「ヒショウ、待てって…グローリィにお礼とか」
「もう言った。」
「てかなんでそんなに不機嫌なんだよ、ヒショウー…」
グローリィの家の一室でしばらく2人で休み、いろいろ話して落ち着いたとき、突然ヒショウが動けるかと聞いてきて、どこも怪我はしていないと答えたら突然、彼はルナティスの腕を引いてグローリィの家を逃げるように出てきてしまった。

出てくる間際に、ヒショウらしくなくグローリィを睨みつけていたのは見間違いではないだろう。
まさか彼がヒショウにまで何かしたのかと不安になるルナティスだ。

「と、とりあえず…みんなのところに戻ろうか…心配してるだろうし…」
なんだかヒショウが不機嫌な様子でいるのが落ち着かず話を変えようとして、グローリィの家には戻れそうもないしプロンテラの宿はもう閉まっているだろうと思い、ならギルドで借りているだろう宿屋へいき、皆と合流しようと思い立った。
けれど、ヒショウは答えずに、突然立ち止まり考え込んでいる様子。

「…まだ、もう少し二人だけでいたい。」
しばらくして、ヒショウがぼそりと呟いた。
滅多に聞けないヒショウのそんな言葉に、ルナティスはなんだか顔を赤くしてしまった。
ずっとこちらからアプローチしていたものの、何かとかわされていたので、いざ応えられるとなにやら動転してしまう。
とりあえず落ち着こうとすぐに思考を切り替えて、野宿、一晩ダンジョン、コモドに行って泊まるなどまたいろんな思案を始めた。

けれど、すぐにそれをかき消すように、ヒショウがルナティスの腕を引いてどこかへ歩き始めた。



着いた先で、一瞬隣にいる人物が本当にヒショウかと疑った。
まだ夢なのでは無いかと、自分の頬をつねってみたほどだ。

着いた先は、民家や店の通りなどから離れた、ただ静かで声を外に聞かせないで済む狭い部屋と、ダブルベッドだけを置く、いわゆる…あれをする為の宿だったわけで。
「…え、え、え、え、え」
ルナティスが現状を理解できないでいるうちに、ヒショウはさっさとその宿へ入っていった。
流石にそれ系の宿なので、この時間にもばっちり受付をしていた。

―――…だよね、こうゆうとこならちょっと恥ずかしいけどこの時間でも泊まれるしねー…
とか思いながら、実は大分いかがわしい妄想をしつつ、そんな展開を期待しているルナティスだ。
昨晩散々グローリィに性欲発散というよりは絞り取られたのだが、相手がヒショウとなれば話は別だ。
だがヒショウがまさかそんなことを進んでする筈も無く、しかもこうゆう為の場所でなら尚更ありえない。

普通の宿より少し高めではあったがそんなに苦でもない金額を払い、部屋に向かう途中に他の部屋から、当然最中の声が小さく聞こえてきた。
その部屋の扉殆どに目の高さくらいに小さい窓のようなものが開いていて、それが内側だけでなく外側からも開けられるようになっている。
時々それが開けてあって、声が聞こえてくるわ、前を通るとちょっと見えてしまったりするわで、2人とも顔が真っ赤になっていた。

「…うっわ初めて入ったけどなんかいやらしーよーな…って、これ見ようと思えば外から見えるんじゃん…?」
「………。」
ルナティスはもう照れ隠しに喋っているが、ヒショウはそんな気もないのか黙り込んでいる。
それはそうだろう。
ヒショウはこうゆうものは全く好かないはずだ。

一番奥のほうにあった部屋に案内されて、可愛いアコライトの女性に「ごゆっくりお楽しみ下さい」なんて語尾にハートがつきそうな感じに言われると、大の大人の男2人流石に縮こまってしまう。
「というかなんであんな清純そうなアコさんがこんな宿で働いてるかな…」

とりあえず部屋に着いた、という安堵を感じ、どっと疲れも感じた。
寝ようと装備を外してベッドの脇に置いているヒショウを見て、自分もとりあえず寝ようと荷物を降ろしてベッドに座り、息をついた。
不意に水の入ったポットとコップがあったので水を入れて飲んだ。

