身体を揺すられる度に、彼との結合部から全身へ衝撃が走る。 耳の毒な体液が交わって立っている水音と同じく、効果音のように喉からひっきりなしに声が漏れる。 「…あ、ぁ…っは…ハぁ…」 力なくベッドに横たわって、ヒショウはただの快楽人形のように覆いかぶさるルナティスの欲望を受け止めるばかり。 始めは声を抑えながら、それでもルナティスがしやすいように足を持ち上げたりしていたが、何度目かの交配でそんな気力も体力も失った。 自分が苦しくないように最低限の体勢を保つくらいしかできなくなってしまった。 いや、今ではそれすらもできない。 そんな状態のヒショウを前にしても熱を抑えることができないルナティスだ。 脱力した彼の足を両肩に担ぐようにして、快楽と長時間の荒い行為のせいでの痛みを訴える彼の後孔に性器を刺し込み、蹂躙し続ける。 もう完全に力を失い骨や筋肉が悲鳴を上げているヒショウの身体と今尚強引に繋がり続ける。 それでもヒショウは拒まない。いや、もうその力すら失ったのか。 ルナティスはベッド脇に先ほど出して置いたままにしていた白ポーションを取り、多めに口に含んだ。 そして繋がったまま、彼の片足を肩から落として、もう片足は担いだままヒショウに顔を近づけた。 「…ん、っく…ぁ…」 更に奥へ押し込まれた上少し苦しい体勢になり、ヒショウが小さく唸って眉根を寄せた。 すぐ近くで見て、力なく開いた唇、その奥の赤い舌、艶っぽく濡れた瞳、白い肌に滲む汗、それに張り付く黒ダイヤのような髪、その全てが愛しいと思った。 欲しい、奪いたい、誰のものでもなく、ヒショウ自身のものでもなく、自分だけのものに… そんな醜い感情がわきあがり続ける。 それが彼をこんなに疲労困憊させても尚ルナティスに犯し続けさせる。 またヒショウの体温と粘膜を抉ったままのモノが質量を増したのが互いに感じ取れた。 ルナティスは苦笑いを浮かべ、彼と唇を重ね、その口内へゆっくりと白ポーションを流し込んでやった。 ヒショウもそれを舐めるように少しずつ喉へ通していく。 しばらく部屋にピチャピチャと犬が舐めあうような音が響いていた。 その音も、またルナティスの聴覚から脳髄を侵食して理性を狂わせていく。 だがその理性をなんとか保ち、続いて青ポーションも同じようして彼に飲ませ、2人で一息ををいた。 「…っ…ふ…」 「…次で、なんとか終わらせるから…な…」 「んっ…」 体力回復を図り飲ませた白ポーションと青ポーションが聞いたらしく、ヒショウは頬を撫でられ返事のように返した視線は理性や余力を取り戻していた。 「うあっ!!あ…何…ぃ!あ…」 再度彼の足を、今度はもっと深く担ぎ、ヒショウが苦しい体勢になるのも構わず乗り上げるように覆いかぶさった。 担がれた白い足の膝が、ヒショウ自身の肩に接触するほど持ち上げられ、完全に晒される白濁色の体液に濡れた互いの部分をルナティスが覗き見る。 腰を上から打ち付けるようにして自らのものをまた刺し抜きしはじめると、くちゅくちゅと音をたてて少し泡立つ。 しばらく暴走しまくってしまったが、パッと見どこも出血していないようで安心した。あれで以前ヒショウを酷い目にあわせて13日間まったく口をきいてもらえず目も合わせてもらえなくなったから。 安心したら、また自然と腰を打ち付ける強さが増してしまう。 「あ、あぁ!!…ッはぁ…く、ぁ…あぁ!ふ、深っ…あ…!」 「……ごめ、ん…」 「…あぅ…っく、謝る、な…馬鹿!!」 生理的に流れ出る涙で頬を濡らしながら、ヒショウはポーションで少しだけ取り戻した力でルナティスの膝を押し上げてくる腕に爪を立てた。 どこまでも深く抉ってくる狂気のリズムに合わせて腰や視線の先のつま先が揺れている。 このまま快楽の波に攫われ、存在も消えてしまいそうだ。 「…アアッ!…く、ぁ…熱い…っ!」 熱い粘膜に締め付けられ目の眩むような快楽を感じながら、ルナティスはどこか冷静だった。 ヒショウの身体は膨張しきった性器をそんな苦も無く受け入れている。これだけ繰り返し挿れられれば当然。 それを見てルナティスは良からぬことを思いついてしまった。 