−−−15−−−

瑠美那「てかさあ・・・」

私は毛布から顔を出しながら龍黄を睨みつけた。

彼は私の睨みで少し、引く・・・が、すぐにしょんぼりうつむいた。

瑠美那「来るのが遅ぇんだよ!てめえは!」

龍黄「ごめんなさぃ・・・」

私はベット上で毛布にくるまっている。

再度おそってきた寒気に体を更に縮めた。

龍黄が来たのは私が飛び降りてから30分近くたってから。レティスに止められた、とか、魔法力が無くてたいした明かりが作れなかった・・・と言う理由は仕方ない、と思ったが・・・

『それにさ、僕泳げないじゃん。どうしても海の上を飛ぶと体がこわばっちゃって・・・速く飛ぶのが怖くてさ。』

とか言ってるし、その上・・・

『あと、僕って生まれながらの方向音痴で、海に出たとたん、「瑠美が飛び降りたのはどのへんだっけ?」てなことになっちゃって・・・あっはっは』

とか言ってるから思いっきり裏拳かましてやった。

龍黄「・・・ところでさ、瑠美」

瑠美那「んだよ・・・」

毛布の中で小さくくしゃみをした。

龍黄「なんか睡眠薬みたいなの飲まされたんでしょ?よく起きられたね。」

瑠美那「・・・ああ、それね。」

私は龍黄からティッシュを受け取って鼻をかんだ。



飛成「羅、調子どう?」

羅希「良くはない・・・」

シャワールームから出てきてすぐに飛成が羅希に声をかけた。

羅希はベット上でぐったりと体を投げ出していた。

瑠美那の信頼を得るために飲んだ薬のせいで、少々からだがだるいようだ。

羅希「しばらく、体を毒に慣れさせてなかったからな・・・。ここまで弱くなってるとは思わなかった。」

飛成「また、練習しておく?」

羅希「暇があったら」

飛成は彼に水でも渡そう、とテーブル上のコップをとった。

その時ちょうど、気になっていたあることを思い出した。

飛成「そういえば、なんで瑠美那には薬効かなかったんだろう。二粒飲んだんだし、彼女の体が毒になれていても大丈夫なように強めのを作ったんだろ?」

羅希「・・・飲んでいたらなら少なくとも半日は寝ているはず」

飛成「・・・じゃあなんで?」

羅希「・・・決まってるじゃないか。」

羅希が飛成の方へ寝返りをうった。



龍黄「・・・飲んでない?」

瑠美那「そ。」

私は差し出されたレモネードを飲み干してから、唖然としている龍黄に細かく説明を始めた。

瑠美那「んな怪しい薬なんか飲むかっての。飲む奴、馬鹿。だから飲むふりして捨てた。」

龍黄「・・・てことは・・・僕が必死に戦ってる間ずっと・・・」

瑠美那「狸寝入り

テーブルに置かれた龍黄のレモネードに手を伸ばす。

龍黄は更に唖然としていて、別に気にならない様子。

瑠美那「そのうち加勢しようかと思ってたんだが、魔法使う奴相手での戦闘って慣れてないから、隙を見計らってたわけよ。」

龍黄「・・・」

瑠美那「んで、そしたら飛成・・・だっけ?そいつが海に落ちたらやばいのどうのとか話してるから、「あ、こいつは泳げないんだな」と思ったから、あいつを海にぶち込んだ」

あの羅希とか言う奴も泳げなければ最高だったのにな。

今頃、この戦場のどこかの部屋で私のこととか話し合ってるんだろうな・・・。

瑠美那「ふ・・・えっくしょい!」



飛成&羅希『ふぇっくしょい!・・・・・・・風ひいたかな。』



瑠美那「ところで、龍黄」

龍黄「なに。」

瑠美那「あいつらとお前の関係、そろそろ教えろ。てか私との関係も」

龍黄「なんのこと?」

瑠美那「・・・シラを切るにも無理と程があるぞ」

龍黄「〜〜〜だってさあ〜〜・・・人には話したくない過去の一つや二つあってもおかしくないないにゃ☆

瑠美那「猫耳はやしてごまかすな。

龍黄「うぃ〜〜〜〜」

瑠美那「・・・てめえらの問題なら、こっちから首突っ込むのはごめんだが、どうやら私まで関係してるみたいじゃないか。そうなったらほっときたくてもほっとけんだろ」

龍黄「・・・」

龍黄が急に険しい顔してうつむく。

