」
アステリア「……ならカルネシアはできないのか。」
飛成「性別転換なんて意味無い術覚えてないって。」
………てかさ…
瑠美那「そうやって他の手を探してるって事は、解毒剤、無いんだな?」
私がアステリアに直球で言ってやった。
隣で羅希の頭上に更に影がかかった。
アステリア「いや、ある。」
飛成「あるの!?なら頂戴!もう早く羅戻してあげないと、今に妊娠させられるってー」
隣で羅希が震えた。
アステリア「……付いてこい。」
付いてこい、と言われて来たのは、屋敷裏の倉庫だった。
入った瞬間目に入ってきたのは、天井まで、部屋の奥まで、びっっっっしり置かれた瓶。
羅希「これ、全部“あーゆー系”の薬ですか?」
あーゆー系。=ベーガンツが持ってきた、性別転換の薬。
少し冷静になってから羅希はあの薬にやたら興味を持ちだした。
一般の魔法の世界では考えられない「性別転換」。それを薬なんぞに収めているというのは超すごいことらしい。
羅希は、魔法にも薬学にも手を出しているので、普通に渡されたのならかなり嬉しいプレゼントだっただろう。
アステリア「だろうな。効果は瓶のラベルに書いてある。」
羅希「読めるんですか?」
アステリア「ほとんど剥がれている。」
………じゃあ、ベーガンツに持たせたヤツは、なんとかラベルが残ってたやつなんだな。
彼にも好奇心はあったのか、ちょっと使いたくなったんだろう。
飛成「で、解毒剤は?」
アステリア「これらのどれかだ。」
…あー、そうゆうことか。
これだけたくさんあるんだから、解毒剤の一つや二つあるだろうけど、ラベル剥がれてるからどれか分からない…と。
それで他の方法を勧めようとしてたんだな。アステリア。
それに気が付いた羅希が、しゃがみ込んでまた暗闇の中へと引きこもっていく。
飛成「手当たり次第に使ってみる?」
瑠美那「誰に」
飛成「……なんか動物とかに。」
口は“羅希”と言おうとしたぞ。
瑠美那「でも、さっきの子猫みたいによく効果がわかんないんじゃないか?」
飛成「うーん………じゃあ、せめてラベルの残ってるやつ探さない?」と、いうことで、全員で散策開始。
だが私は…………
瑠美那「…………」
ラベルがどうの、解毒剤がどうのという前に……
瑠美那「……使ってみてぇ」
という好奇心にさいなまれていて、それはストップがかかることなく解放。
私の腕は手近な瓶を2つ掴んで、懐に引き入れた。2時間近く探し回った後、ラベルの付いていた薬はわずかに3つ。(ちなみに、私がパクったのは両方ラベル無し)
『角が生える』何の角だ。
『肌を緑にする(光合成の効果有り)』キモイだけだっつの
『口を蚊の口にする』……血が吸えそう?
いずれも羅希を男に戻す代物ではないし、存在に意味があるのかもわからぬ品々だった。瑠美那「さぁて、どうしようかな〜これ」
テーブルの上に倉庫から盗んできた薬を並べた。
両方ピンク色のジェル状の液体。
片方紫で片方緑だ。
瑠美那「羅希はもう飲んでるし、飛成に飲ましたらアステリアが黙ってないし、カルネシアは何かと無理だな。あと残るは…………………サンセだな」
サンセとは、この領主であるアステリアの側近で、優秀な執事である。
あまりに仕事がハードで、いつも疲労で死にかけている。
瑠美那「じゃあ、サンセ決定。もう一つは……………」
無謀かも知れないが
瑠美那「ベーガンツだよなぁ………」
でも、あの男は猛毒にも屈しないやつだから、効果があるのかどうか………。
瑠美那「……まー、サンセで済ませておいて、そのうちカルビーにするか、他人にするか。」
呟く私には、罪悪感の欠片もない。
―――ぬうあ゛ーーーー!!!!!!!!
屋敷内に響いた悲鳴に、飛成が飲みかけていたジュースにむせた。
羅希「今の……サンセ?」
一番に動き出したのはよく眠れなかったらしく、目の下にクマをつけて、少々寝ぼけ気味の羅希。
私はちょっぴり心躍らせながらその後に続いた。行き着いた場所はアステリアの執務室だった。
………なるほど、あれは『子供になる薬』だったか。
もちろん、その薬を飲んだサンセ君はちっちゃなお子様。
四歳くらいだろうか。元が凛々しいだけあって、けっこう可愛い男の子だ。
サンセ「アステリア様〜〜〜!!僕に何したんですかああああ!!!」
しゃがみ込んで同じ目線にいるアステリアに掴みかかっていた。
飛成「なに、またやったの?アッスー」
アステリア「…いや、何も。」
サンセ「嘘ダーーー!僕がこんなんなったときに側にいたの領主様だけじゃないですか!!
