―――7―――



龍黄《ロンファン》「わーわー、何ここ?!人いっぱい居るけど陰気臭い〜」

瑠美那《ルミナ》「・・・」

私は依然請けた仕事の報酬を貰いにアレイジの仕事受付場、ギルドに来ていた

ギルド長「おい、ルミナ・・・後ろのはなんだ」

瑠美那「気にするな。で、報酬は・・・」

私が受付で話していると、後ろで他のアレイジたちの罵声が飛んだ。

・・・まあ、予想はしていたけど・・・

アレイジ「おい、そこのボウズ!」

その声が向けられている先は龍黄だ。

龍黄「ボウズじゃないです。」

アレイジ「さっきからおまえは気に食わない、ここがどうゆうところか分かってるのか?!」

龍黄「分かってるわけ無いでしょう。はじめてきたんですから!」

いばって言うな。

その彼のふざけっぷり(天然であってふざけているわけではないが)に激怒。

まあ、さっきから龍黄はここに居るアレイジたちのことを陰気だの、怖いだのぎゃーぎゃー言ってたから、その時点でやつらの逆鱗には触れていたのだが・・・。

ギルド長「おい、いいのか。あの妙な兄ちゃん絡まれてるぞ」

瑠美那「平気だ。報酬はこれで全部か?」

そんな事を話していると、背後で今度は争う物音。

周りの奴らがキレて龍黄に襲いかかったんだろう。

話を済ませ、後ろを向いた時には・・・

龍黄「ルミ・・・ナニこの人たち。急に飛び掛ってきたんだけど。」

倒れた男達の中で平然とたっている龍黄。

ばかめ・・・龍黄を見た目で判断しやがって。私にも勝てない奴らが龍黄に挑もうなど、自殺行為だ。

瑠美那「・・・龍黄、コイツらが飛び掛ってきたのはお前のせいでもあるんんだからな。」

龍黄「え・・・、ん〜・・・、じゃあ、こうゆう人とは話さないようにするよ。」

・・・ったく、コイツの性格ってよくわからん・・・。

私達は目を丸くしているギルド内の人々を割って、外へ出た。

村から出て四日たつ。

しばらくはクラウディの死がずっと頭にこびりついて、まともにモノも考えられなかったが、隣で龍黄がずっとう
るさかったのでそのうち気持ちが楽になって、彼を殴り、黙らせることに集中できた。

そして今、二日の船旅を終えて西の大陸へついた。

ここは大魔法国家で、ほとんどの魔法使いは、一度はここで勉強したり、修行したりしている。

なんでこんな所に来たのかというと、龍黄の翼を消すために魔力を収めておくために買った首飾りが、彼の魔力に耐えきれず、壊れかかっているのだ。

何もしなければ大丈夫だと思うが、多分、打撃が入ると壊れると思う。

ので、魔法の技術に優れたここなら良い道具があるだろう、ということでここまで来た。

龍黄「ルミ、ルミ、なんか向こうでお祭りみたいのがやってるけど・・・」

瑠美那「・・・龍黄、少しおとなしくなれんのか?」

龍黄「無理」

二人の間につかの間の沈黙が流れた。

こうきっぱり言われると言い返しにくい・・・。

「ふざけるな」と殴りかかりたいところだが、コイツは初めての人間界の街にきて、本当に嬉しいんだ。

それを邪魔するのが少々忍びない・・・。

そう思って私はある程度、気持ちを抑えている。

瑠美那「で、なんだっけ?・・・祭り?」

龍黄「そうそう、なんか人が道開けて象の行進を見てはしゃいでる」

瑠美那「・・・ああ、なんかここの皇女様の誕生式らしいな」

龍黄「ふーん・・・皇女様ねえ。キレイなのかな?」

瑠美那「知るか」

龍黄「じゃ、見に行こう」

止める暇もなく龍黄は早歩きで動き出す。



龍黄「うわ、派手だねえ。」

私達は人混みを避けて、建物の屋上から列を見下ろしていた。

大通りのど真ん中を観覧者が開けて囲み、すっきりと空いた中心を派手な格好をした踊り子達が踊りながら進む。

そのすぐ後ろを楽器団が大音量の演奏をしながら行進を進める。

そんな列がいくつもあり、それらの列の中心部に、象が3頭。

前後の象は宮殿のお偉いさんが乗っており

そして挟まれるようにいる象はふかふかの小型のソファーに、少女を2人乗せている。

瑠美那「あのガキが皇女か」

龍黄「ガキとか言っちゃダメでしょうが。でも思ったより小さいんだね。」

皇女はまだ10ほどしかない幼い少女。多分、2人は双子だろう。

淡い栗色の髪を2人とも同じ髪型で収めている。

全く見分けがつかない。

龍黄「・・・ねえ、ルミ。皇女様達に聞こえたのかな?」

瑠美那「なにが。」

龍黄「・・・見てるよ。こっち。気のせいかな」

瑠美那「・・・」

いや、気のせいではないのは私も分かっていた。

2人はたまにちらちらコチラを見ていた。というより、2人でたまに話していて、そしてこっちを見てまた話す・・・と言う感じを繰り返している。

龍黄「・・・僕のこと気にしてるのかな・・・髪の色とか変だし」

瑠美那「・・・まあ、別に気にされてるからといって何か害があるわけでもない。かまわんだろう」

龍黄「そうだけどね。」

皇女様を乗せた象は私達の視界から消えて、派手なうるさいパレードの列だけがまだ通っている。

瑠美那「さ、龍黄、もういいだろう。宿をとりに行くぞ」

龍黄「ああ・・・」


シングルの部屋が満杯になっていたので仕方なくダブルの部屋を取った。

2人用の部屋だけども、四人くらいでくつろげてしまいそうなほど広い。

少々値段が高い理由がわかった。

龍黄は宿の部屋に入ったトタン首飾りを外し、翼を広げてくつろぎだした。

龍黄「はあ〜、開放感〜」

瑠美那「羽消してるとなんかつらいのか?」

龍黄「まあね、なんか締め付けられてる感じがするし・・・。」

瑠美那「・・・どうでもいいけど、家具とかにぶつけるなよ。」

龍黄「はいはい。」

彼はベッドに埋もれて随分くつろぎモードだ。

枕に顔をうずめていたのでその間に私服にさっさと着替えた。

瑠美那「買い出しに行って来る。」

龍黄「行ってらっしゃい」

彼に持たせていた小バックをとり、部屋をあとにした。



戻る  帰る  進む

広告 [PR]  冷え対策 キャッシング わけあり商品 無料レンタルサーバー