瑠美那「・・・猫耳しまい忘れてるぞ

あ、消えた。

瑠美那「・・・全部教えろとは言わない。何故あいつらが私をねらうのか、知りたい」

龍黄「知らない

・・・・・・なんとなくレモネードをぶっかけた。

龍黄「うわあ!この服あたらしいのに!」

瑠美那「お前がふざけてるからだ」

龍黄「いや、本当に知らないんだ!」

瑠美那「は?!いかにも知ってるって口調してたくせにか?」

彼はタオルを探しながら答えた。

龍黄「あの二人のことは知ってるよ。幼なじみだから」

瑠美那「・・・私がねらわれることに関しては、全く・・・?」

龍黄「心当たりもない。」

瑠美那「・・・・・・」

私はどうしようもない状況に立たされて、ため息をつく。

・・・知らないのなら、こいつにこれ以上聞いても仕方ない。

自分で考えるか・・・。

と、いろいろ思案していて、なんか、いろんな事につっかたかった。

何に引っかかったのかは分からない・・・。なんとなく「あれ?」と思っただけだ。

今まで得てきた関係のありそうな情報をちょっとゆっくり整理して・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・なんも見えてこないな・・・。

つーか、もう頭がめちゃくちゃだ・・・。

・・・ん?・・・・・・・・・!?

瑠美那「龍黄!!!」

龍黄「うわ!何!?急に」

瑠美那「今、いろいろ思い出してたら何となく思ってたんだけど・・・」

龍黄「うん?」

瑠美那「あの、羅希と飛成って、ひょっとして人間じゃないのか?」

だって、龍黄と羅希が幼なじみってことは、あの羅希ってヤツ、精霊界にいた。つまり、幻翼人なんじゃないのか。

それに、あの時・・・私が飛成と海に落ちたとき、彼のサングラスがとれて、その中の鮮やかな赤い瞳を見た。

多分、飛成がサングラスをかけていたのは、あの目を隠すため。

人間には見慣れない、不思議な色だった・・・。

あれを見た瞬間、こいつは人間じゃないと確信した。

龍黄「・・・あれ?知らなかったっけ・・・?」

あれこれ必死に思案して出した考えなのに、龍黄はソレをあっさり肯定した。

瑠美那「しらねえよ。」

なんかちょっと悔しくて血管マークが浮かぶ。

龍黄「まあ、その通りだよ。しかも二人とも優等生だし、特に羅希は魔法とか、勉学とかもすごく良くできた。」

瑠美那「ふーん。」

そーいや、なんかガリ勉してそーなヤツだったよな〜。

・・・って、別にこんな事を知っても何も解決できないだろーが・・。

何も知らない自分に腹が立ってきた・・・。

瑠美那「あーーーーーくそっ!!何もわかんねえ!!」

龍黄「・・・別にそんなに深く考えなくてもいいんじゃない?」

瑠美那「考えなきゃだめだろ。私はねらわれてるんだ。逃げるべきかちゃんと判断できるようにならないと・・・」

ひょっとしたら、私は彼らについて行かなければならない理由があるかも知れない。

・・・龍黄はなんだか感情的に・・・ムキになって私を引き留めている気がした。

だから多分、羅希達が正しくても龍黄は絶対に私を渡さないと思う。

とりあえず、私がしっかり状況を把握する必要があるだろう。

・・・けれど・・・

瑠美那「・・・」

龍黄は絶対に話さないだろうな・・・。

なんでもかんでもベラベラしゃべるこいつが口を堅くするなんて、よっぽど言いにくいことなんだろうし。

となると・・・残る関係者は羅希達だけになる。

・・・でもそれじゃ意味無いよな・・・。あいつに関わって良いのかを判断するためにアイツの目的を聞こうとしてるんだから。

一人であいつらに接触したら、今度こそ無理矢理にでも連れて行かれそうだし・・・。

瑠美那「・・・」

結局、今の私は踊らされていることしかできないか・・・。

・・・・・・なんかムカつくのであとで龍黄をボコす。

戻る  帰る  進む

広告 [PR]  冷え対策 キャッシング わけあり商品 無料レンタルサーバー