それにこんな嫌がらせするのは貴方の他にいるわけないです――!!」
それがいるんだな。ここにv
アステリア「今回は何もしていない、本当だ。」
サンセはしばらく考え込んでいた。
飛成「サンセ、多分アッスー嘘付いてないよ。この人嘘付くと体温下がるクセがあるから。」
なんじゃそりゃ。てか何故分かる?
サンセ「……信じます、から戻してくださいよ――!」
アステリア「それが出来れば希麟 も女官用ローブなんぞ着ていないぞ。」(
ちなみに『希麟』は羅希の事だ。
そう言われた羅希はちょっと頬を膨らませた。
サンセ「ウワ―――ン!!僕やっと彼女出来たんですよ―――!!それなのにぃ〜〜〜!!!!」
サンセ、マジ泣き。
うーん、ちょっと可哀想なことしたな。面白いけど。
飛成「もぉ〜アッスーもちょっと優しく言ってやれないの〜?」
と言いながら彼をあやしてやる飛成。完璧に子供だ。
飛成「それにしても、誰がサンセにこんなことしたのかな。」
はーい、私でーす。
アステリア「あの倉庫はいつもロックしてある。時期的にも、薬を盗れたのは昨日あそこへ入った私達4人だろう。」
………………げ。
なんでいつもボーっとしているクセに、こんな時にそうゆう冴えた事を言うかな、アステリア……。
羅希「私達4人………」
……………もちろん、みんなの視線は私に集まった。
まーバレるよなぁ〜(笑
隠すのも面倒になってきたし、言い訳は嫌いだ。
瑠美那「スマン!!出来心で!!」
その後、サンセに斬られたのは言うまでもない。
瑠美那「残ってる薬はこれ1つです。」
私はその、「ベーガンツに飲ませようか思案していた薬」を、みんなの前に出した。
飛成「この薬は誰に飲ませようと思ったの?」
瑠美那「できたらベーガンツ」
と言った瞬間、羅希がちょっと反応した。
多分彼は「ベーガンツに飲ませるのは大賛成」と思ったんだろう。
サンセ「じゃあ何で一個目は僕に飲ませたんですか」
瑠美那「うーん…………人選の結果、最適と思ったから。」
けろりと言った私に、サンセは壮絶な殺気を放射させていた。
サンセ「………ちょっと、領主様………」
アステリア「お前の考えは分かってるぞ。」
と返して、アステリアからサンセにマシンガンが手渡された。
うっ、ヤバ!
羅希ちょっとごめんねっ!!
羅希「え、ちょ、る、瑠美っ!?」
私はすかさず羅希の後ろに隠れた。
羅希が盾になっていたら、マシンガンぶっ放したりは―――ズガガガガガガガガガガガガガガ!!!!!!
うわ、撃ってるし。
銃弾を浴びた彼は血だらけになって倒れた。
瑠美那「……フッ、やるなサンセ…。その冷酷っぷり、気に入ってるぜ。」
サンセ「フッフッフ、どうも。それでは領主様、次はレーザー砲を…」
瑠美那「うっ……やめろ!たのむから!もう絶対しないっ!!」
レーザー砲なんか撃たれたら羅希盾にしてもすり抜けるじゃん!!(そうゆう問題じゃない)
サンセ「………じゃあ…それ飲んでください。」
サンセが銃を下げて「ベーガンツに飲ませる予定だった薬」を指さした。サンセ「フッ……いい気味です。」
くそ〜こんな事になるなんて………
別にさあ、子供になるとか、男になるとか、そうゆうのなら良かったんだけどさ〜。年取るの勘弁だけど。
角はえるのも肌緑になるのも口が蚊の口になるのも………嫌だけど、現に羽はえてる人いるから、もういいかな〜とも思ったんだけど…。
飛成「瑠美〜可愛い〜」
え、可愛いのか………?でも嬉しくない………
羅希「瑠美……なんとか僕が解毒剤作るから、待っててね。」
うう…マシンガンの盾にしたってのになんて優しいんだ羅希〜。
ちょー感動、惚れちゃわないけど惚れちゃうゼ!
アステリア「にしても…“アニマル系”があったとはな。」そーなんだよーーー!!!私だけ!ひどい!!