「失礼、まだ始めてませんよね。最近いろんな服の貸し出しをカウンターの方でしてるのでご利用くださいねーって、お客さんコスプレ一番人気のプリさんだから問題ないかしら、フフフ。ではー」
嫌がらせのごとく部屋の扉をいきなり開けて、一気に言い放ったさっきのアコさんの言葉に飲んでいた水を噴水のごとく噴出したルナティスだ。
そのあとも、顔の穴という穴から水を流しそうにごほごほと噎せている。

「…は、始めるって…」
ルナティスはその辺にあったティッシュで口元や顔を拭いた。
「…あ、ヒショウ、寝る前にシャワー浴びれば?なんか全面ガラス ダ ケ ド」
四方どこを見渡してもいかがわしさを感じさせるものがあり、ルナティスは早く眠ってしまいたいと思った。

流石にこうゆうところに来ると気が滅入ってしまいそうになった。
やっと彼に応えてもらえたのに、如何わしいことをして早々に幻滅されたくない。

「…後ででいいだろ。」
アサシンスタイルの少ない甲冑を床にかまわずポンポンと投げ捨てながら小さな返事。
彼の返事の意味を理解せず、ルナティスは相変わらず妄想を振り払うのに力を費やしていた。
「そっか、後ででいっか。…て、後でって…?」
横に座っていたヒショウがベッドに膝をついて、ルナティスをベッドの上に押し上げて、その上にまたがった。

「え、ちょっとヒショウ待て待て!」
「…嫌なのか?」
「嫌って言うかそりゃもうめっちゃ大歓迎ですけどね!貴方に一体何があってこう…ねぇ!?別にお金払ったからってヤらなきゃいけないって訳じゃないし」
ヒショウは止める気は全く無い。

「…グローリィにやられた疲れが残ってるのか?」
眉をしかめて言ったヒショウの言葉に、ルナティスは気が遠くなりかけた。
別に後ろめたいからヒショウに隠したいとは思わなかったが、そこまで物好きなのかとあの楽しそうに笑う人の姿を思い出した。
「…………何、あの人まさかそれ言いふらしたの…?」
ルナティスがグローリィにどう仕返ししてやろうか、などと考えていたら、ヒショウが目の前で顔に怒りを滲ませていた。

「…別に、何も言われてない。」
「え、じゃあ何で」
「アイツがテロの後にお前を連れて行く直前『これは僕のだ』って言って、まさか手を出したんじゃないかと思って言ってみただけだ。」
自分に心変わりなど全く無いのだが、今ヒショウにそれを言ってもまったく説得力が無いことに気付いた。

彼が今日やたら不機嫌だったのは、グローリィがルナティスに手を出していると思っていたからだろう。
確かに手は出したのだが。
「…なんというか、助けてもらったお礼に…って求められて…。全然どっちもこっちも色気ないし、今じゃ話せる友達だと思ってるぐらいだから。」

そうは言っても、ヒショウが安心できるはずは無いだろう。
ルナティスがなんとか弁解できないかと思っていたら、ヒショウが手を止めて戸惑っていることに気付いた。
初めて彼から積極的にしたものの、どうしていいのか分からなくなって困っているのだろう。
「とにかく、僕は絶対にヒショウ以外好きになれないから。」
そうとだけ弁解して、彼を引き寄せて位置を入れ替えた。

まだ何もしていないのに彼に覆いかぶさっているだけで興奮している自分に、やっぱりヒショウに関しては重症だなぁと実感した。



「ありがとうアスカ。…ごめんね。」
見上げてくる彼が少し涙を滲ませて、微笑んだ。
「…馬鹿がっ」
そう呟いてルナティスの頭を引き寄せて、キスをした。

「…守ってくれなくて、いい…お前が傍にいてくれるだけでいいから…」
小さい声だけれど心の奥にまで染み渡るような言葉に、涙が出そうになった。
昔から諦めていたけれど、欲しかった言葉。





