・コーヒーのぐるぐる
くるくるくる
くるくる
「…リク、何やってんだ」
カップに入ったコーヒーにサイの顔が浮かぶ。
今日も不機嫌みたいに目が座ってる。
「コーヒーの、ミルクがぐるぐるにならないかな、って」
「はぁ?」
「コーヒーとかクリープのパッケージにあるコーヒーって、ミルクがナルトみたいに渦がぐるぐる」
「それで何杯コーヒー作ってんだお前は。」
「あてっ」
ツムジを親指で突かれた。
「下痢になるー…」
「このミルクたっぷりのコーヒーどもをどーするんだ」
「全部飲むよ?」
「……それ、マジ腹下しても俺のせいにすんなよ。」
サイはその辺のコーヒーを一杯手にして口をつけた。
「苦えっ!」
やっぱり。コーヒー飲めないもんね。
ナリと言葉遣いとかはパンクなにーちゃんみたいだけど中身は案外女の子らしくて可愛いとこあるんだよね。
いつかちゃんと可愛い格好させたいなー。
「何にやけてんだ」
「あでっ、叩かないでよー」
痛い、結構痛い。
しかもなんで頭頂部ばっか狙ってくんの。
サイが構ってくれるだけで嬉しいんだけどね。
「あ、G、こっちこい」
げ。
「…何やってるんだ…」
Gが爽やかに笑ってる…
会計係には見せたくなかったな。
「ちゃんと全部飲むよ、あと一ヶ月僕はコーヒー要らないよ。」
「ならいい。」
いいんだ…
よかった。
Gはいつもの気の抜けたような穏やかな無表情になった。
「なんかリクがコーヒーにミルクがとぐろ巻いたみたいなやつやりてーらしーんだが」
とぐろって言うのかなあれは。
「…………。」
ほら、G困ってるよ。
日本語間違ってたんだよサイ。
と、思ってたら
「?」
Gは台所にひっこんだ。
で、何を思ったか、ボトルの醤油を持ってきた。
「え、何やってんの。」
僕とサイの声が被った。
Gはコーヒーの入ってたカップを手にして、中身を飲み干した。
ていうかそれ、さっきサイが飲んだやつ………
さりげなくサイと間接キス?殺していいかな??
で、飲み干したカップに醤油をだばだば注ぎだした。
「……?…………おおっ!!!!」
「おー、スゲーな。」
醤油って、黒いからカップ注ぐとブラックのコーヒーみたい。
掻き回してそこにミルクを入れたら、ぐるぐるの渦を巻いてる。
「本当のコーヒーだとミルクのほうが重いから沈んで、尚且つすぐに溶けるからできないらしい。」
「へー」
美味しそー
「ぶはっ!!!!」
「うわっ、何してんだお前!!!!」
「ま、まずっ、口が…っ」
「モロ醤油だぞ、飲めるわけねーだろーが阿呆か」
「…うー…」
まずさに気付く前に結構がぶがぶ飲んだらお腹痛くなった。
反省。
後日、僕が残したコーヒーは保存できるようにGがコーヒーゼリーにしてくれてた。
また反省。
|