あ、ちなみに、私はどんな変形をしたかというと………なんと、『かめ』である。
しかも亀のクセに金髪はえてるのが悲しい……。
サンセ「でも、これで悪さできませんね。」
うるせーなーちくしょ―――!!元に戻ったらおぼえてろ!!――――次の日―――
カルネシア「ほぉ、また面白いものになったものだ。」
私をしげしげと眺めていたカルネシアが、いきなり私を持ち上げた。
この小さい体だと、この何気ない行動はジェットコースターに乗っているようで超怖かった。
………もう小動物を高く持ち上げるのはやめよう。
私はノロい動きながらも抵抗して、手足をばたつかせた。
飛成「きゃー瑠美可愛い〜〜〜」
可愛いじゃなくて助けろよ!!
コイツ結構持つ力が強くて痛い!!
カルネシア「………甲羅に引っ込んだりするのか?」
………あ、そういや、出来るのかな。
試しに引っ込んでみた。
カルネシア「………」
飛成「………」
サンセ「………」
プハッ!なにこれ気持ち悪!!
首とかぶよぶよしてなんかヤダー
飛成「…………っ可愛い―――!!!!」
飛成とサンセの笑い声がする。
カルネシアも片手で顔を押さえている。笑ってんのか?
やっとテーブルの上に降ろしてもらえる………と思ったら、逆さまに置かれた。………!!
今気付いたけど亀って逆さまになると立てないじゃん!!!
私は更に激しく足をばたつかせた。
一向に起きあがれない。甲羅の丸味でグラグラ揺れるだけだった。
その様子に一同の笑い声。
けっこー苦しい………助けて………羅希「結構重大なことが分かりました!!」
いつもより厚着をした羅希が、世間話をしていた私達につっこんできた。
………っつっても亀はしゃべれないから、遊ばれてただけだけど。
羅希「なんか今日……うわ!ちょっと!!」
私がテーブル上でグラグラしてるのを見て、羅希が慌ててひっくり返してくれた。
ああ、羅希…本当にありがとう……。
サンセ「何ですか!?元に戻れます!?」
私以上に早く戻りたがっていたサンセが、羅希に抱きついた。
羅希「ええ!戻れそうです!」
何!戻れるだと!?
羅希に駆け寄ろうとしたが(なにしろ亀は動きが遅いので)右前足一歩出してやめた。
羅希「………なんか、言いにくいんですが………」
サンセ「な、なんですか!?」
羅希「……薬調べても何も分からなかったんですけど、でも……あれって日にちおけば効果が薄れていくみたいなんです。」
サンセ「え!本当ですか?!」
飛成「なんで分かったの?それにどれくらいかかる?」
羅希「そんなに長くないと思う。………現に私が戻ってきたから。」
え!?もどってるの!?
………顔の作りは…あ、微妙。でもまだ女のような……気もする。
………じゃあひょっとして……
カルネシア「と、ゆうことは、今のお前は“あるモノ”と“ないモノ”が“両方ある”のか」
ぶぐぅぅぅ―――(吹き出し音)
一同が吹き出した。
それで、今日はやけに厚着してたのか、羅希………。
羅希「………“両方ない”方です。」
………前者よりもましと言えばましだが、それでも羅希はちょっと涙目だ。
カルネシア「………まあ、あまり言っても意味のないことなんだが」
カルネシアの言葉に、みんなの注目が集まる。
私も彼を見たら、彼は私の方を見ていた。
カルネシア「羅希が、女→中途半端→男、という過程で元に戻っているのなら、
サンセは、子供→青年→大人、だと思うのだが………」
………あ。
みんなも、カルネシアの言おうとしていること、そして何故彼が私のことを見ていたのか………悟った。なら私は
『亀→?→人間』………血の気が……
私はその夜、書き置きを残して三日間姿を消した。
気が付けばクリスマスなんぞ通り過ぎ、それらの夜を、私は妙な姿で一人で過ごしていた。
〜†〜羅那の後書き〜†〜 メリークリスマスッ!! みなさん、今年のクリスマスをいかがお過ごしでしょうか。 私は寿司食ってシャンパン飲んで風呂の中でのぼせてました!!(爆) このお話は、HP開く前に、友達とノートでやりとりしていたときに書いたネタです。 勉強休憩でもらった一日で書きあげましたw なぁにしてんだかなぁ〜私〜 ちなみに、今回龍黄出てないッスね。うーん、どんどん出番がなくなっていくな…龍黄。 あー、もう疲れた!しかも後半はその疲れで、名前の上に読み仮名を付けるのを忘れた(笑) これならFF書いた方が喜ばれたかしら?そういやしばらく書いてないし……(爆) 〜りら様へ〜 なんとなく『小説募集』の字を見て書きたくなりました。(爆) 駄作ですがメリークリスマス&NEWホムペおめでとう、の意で受け取ってください(^^) それでは、ホムペ制作お互いがんばっていきましょうw |
広告 | [PR] 花 冷え対策 キャッシング わけあり商品 | 無料レンタルサーバー | |