遠くに他人の嬌声がしているが、2人ともそんなものは気にならなかった。
彼らに割り当てられた部屋には卑猥な行為の音がしていて、どこぞの女性の甘い声よりもそちらが彼らの聴力野を支配していた。
「…っ、ぁ……ン…」
淡い青のシーツに金の髪を散らして、自らの開いた足の間に在るヒショウの頭を撫でならがルナティスは感じるままに声を漏らしていた。
ヒショウの慣れないけれどどこか必死な愛撫は快楽よりも満足感を与える。
声を抑えようと思えば抑えられるが、一番愛しい人を相手にそれをする気はなかった。

「…気持ち、い…」
そう言いながら強請るようにヒショウの頭を軽く引き寄せた。
それに応えようと愛撫する方もそのやり方を思案するが、あまり経験が無いことと羞恥のために控えめにしかできなかった。
ルナティスの方はそれでよかった。
欲しかったのはグローリィがくれたような甘美な肉体的快楽ではなく、ヒショウのみが与えうるもっと極上のものだ。

しばらく温かい口内に自身を包まれていたルナティスは、不意に起き上がり、ヒショウの肩を押した。
「…顎、疲れただろ?」
「ん…」
彼が口を離し、唾液の白い糸が自分の性器と彼の唇を繋いでいたのが、やけに官能的だった。

「……!」
ヒショウは力よりは速さ重視故に絞ってあるが、ルナティスは速さよりも力を重視し身体を鍛えてある。
簡単にの背と腰を抱き寄せ、自分と位置を入れ替え枕の位置に押し上げた。

「待て、さっき俺が…」
ルナティスが何度も犯され、その身に男の性器を挿れられていた。
だからヒショウもルナティスに挿れる、と先ほど話したばかりだった。
了解したはずのルナティスは、ヒショウの足の間に手を這わせている。
「僕はされるよりするほうが好きだから、ヒショウ見てたら挿れたくなった。」

軽く自分の指を舐めて濡らし、片手で開かせたヒショウの足の間へ、まだ受け入れる準備のならない後孔へ押し込むように差し込んだ。
いつも思っていたが、指を差し込むと性器を差し込む時に覚悟するように眉根を寄せて息を詰まらせるヒショウの表情が好きだった。
絶頂に達してイキかけている時のとろけそうな表情と瞳も好きだけれど、それ以上に好きなのはヒショウが一番怖がりながらも受け入れようと思ってくれているからだろう。
「…元気があったら、あとでね…?」
ルナティスが下になるのは、ということを理解するのにヒショウは大分時間を要した。

身体を寄せて彼の胸の突起を舌で嬲りながら、きつく閉じた入り口を解していく。
初めから緩くとはいかなかったが、既にいくらか経験があるだけあって解れていくのは早めだった。
「ヒショウ、今度自慰するときはこっちでもしてみてね」
「…っ!!!」
彼が顔を真っ赤にしてのを見てルナティスは微笑み、怒りを買う前にツボのような、強い快楽を得る部分を擦り上げた。

「この辺、ね…ここでイクのを覚えれば、一人でももっと気持ち良くなるし。」
「う、ぁあ…っ!嫌…ひっ、…や、やめ…!!」
指を三本に増やして、前立腺を強く刺激しながら三本分よりももっと広げていく。
何も塗っていないが、くちゃくちゃという音がし始めた。

「…やっぱ、ヒショウじゃないと駄目だなぁ…」
「あっ!うあ…っ」
指をまとめて抜かれ、絶頂に行きかけていたところを突き落とされたような空虚な思いをした。
艶っぽい瞳が終わりを惜しんでルナティスを見上げている。
それに見つめられて、ルナティスは密かに息を呑んだ。
当然、ここで止めるつもりなどない。

「ヒショウじゃないと、こんなに興奮できない…」
ルナティスは少し悪戯っぽい笑みを浮かべた。



  
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(゚∀゚)終わらなかった―――!!!!(死)
(´ω`)え、エロなしなら終わってたって? そこを突っ込まないで下さい。
仕様です。私はこうゆう人間なんでs(逝ってよし)