突然、室内に響いていたベッドの軋む音と、行為の水音が消えた。 まだ全身の熱は覚めやらぬが、ヒショウはどこかへ放り出されたような気になった。 ルナティスが自らのそれを抜いていた。 「ル…ァ…」 息が上がっていて上手く名前を呼べなかった。 「ちょっと、手伝って…?」 ルナティスがふと微笑んで、肘にしがみついていたヒショウの手を取り、彼の熱に疼いている後孔へ導いた。 言葉の意味が分からず、彼はただルナティスを呆然と見上げていた。 「…ぁ……?」 指を二本、自慰させるかのようにその濡れて緩んだそこへ差し込ませた。 ―――うっわ、マジでエロ…ッ 思わず口に出そうになった言葉を、笑顔を引き締めてこらえた。 多分、ヒショウからすれば変な顔をしているように見えただろう。 「自分でイイところ、分かる?」 「…ぇ…ア!!」 ルナティスも彼の指に添えてそこへ指を刺し込み、記憶を元に前立腺を探らせる。 指が計四本も入ってしまうのが、なんだか異様な光景だった。 「っ、何…!」 「抜かないで。」 やっと現状理解して羞恥に手を引っ込めようとするのを、少し厳しく言い制した。 「自分でも少し擦っていいよ。」 彼が何を言っているのか分からず、ヒショウは心の中にずっと疑問を抱いていた。 だがその疑問も、ルナティスが再度抜いた性器を差し込もうと添えてきて、驚きにかき消されてしまった。 ヒショウが指を入れたままなのに。 「抜かないでね。」 再度言いつけるように繰り返す。 「…やめ…アアっ!や、ぁ…!!な、何を!」 先ほどよりももっとそこを押し広げられ、中の粘膜と入ってくるルナティスの熱を指に直に感じる。 キツさと羞恥で脳内が乱される。 じわりと信じられないほど涙がにじんだ。 構わずルナティスが中で抜き差しを繰り返す。 男性器の構造上、指が相手のカサにぶつかり、まるで出て行くのを阻むようになる。 その上、指自体もその抜き差しに流されて、自身の感じる部分を否応にも押し付け、刺激してしまう。 「ああああ!!!ルナティス…っ!!ルナ、ティスッ!!」 泣き叫ぶように、彼の名前を呼んだ。 快楽以外のものに狂わされそうになる。 自分が本当にただの快楽人形にされるような。 それにルナティスは思わず息を呑んだ。 不安や心配よりも、もっと 煽られるような激情。 ―――…グローリィのSっ気うつったかな… ルナティスは苦笑いをして、ヒショウの指を抜かせた。 「うっ…く…」 唸る彼の汗の滲んだ喉元と唇をそった舐めて「ごめんね」と囁く。 それでもまだ焦燥し、彼の内部を蹂躙し続ける。 目の奥が、頭の裏、顔の表面、喉の奥、繋がっているところ、それら全てから焼けるような熱さが全身へ回っていく。 全身がビクビクと痙攣しだして、絶頂を迎えているのが互いに認識できた。 ―――今度は、一緒にいけそうかな… 「っっ!く、ぅ…!もっ…出る…!」 胸を締め付けるような熱を高ぶらせるような、相手の表情。 「目、閉じて…イッて…っ」 「っア!!」 言い、彼に口付けるようにして奥までなんども突き込んだ。 「…く、ぁあ…!!あ…うっ……」 先にヒショウが達し、その熱がルナティスの手に解放されて彼自身の腹あたりにぶちまけられた。 「…う、んっ……?」 不意に、ルナティスに手で目を塞がれる。 もう射精を終えたと思っていたルナティスが中から出て行って、ヒショウに乗り上げてくる。 頬や口元に温かいものをかけられる。 徐々に顔から布団のほうへと落ちていく液体。 それがルナティスの精液だ理解するには、視界をふさがれ思考を手放した彼には無理な話。 しばらくしてルナティスが手を離して、少し離れてヒショウを眺めていた。 醜態を眺められていることを不快に思ったが、それ以上に脱力感と疲労に囚われ、ヒショウはこのまま眠ってしまいたくてしかたがなかった。 けれど、中に出されたものは掻き出して洗わなければならないことは知っている。 「少し寝ていいよ。処理はやっておいてあげる。」 心を読んだかのようなルナティスの言葉に、ホッと息をついてヒショウはそのまま目を閉じ、まどろむ意識を放棄してしまった。 BACK NEXT |