優しい君の心を守りたい。
君のせいで誰かが傷つくと
それ以上に君の心が傷つくから
僕は全ての傷を、君の目から隠して
「…重ね重ね、ご迷惑を…」
「いやいや、可愛い女の子に抱きつかれるのは悪い気しないから。」
また、目を真っ赤に腫らしたユリカが、ヒショウに頭を下げる。
あの後、今度は彼女は遠慮なくヒショウに抱きついてなきじゃくっていたのだった。
「…ヒショウ君!!」
突然、デュアがヒショウに詰め寄って、彼の手をとった。
一同がぎょっとする中、ヒショウはのんきにデュアのルックスを観察したりしていた。
そしてちょっと好み?とか思ってみたり。
「元はと言えば俺が君の男っぷりをみてやろうという言いだしっぺなんだが
けれど君を試そうとしていた自分を今ものすごく恥ずかしく思う!!」
「…は、はぁ」「ユリカを幸せにしてやってくれ!!!」
「…はい?」
デュアの言葉に、思わず聞き返してしまった。
まるで父親が娘の婿に言うようなセリフだった気がするのは気のせいか。
ヒショウは手を強く握ってくるデュアを、丸い目をして見ていた。「だからまた暴走すんな阿呆ハンターがああっ!!!!」
マナがその後ろからハンマーフォールをぶちかます。
「ぬぅおっ!!!」
「おわっ!?」
デュアがベチャッと潰れ、ヒショウは危うく巻き込まれそうになるのをバックステップでかわした。
「ぶ、ブラスミさん…今、この人ベチャッて…」
「安心しろ。コイツの正体は液体だ。」
よく分からないマナの回答に、ヒショウがうつむき、肩を揺らして笑う。
本当は大声をあげて笑いたいところなのだが、本当のヒショウの方を考えると、なるべく明るく振舞わないほうがいい。「でも、デュアさん。俺はユリカさんに相応しくないし、本人の気持ちが大事ですから。」
「何を言う!もう何ヶ月も君を思って胸を締め付けていたユリカの思いを無駄にするのぐがぁあ!!?」
「!!?」
ずいずい迫ってくるデュアが、マナとイレクシスに激しく打撃を受けて倒れた。
「ユリカ。マスター殺していい?」
「なっ!?ダメですダメです!!!!」
「遠慮することはないんだ、ユリカ。俺たちに任せろ。」
「遠慮してません〜!!!」
ユリカがデュアを、迫り来るブラックスミスとウィザードから庇う。「あ、あの…」
ヒショウがちょっと突っ込んではいけないような気がしながらも、彼らの話に割り込んだ。
「…デュアさんの言ってること…は、その…」
本当なのか。
本当なら、ユリカがヒショウに気があるということ。
マナとイレクシスが、少し困ったような顔をしてユリカを見ていた。
…デュアの表情は何故か一人だけ期待に輝いているが…。「…ご、めんなさい…迷惑だとは、分かっていたんですが…。」
目の前のプリーストの少女は否定しない。……マジカヨ。
「迷惑なんかじゃないよ。気持ちは嬉しいから。」
また目に涙を浮かべてきていたユリカにぎょっとして、ヒショウがちょっと慌ててそう言う。
泣かせたくなくて、不安にさせたくなくて、ヒショウは宥めながらにっこりと笑う。
けれど、そんな思いも虚しく、彼女はその顔を見るたびに涙を膨らませていく。あぁ〜!どうしろっちゅーねん!!
ヒショウが笑顔の下でもどかしく葛藤していた。
「…ずっと、好きでした。」
震える声で、ユリカがポツリとそう漏らした。
(゜◇゜*)ま、マジ告白きちゃったあああああああああ!!!!!!!!
ヒショウは心の中で叫んだ。
まだ、彼女がもごもごして、告白できずにいてくれれば良かった。
こちらも返事をせずに済むから。
けれど、彼女はいきなり返事を求めてきてしまった。
ヒショウはちょっと絶望的な思いを抱え、心の中で叫んだのだった。「ずっと、貴方の笑顔に支えられてきました。感謝しています。」
…不安にさせまいと、やたらにっこりしてたのが仇になったか…。
「あの、いきなり付き合ってくれとか、そんなこと言うつもりは無いんです!!
ただ、貴方の笑顔を、また…見ていたかったから…。」「……。」
正直、泣きたくなるくらい嬉しかった。
ルナティス以外の人に、真正面から向き合われて、求められていることが。
応えることは出来ないけれど…許されないけれど…。
応えたかった。
可愛らしいプリーストの少女に、伴侶などという大それたものでなくても、寄り添っていってあげたいと思ってしまう。「ヒショウ君、君はどうなんだ。」
「え…」
横から、デュアが真剣な面持ちで問うてくる。
「ユリカに応える気持ちがあるのか。」
ユリカを恋人になりえる女性として見ていけるのか、と。
一同の視線が集まるのが、ツライ。
「…っ、は…」
「「「「「……!?」」」」」
「はぃ…ハイディング!!!!!」
「「「「「(゜Д゜#)紛らわしいことすんなぁ!!!!」」」」」
ボボン!!!
「わぁーわぁー!!!だってーーーー!!!!って何イレクシスはともかく、なんでルナまでルアフやってるんだぁああ!!!!」
「あ、いや、つい。覚えたてだったからw」
ハイディングで姿をくらましたヒショウを、イレクシスのサイトと、ルナティスのルアフが暴き出した。
2人の周りには、赤い光と青い光が未だにぐるぐる回っている。「逃げるなんて卑怯だぞヒショウ君!!」
「そうだそうだ!ユリカの気持ちにちゃんと応えろ!!」
「ま、マスター、マナ!そんなムリに…」
デュアとマナが迫ってくるのをユリカが必死に押し留めている。「気持ちは嬉しいけど・・・!!」
ヒショウが声を張り上げた。
「応えられない・・・」
応えてはいけないから。
私は誰も好きになっちゃいけない。
愛されても、いけないはずだったのに。「嬉しい・・・けど、ごめんね・・・」
ユリカが微笑みながら首を横に振った。
けれど、その瞳はまた濡れている。
「いいんです。・・・ごめんなさい、変なこと、言って・・・」泣かないで。
全部私が悪いの。
私が、ヒショウじゃないから。本物じゃないから。
昔、貴女のように傍にいて欲しいと言ってくれる人をずっと探してた気がする。
だから今、貴女に応えたい。傍にいて、と言いたい。
ずっと、傍にいてくれる人を
探していたのに…「ヒショウ…?」
体に力が入らない。
彼は項垂れて、涙腺の力を抜いたように
ただの水のように涙を流していた。
みんなが少しうろたえる中、ルナティスが一人、無表情で彼の隣に立っていた。