―――53―――

あまりにLOVEっていたのでボツりたい(ぇ)
でもこうゆう雰囲気はなんとなく好きなので…出してみたり(爆)

 

 

羅希「んっ………」

朝日が少し眩しい。けれど、それを閉める気も起きなくて、顔の上に腕を乗せた。
そうしたら、シャーッとカーテンが閉まる音がした。
腕をどかしてみたら、タオルを持った瑠美那がいた。

 

瑠美那「羅希、ちょっと汗拭くから…」
腕をどかせ、と言う前に、彼が弾かれたように起きあがって、私にしがみついた。
私を抱きしめて放しそうになかったが、彼の容態上、体を起こすのは良くないと思ったので、私はそのまま彼をベッドに押し倒した。
やっぱり放さないので、私もそのまま彼の上に上半身を乗せてじっとしていた。
………この体勢、ちょっと腰に来るな。
しかも本人はそれどころではないようだが、冷や汗寝汗がすごかったので、ちょっと汗くさいぞ。

羅希「……会いたかった」

これを胸キュンというのか
羅希は子供のようにしきりにその言葉をを繰り返す。
なんだか嬉しいような…可笑しいような気がしてきて、とりあえず彼の肩を叩く。
瑠美那「…私も」
言ってから「しまった」と思う。
予想通り、その言葉に彼が異様に驚いた。
羅希「本当に?」
………聞き返されると、ちょっと照れる。
瑠美那「…はいいえ」
羅希「どっちなんだ」
彼は笑いながら、私を掴む手を放してくれた。
腰痛かったけど、不快じゃなかったからそのままでも良かったのに。

とりあえず、彼の汗を濡れタオルで拭いてやった。
昔は綺麗な色白で、どこか不健康そうだった。でも今では、人間らしい色をしている。
瑠美那「やっぱり、すごい変わったな。お前。」
羅希「そうか?少しは男らしくなった?」
まあな、と返したら、また彼は目を見開いた。
………そうゆう反応するなら初めから聞くなよ。
瑠美那「んじゃ。果物だけど食べろ」
羅希「…食欲無いからいい」
瑠美那「腹が減った減らないじゃなくて、胃腸とエネルギーの問題。カルビーが穀物じゃなくて果物にしろって言うからさっき買ってきた。」
羅希が寝ている間に、グレープフルーツとオレンジを剥いておいた。柑橘類がいい、とも聞いたから。ただし、絶対に皮は食べさせるな、と。
剥いておいたそれらをつまんで彼の口元に運ぶ。
瑠美那「口を開けろ。落ちるぞ」
羅希「いいって…。本当にまた気持ち悪くなるから…」
瑠美那「吐いてもいいって。」
羅希「嫌だ、気持ち悪い」
瑠美那「…昨日ゲーゲー吐いてたぞ。しかも寝ながら。」
原始的な治療のせいなので仕方がなかったが、この言葉だけを聞くと、すごく格好悪いことが浮かぶ。
羅希は期待通り、顔を真っ赤にして縮こまった。
瑠美那「だから変なプライド持つなって。とりあえず飲め。」
ちょっとして、彼がやっと口を開いた。
そこにオレンジを突っ込んだ。
ちょっと量が多かったかな…。彼が少しむせてから、口内に含んだままになる。

本当に無意識だった。
手を引く際にさりげなく彼の唇に触れてみたり…

 

羅希が私を見ていた。

はっ。
何をやってたんだ私は──!!!!
瑠美那「た、食べられるか?」
慌てて話題転換。
あーやば。本格的に羅希にハマり気味。
なかなか飲む決心が付かないんだろう。かといって、噛んで飲むのは嫌なようだ。
羅希は苦しそうな顔して、喉を何回かならした。
羅希「はぁ…やっぱ苦しい…」
……ヤバイ私。
羅希の苦しそうな姿を見てトキメキく…と言うか興奮している。
瑠美那「はい」
私はまたグレープフルーツを摘んで、彼に差し出す。
羅希「……」
彼がいらない、って言いたげな顔をしたが、私は引かない
羅希「瑠美、大丈夫だから…」
瑠美那「じゃあ後で食べろよ。吐いても食べた方がいい。あと念のため砂糖水置いておくから」
なんだか自分の知らない面に沢山気付いて疲れた…。
一回、部屋で休もう。
羅希「ん……ありがとう」
それを聞いて、私は立ち上がる。
だが、羅希に手を捕まれた。
瑠美那「……なんだ?」
なんとなく分かるけど、聞いてみる。
羅希「…もう少し…で、いいから…ここにいてくれ」
私が、イヤだと言うと思いながら、控えめに言ってくる。
私は黙ってまた椅子に座り、態度で返事を返した。
羅希はすまなそうに、でも嬉しそうな顔をして、手をひっこめた。

羅希「ねぇ、前に言ってた“言いたいこと”って?」
瑠美那「んー。…まだいい。もう少ししたら言う」
彼は気になる、と言いたげな目をしたが、それ以上は追求してこなかった。
羅希「起きたときに…傍にいられなくてすまなかった」
瑠美那「いいよ。確か“待ってる”とは言ったけど、“傍にいる”なんて言ってないし。」
羅希「…本当はずっと傍にいたかったけど、ずっと瑠美ばっかりに囚われてると君にも嫌われる、って思ったから。
いつまでも君を見てるんじゃなくて、ちょっとは自分を磨く為に動こうかな、って思ったから。」
瑠美那「だからって……何で“賞金首狩”( ブラックリストハンター) になったんだ?」
羅希「…初めは、フリーだったんだけど……その仕事で、アレイジに捕まった賞金首を取り返してくれ…って、ギルドに頼みに来た男の子がいたんだ。
ギルドは当然、引き受けなかった。
けど、私は事情を聞いて、話によっては個人的に受けようと思った。」
やっぱり、相変わらずお人好しだ…。
羅希「その子の話だと、その子は賞金首の息子で、父親は濡れ衣を着せられて一緒に逃げていたんだ、って言ってたんだ。」
瑠美那「……信じたのか」
羅希「その子の勘違いかも知れないから、ちゃんと調べた。その子の話は正しかった。
同じような事件はまだ繰り返されていたし、捕まえたアレイジ本人も知っていた。
それが許せなくて…いくつか仕事をしているうちに、間違えられて無実の人が罪人にされることが結構ある、って…知った。
だから、そんな事を全て排除するのは無理だけと、少しは減らすことができたら、って思って」
瑠美那「それで、ブラックリストハンターか。」
言い終わってから、彼は苦笑いをした。
羅希「捕まえて、話を聞いて、調べてって、手間が多くて面倒くさいんだが…もういくつかそうゆうのは解決できたから、結構充実した仕事できた。
…甘ちゃんだとか散々言われたけどね」
彼が上半身を起こして、砂糖水に手を伸ばした。
私が手渡して、それを彼が少しだけ口を付ける。
瑠美那「やっぱ、お前…変わってないかも」
羅希は減ったのかわからないくらい少しだけ、それを飲んで、私に返してきた。
羅希「どうも、この性格は直らないな…。全く、無駄と面倒が多いし、努力が報われない。
あ、洗面所とか近くにあるか?」
瑠美那「ま、その性格はそんなに嫌いじゃないし。それでいいんじゃないか?
吐くんだったらベッドの下にバケツある。洗面所は一階」
羅希「……なんだか、瑠美がやたら優しい気がするんだが…」
……悪かったな。性格悪くて。
でもそれは、私が彼をやたら意識してるからだ。
彼がベッドからもそもそと起きだした。
瑠美那「子供達はあと20分くらいで授業終わるから、それまでには戻れよ。」
じゃないと、帰りにめちゃくちゃにされるぞ。
というのは彼もよく分かっているので、返事はない。
羅希「瑠美」
扉に手をかけて、彼は振り返る。
瑠美那「なに」
羅希「せめて、起きるときには…と思ってたんだが…。傍にいられなくてすまない」

“そばに…いてくれるか?”

いつだったか、彼に言った言葉を思い出した。
なんとなく…“そばに”っていうのは、そうゆうことじゃないんだけど…
瑠美那「いいよ。すぐに戻ってきてくれたし。こんな状態にまでなるくらい急いでくれたから、許す。」
羅希がちょっと驚いた顔をしたが、また微笑んで部屋から出ていった。
瑠美那「………」
なんとなく、自分の手を見た。
もう、血生臭くない気がする。
多分、この前の戦いで人の殺し方は忘れた。
羅希がいれば、戦いの中で我を忘れたり、戦いを楽しむこともない。
やっと解放された気分だった。

いつか、羅希と一緒にクラウディの墓へ行こうか

 

 

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